こんな方におすすめ

高齢化社会および歯科疾患の背景にある低栄養や糖尿病のコントロール不良など、様々な栄養課題を抱える患者さんが増えてきました。

この高齢化社会における歯科医療では栄養学的支援を行うために管理栄養士との連携が必要となります。
このコンテンツでは、管理栄養士の役割から保険点数の算定に至るまで解説をしていただきました。
 

動画の紹介

●訪問歯科を行っている先生

●これから訪問歯科導入を考えられている先生

●訪問歯科でのクオリティを高めたい先生

動画内容

日本の高齢化率は年々上昇し、2022年には29.1%に達しました。

 

高齢者が質の高い生活を維持するためには、適切な栄養管理が不可欠です。

 

しかし、在宅療養中の高齢者は食事意欲の低下や摂食嚥下機能障害などの問題を抱えていることが多いのが現状です。

 

こうした中、歯科医院における管理栄養士の役割が注目されています。

 

歯科治療に栄養学を取り入れることが予防歯科を促すことができるのです。

 

ここでは、kery 栄養パーク代表の管理栄養士、稲山未来講師から、歯科医院での訪問栄養食事指導の重要性と課題について解説頂きました。

稲山未来講師とは

今回講義を行なってくださるのは、kery栄養パーク代表を務める管理栄養士です。

 

現在在宅訪問栄養食事指導と訪問栄養指導スタートアップ支援kery栄養塾に力を入れていらっしゃいます。

 

今回は歯科医院と訪問栄養指導の重要性と課題についてお話ししてくださいます。

管理栄養士とは

管理栄養士と栄養士の違いについてご存知でしょうか。

 

管理栄養士

疾患がある方が対象

国家資格

・食事提供の多い病院や施設に必置義務あり

 

 

栄養士

健康な方が対象

都道府県知事の免許を受けた資格

・保育学校規模にて活躍可能

 

このように、管理栄養士とは疾患のある方を対象にしており、活躍の場が広いことがわかります。

管理栄養士の職域

管理栄養士の資格があると、その職域は大きく広がります。

 

実際に管理栄養士の方が活躍されている職域は以下のとおりです。

 

1.医療

2.学校

3.スポーツ栄養

4.学生勤労福利厚生施設

5.行政

6.地域活動 

7.福祉施設

8.研究、教育機関

 

稲山講師が活躍する職域は地域活動とのこと。

 

各職域では、管理栄養士のスキルに加え独自のスキルが必要となります。

 

日本栄養士会では、在宅訪問管理栄養士の認定資格も設けられており、現在活躍中の管理栄養士の多くが取得しています。

管理栄養士の就職先

管理栄養士の資格を有した方のうち6-7割が現在も管理栄養士として働いています。

 

業種の内訳は、

 

1.給食委託会社

2.病院・クリニック

3.保育園

4.ドラッグストア・薬局

5.公務員施設

6.高齢施設

 

と言ったように主に6つのフィールドが挙げられます。

 

この中でクリニックにフォーカスすると、歯科医院に就職する管理栄養士は少しずつ増えているのが現状です。

 

 

ですが入職しても管理栄養士としてではなく、歯科助手や受付など、栄養士としての資格を活かすことができず、実際にやりたいこととのズレが生じていることがあります。

 

そうなると、どうしても継続勤務ができなくなる問題があるのです。

 

ですので今後歯科医院に限らず、病院やクリニックでは管理栄養士としての業務を増やしていく必要があります。

歯科クリニックでの管理栄養士の仕事

ここでは歯科クリニックにおける管理栄養士のスキルを活かせるコンテンツをご紹介します。

 

・離乳食教室

・虫歯予防

・歯周病栄養相談

・レシピ提供

・生活習慣病相談

・訪問栄養指導

 

上記の6つは歯科医師や歯科衛生士とチームを組んでフォローアップすることで、予防歯科の要素を取り入れることができます。

 

この点は他院との差別化にもつながるので、ぜひ導入をご検討されると良いでしょう。

 

訪問栄養指導とは

稲山講師は、訪問栄養指導とは「最後まで食事を楽しむための環境整備の支援」と語りました。

 

・食欲の低下

・摂食・嚥下機能障害

・糖尿病・腎臓病(慢性疾患)

・非経口栄養

・低栄養

 

訪問栄養指導では、在宅療養中の高齢者を対象に、食欲の低下、低栄養、摂食・嚥下機能障害、慢性疾患といった上記の内容を主として対応していきます。

 

この段階において、栄養素のプロと歯科の機能的部分のプロがチームを組み治療に携われば、より歯科医院でできる治療の幅が広がるのです。

栄養課題の分析

安全に食事をするために必要な条件をそれぞれの視点から見ていきます。

この際、原因分析を行う必要もあるため、留意しておくことが必要です。

 

栄養課題を見る際は、

 

・栄養学的要素から診る

・歯科的機能面から診る

 

この2点に着目します。

 

栄養学的要素から診るのであれば、

 

・何を取り入れるか

・なぜその栄養素が必要なのか

・不足栄養素の評価と対策

 

といったような3つの課題が上がるでしょう。

 

また歯科的機能面からすれば、

 

・どうやって体内に取り込むか

・機能レベルにあった日常の食事に落とし込むにはどうするべきか

 

という2つの課題が挙げられると思います。

 

具体的な例題2つを、稲山講師が動画内で解説されていますので、ぜひご参照くださいね。

まとめ

訪問栄養指導に限らず、管理栄養士と歯科医師、歯科衛生士など歯科医院で働く場合はチーム医療が重要です。

 

栄養学的視点と歯科的視点から必要な栄養素と摂取方法を検討し、原因と課題を分析しながら指導を行うことが治療のベースになるのです。

 

稲山講師は「歯科医院で管理栄養士の専門業務を増やしていく必要性があります」と話します。

 

これは在宅高齢者の栄養管理において、双方の知見のアプローチが必要だからです。

 

ぜひこの動画をご覧になった方は、歯科医院やクリニックにいらっしゃる管理栄養士の方の業務内容を見直してみてはいかがでしょうか。

 

最後までご視聴くださりありがとうございます。

ORTC onlineでは様々な症例や議題をテーマに講義を行なっているので、ぜひご参考くださいね。

担当講師

稲山未来

稲山未来 先生

代表
Kery栄養パーク

栄養士養成校を卒業後、特別養護老人ホームにて調理員を経て管理栄養士の国家資格を取得。 その後も特別養護老人ホームにて、給食管理や栄養管理業務、また看取り期の食支援に関わる。 食事·栄養だけではなく、生活全般を支えられる知識や技術を身に着けるため、 介護支援専門員の資格を取得。 歯科医院の訪問部門で訪問栄養食事指導の業務を立ち上げ、その経験を生かして 現在はKery栄養パークを開業し、訪問栄養食事指導や、地域向け栄養講座の開催、また管理栄養士の教育コンサルティングをおこなっている。 高齢者支援を追求する事、また最期まで寄り添った支援を目指して、地域の食支援に関わっている。

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