歯周基本治療における口腔清掃指導の勘所 PART1

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講師
稲垣幸司
愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科
教授

講師紹介 稲垣幸司

  • 稲垣幸司
  • 愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科
  • 教授
  • 愛知学院大学歯学部を卒業後、2007年より同歯学部歯周病学講座で同短期大学部歯科衛生学科に赴任。同歯学部との兼担で、歯周病専門医および日本禁煙学会専門医として、歯周病学、脱タバコ学の臨床、教育、研究に携わっている。また、子どもをタバコから守る会(愛知)の世話人代表として、小中学校、大学、専門学校での出前授業において禁煙啓発を行う。日本歯周病学会では健康サポート委員会委員長として、また、禁煙推進学術ネットワークでは日本歯周病学会代表として、歯周治療における禁煙支援の手順書、禁煙支援パンフレット、禁煙支援問診票の改訂などに関わり、歯科における禁煙支援の推進に尽力している。
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こんな方におすすめ

日本人は毎日歯ブラシを使用して、口腔内ケアをしている国民でありながら歯周病が多いことで知られています。

 

そこで基本的な歯磨き指導を患者さんへ提供できるように基礎を学んで頂くため、稲垣先生から講義をして頂きました。


初診時歯周組織所見を見ながらどのようなパターンが歯周病となっていくのか。
 

歯は生体ではどのような位置づけなのかを教えていただきました。

動画の紹介

●スタッフ向けに歯周病の基礎を学ばせたい先生
●歯周病ケアについての方法を学ばせたい先生
●歯磨きをしているのに歯周病となる原因を学んでもらいたい先生

動画内容

 

歯間部の清掃を再度検討する。
 

このことをされている歯科医師の方はどれほどいらっしゃるでしょうか。
 

歯間清掃についての指導を患者様にする際、患者様が歯科医師の考える意図を理解されているか見直す機会として稲垣先生が解説してくださいました。
 

日々の診療の中で最も長期的な指導になるかと思いますので、ぜひ一度復習されると良いと思います。

稲垣幸司歯科医師とは

1970年歯科衛生士専門学校設立後に愛知大学短期大学部へ。
 

その後、歯科衛生士や歯科医師の復職支援を行うリカレント研修センターを立ち上げられました
 

この復職支援を行うリカレント研修センターでは20代から60代と幅広い世代が活躍しています。
 

野球が好きで一緒に球場で戦った子供たちに「さいごまであきらめない」事の大切さを学び、現在の仕事に活きているとのこと。
 

クリスマスにはサンタの格好に扮して講義を行うお茶目さがあるのが、今回講師をしてくださる稲垣先生です。

う蝕・歯周病の予防

う蝕・歯周病の予防において現在の日本では、毎日歯を磨く人は約95%という数値が出ています。
 

年々きちんと歯を磨く人は増えており、自身の歯の健康に関心を持つ方が増えている傾向です。
 

それにも関わらず、歯科医院や歯科クリニックに来院する患者様のう蝕症状は、増える一方とのこと。
 

加齢に伴い歯周病が増加しているということが現状としてわかっているとのことでした。
 

具体的には40代から50代以降、高齢者になればなるほど歯周病のリスクが増えてきていることが現状です。 

抜歯の原因

抜歯の手術を行う例として、以下のような原因が挙げられます。

 

・う蝕

・歯周病

・破折

・矯正

・埋伏歯

・その他

 

歯を磨く1日の回数も日数も含め、ルーティン化している人が多い現在。
 

だというのに、磨き切れていないことによってう蝕や歯周病のトラブルが起こるのはなぜでしょうか。
 

「世界単位で見ても、このトラブルは多いのです」と稲垣先生。
 

その答えは次項になります。

最も世界的に多い歯の病気は?

歯周病一択になります。
 

全世界的に見ても、歯周病の症例数が少ない国は多くありません。
 

そしてその原因は、今回のテーマでもある歯間清掃がきちんとできていないことによるものです。
 

う蝕や歯周病は、この歯間にて起こるトラブルということになります。

症例紹介

2004年6月19日に来院した患者様のデータは次のような状態でした。
 

《症例》

・32歳男性

・初診時の口腔内写真
 

稲垣先生の所見からして、

 

・炎症がひどく見られる

・口腔内の8割に歯周ポケットが見られる

・歯間に歯ブラシが届いておらず、う蝕が見られる

 

全体の口腔内でおよそ156箇所を計測したところ、 約8割の歯が歯周ポケットになっていました。
 

しかし、歯周ポケットが深い場合でも全滅することはありません。
 

それは頬側の歯間が悪くなっていても咬合面の状態が良いからです。
 

ここから、歯間にフロスを通して頂くようレクチャーしたところ、全体的に改善する様子が見られました。

歯ブラシだけをするだけではだめか?

「Floss of die!」という言葉をご存じでしょうか。
 

“フロスをしないと死んでしまう”という意味です。

 

この言葉は冗談ではありません。
 

ご紹介した症例のように、真意に基づいていると言えます。

 

口腔内は解剖学的な目線で言えば消化器にあたります。

 

消化器の中で唯一剥き出しの状態で最近の影響が受けやすいことを考えればお分かりいただけるでしょう。
 

口腔内の歯は、唯一乳歯が永久歯に生え変わり、20本から28本になりますよね。
 

この際に歯間から細菌が入れば、人体に影響を及ぼすのです。

歯周病は消化器である歯の間の清掃が重要

歯根にある鞍上形態というものは、細菌がたまりやすい構造をしています。
 

ですので、ちょっとした細菌感染が起こると、感染からの症状のダメージは大きくなる一方です。
 

だからこそここでフロスによる歯間清掃が必要になります。

 

歯間清掃を行うことは、「命を守ること」と同じです。
 

しかしながら一般の患者様はまだその認識が低いところにあります。
 

だからこそ歯科医院や歯科クリニックではその指導を行っていく必要があるのです。

まとめ

ここまでう蝕と歯周病からもたらされることに関して留意するべき勘所を、稲垣先生にお話し頂きました。
 

歯周病から最初に人体の症状として現れたのは肝房脈疾患だとのこと。
 

心臓疾患や血管疾患との関係が明確になり、現在進行形で調査結果が出てきています。
 

この点を意識することができれば、予防歯科を患者様が取り入れるようになり、結果自費診療に流れることもあるでしょう。

 

ぜひ日々の診察に活かしていただきたいと思います。

次の動画では、稲垣先生が深く掘り下げた歯間治療について講義してくださいます。
続けてご視聴くださいませ。

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