こんな方におすすめ
よく目にするようになってきたポリリン酸。
ホワイトニングや歯磨き粉など歯科業界においても、利用できる分野が増えてきました。
今回お話しいただいたのは中目黒コヤス歯科の小安院長。
小安先生自身もポリリン酸の研究と臨床を10年以上行い、ポリリン酸の第一人者・柴先生を師匠に持つお方です。
安易にポリリン酸が入っていれば良いというわけではなく、治療の内容や使用分野によって適切なポリリン酸を必要とします。
今回はその基礎についてお話しいただきました。
まだよくわかっていないという先生方には必見の内容です。
ぜひご覧下さいませ。
動画内容
ポリリン酸は重要です。
しかしこの重要性を知るには、まずポリリン酸の歴史や明らかになった文献の情報を踏まえた上で歯科医療に生かしてほしいと思います。
ここでは、中目黒子安歯科の子安先生にお越しいただいて「ポリリン酸を歯科医療に生かす方法のヒント」を解説して頂き、その内容をまとめています。
ぜひ動画と合わせてご覧ください。
ポリリン酸とは?
ポリリン酸とは、まずリン酸がポリマー状に連なっている状態を示しています。
実際は、リン酸です。
リン酸がポリマー状に繋がってるからポリリン酸という表現になりますので、ここは間違えないようにお気をつけくださいね。
ポリリン酸に関わった生化学者たち
子安先生は、複数の生化学者が関わったことを事例に挙げてポリリン酸について説明されています。中でも代表的な3人の学者の方の発見した内容を掻い摘んでご紹介していきます。
オパーリン博士(生化学者)
まずはロシアの研究チームに所属されていた、オパーリン博士という先生です。
オパーリン博士はどこでポリリン酸を見つけたのか?
それは研究対象でもあった、海底火山です。
海底火山では温度400度や500度とありますよね。
そんな過酷な環境の中で自然に生成されているポリリン酸に、オパーリン先生は興味を示されました。
「海底火山の中で自然にポリリン酸が生成される状況を見てオパーリン先生は、もしかすると生命の原始的ーまたは生命が作られる要の物質なのではないか?と言った発見をされたのです」と子安先生は話しました。
アーサーコンバーグ教授(生化学者)
続いてポリリン酸の重要なキーを握る人物が、アーサーコンバーグ教授です。
アーサーコンバーグ教授は、過去にノーベル医学生理学賞を受賞された方で、元来はDNAの研究者でした。
アーサーコンバーグ教授の元奥様も研究者だったのですが、その奥様がポリリン酸の研究をされていました。
この機会がきっかけとなり、アーサーコンバーグ教授はDNAの研究のさらに原点を辿ろうとすれば、そこにあるのはポリリン酸なのでは、と考えるようになったとのこと。
そこから、アーサーコンバーグ教授はDNAの研究よりもポリリン酸の研究にのめり込むようになったそうです。
調べれば調べるほど、ポリリン酸は大腸菌だけではなくて、全部の菌の中に存在している。
動物も対象に調べてみれば、ポリリン酸は動物の中にもいる。さらに人間をより詳しく調べると人間の中にもいる。
あらゆる生命体の中に、ポリリン酸が存在するっていうことを発見したのがアーサーコンバーグ教授なのです。
子安先生の師匠、柴肇一先生
スタンフォード大学の医学部で研究者としてポリリン酸の研究に参加されたのが柴先生です。
柴先生が細胞の増殖因子にポリリン酸を使うことによって、コラーゲン体の中でDNAを合成するときに、左右動作の量は減少していくのですが、ポリリン酸を作用させると、分解されずに残るのです。
その後にできた細胞が、活性性の強い細胞かつ多く増えている検証結果が明らかになりました。
ポリリン酸の特徴6つ
ポリリン酸の特徴として、以下の6つが挙げられます。
・生命体の中にいる(生命分子)
・細胞を増やすことが可能
・アレルギーを起こさない
・食品添加物にも使用
・抗酸化作用
生命体の中にいるものとして、まず人体に害はありません。
だからこそ生体分子とも呼ばれています。
だからこそ、アレルギーを起こさないと実験結果からも明らかになっているそうです。
また人体の中でポリリン酸が最も多く存在するのは、血小板やミトコンドリアの中です。
その点から見て、外科診療を行う歯科医師の方は気付きがあるかもしれません。
「ポリリン酸自体が死んでしまっていても、そのポリリン酸を摂取するだけで整腸作用があるのですよ」と子安先生。
普段私たちが超ん御環境を整える乳製品のヨーグルトなどにもポリリン酸は多く含まれているとのことでした。
ポリリン酸で注意したいこと
ポリリン酸で注意したい点は、前述したリン酸の連なりの長さによって、求めている効能が得られたり得られなったりすることです。
例を挙げるならば、歯科業界で自費診療となるホワイトニングでポリリン酸を応用するのであれば、リン酸の連なりは短鎖状である必要があります。
半面、他のシーンでは網目状の連なりや環状線上のリン酸の連なりでないと効果が得られないこともあるとのことです。
このように構造によってポリリン酸がもたらす効能は変わってくるので、ぜひ興味をお持ちになってくださった歯科医師や歯科衛生士の方は、インターネット上にも多くの文献が出ていますのでご覧になってみてください。
まとめ
歯科業界ではまだあまり認知されていないことが現状だと子安先生。
だからこそ、ポリリン酸の特徴や性質を学んだうえでぜひ外科治療やインプラント等に生かせると良いと仰っています。
ポリリン酸を歯科業界で生かすポイントは、リン酸の連なりの長さです。
短鎖のリン酸であればホワイトニングの効果が期待できるというお話がありました。
ぜひ自費診療であるホワイトニングを推奨していきたい歯科医師の方は、一度深堀してみると良いかと思います。
子安先生の動画はわかりやすく簡潔にまとめられているので、ぜひご視聴くださいませ!