講師紹介 辻本恭久

  • 辻本恭久
  • 日本大学松戸歯学部付属病院マイクロスコープ特診外来
  • 臨床教授
  • 日本大学松戸歯学部を卒業後、日本大学大学院松戸歯学研究科を修了、歯学博士の学位を得る。大学院生時代の研究はコンポジットレジンの歯髄為害作用について。これまでに、原著論文は120以上であり、解説論文、著書も多数。JDRにも掲載され、高い評価を得た。 大学院修了後は歯内療法学講座の助手として教育、研究、診療に携わり、専任講師になった後には、米国ボストンにあるForsyth Dental Centerに2年間留学。フッ素と歯質に関する研究を行った。帰国後は、留学中に使用していたマイクロスコープをヒトの臨床で使用できたらと考えていたが、1990年代に入りそれが可能となった。2004年に現在の日本顕微鏡歯科学会の代表世話人として立ち上げを行い、その後の日本におけるマイクロスコープ歯科診療のために尽力。創設時の会員数は100名に満たなかったが現在は一般社団法人化し、会員も1700名を超えている。日本の歯科大学にマイクロスコープ歯科治療を広め、普及のために現在も各学会において活躍。マイクロスコープ治療に関する書籍や、歯科衛生士向けの書籍も多く執筆するなど、マイクロスコープ導入に関して尽力してきた。その他日本歯科保存学会、日本歯内療法学会はもちろん、学会からの専門医、指導医の資格を得ており、学会の研修会等で指導を行っている。 大学では学生のみならず、研修歯科医師、更に同窓生や希望する他大学卒業生にもマイクロスコープを使ったハンズオンセミナー研修を行っている。企業からのセミナー講師依頼の他、企業との治療用器具の開発も数多くしており、これらは市販されていて多くの歯科医師が使用している。歯内療法ならびにマイクロスコープ歯科治療についての知識は豊富であり、歯科用CT認定医も持っているため詳細な診断、治療法についての講演を動画を交えて詳細に行っている。
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こんな方におすすめ

根管治療を行うための適切な手順、治療を行う上での注意点を解説していただきました。

これから学ばれる先生、クリニックで治療にあたる先生向けに基礎のアップデートを行っていただくためのコンテンツです。
 

動画の紹介

歯内療法でのお悩みはありませんか?

・マイクロスコープを取り扱われる先生
・歯内療法を行っている先生
・基礎のアップデートを行いたい先生

本動画はこれらの先生方に特に見ていただきたい内容となっております。

歯内療法を成功させるための知識・技術について、日本大学松戸歯学部附属病院マイクロスコープ特診外来所属の辻本恭久先生にお話しいただきました。 最後までご視聴いただけると幸いです。
 

動画内容

辻本先生は、日本でマイクロスコープを使用した治療を広めたい、という思いで活動をされております。歯科でのマイクロスコープの普及率は全体の10%ほどといわれていますが、50%以上を目標としている、ということでした。

歯科医師の多くが「マイクロスコープなしでは診療ができない」となるような歯科医療を目指して、今回は大臼歯部に焦点を絞ってお話をしていただいております。

根管治療の手順について

1.適切な天蓋除去

きちんとした天蓋除去を行うことは、根管治療を成功させるうえでとても大切です。感染根管治療ですので、感染した歯質はできる限り取り除かなければいけませんし、そうなるよう努力をする必要があります。

感染歯質をしっかりと取らないまま治療をおこなってしまっている方もいます。根管内の感染歯質のみを除去し治療を進めると、いざ補綴しようというときに保存できなかったり、早期に脱離してしまうリスクが高まります。

患部の感染歯質をしっかりと取り除くことは非常に重要である、と辻本先生はお話されています。

2.根管口明示

3.根管口のストレート化

根管治療を適切に行うためには、根管の入り口をしっかりと見つける必要があります。根管口を見つけたら少しストレート化をして、器具が入りやすいようにしていきます。

ストレート化をきちんと行うことで、根管内での器具の破損・破折などといった事故を防ぐことができます。昨今、低侵襲治療として行われている「忍者アクセス」などもありますが、基本的には根管口をストレート化して綺麗にしてあげましょう、と辻本先生はおっしゃっています。

根管口は綺麗な丸ではありませんので、それぞれのかたちに合わせて整えていきます。回転式の切削器具では削りすぎてしまう恐れがあるため、顕微鏡下で超音波を使いながら必要な部分だけ取り除く、ということでした。

4.根尖孔へのパス、パテンシー、根管長測定

5.グライドパス

根尖孔へのパス、パテンシーで根尖にまで器具を到達させたら、根管長の測定を行います。根管口の入り口から出口までが繋がったら、グライドパスを進めていきます。グライドパス用の器具もさまざまなものが開発されている、ということです。

グライドパスをしっかりと行えていれば、根管拡大もスムーズで器具の破損・破折といったトラブルを避けることもなりますので、適切な根管拡大につなげるための大切なステップといえるでしょう。

6.適切な根管拡大

7.適切な根管洗浄

8.適切な根管貼薬

9.適切な根管充填

根管拡大が完了したら、根管洗浄をします。EDTAや次亜塩素酸ナトリウムなどを用いてしっかりと洗浄を行った後、水酸化カルシウム製剤などで貼薬、問題なければ根管充填へと進めていきます。

根管の解剖学的形態の理解

ここからは、辻本先生に「根管治療を行うためには根管の解剖学的な形態をしっかり理解しておかないと治療がうまくいかない」とお話をしていただきました。

日本人の寿命は年々延びてきています。平均寿命は80歳を超えており、平均年齢は世界でもトップクラスの48歳といわれています。

年齢によって歯髄の状態も違っており、40〜60代は徐々に歯髄が無くなってくる年齢です。歯髄腔の未完成な10代の治療も難しいですが、今回は高齢になってからの治療が非常に難しい、ということをお話していただいております。

歯髄の容積の変化について

歯髄の容積は、30〜40代でぐっと減ります。70代以降でさらに容積が少なくなり、そうなってくると根管口を見つけることが困難になってきます。

マイクロスコープを使用しないと治療は難しい、となってくるわけですが、根管の形態が複雑であることも考慮していく必要があります。

複雑な根管形態について

日本人の場合、下顎中切歯では10〜20%、下顎側切歯では25%程度は2根管である、と報告されています。小臼歯で2根管から1根管になっている、下顎大臼歯の近心根が2根管から1根管になっている、上顎大臼歯の近心頬側根が2根管になっているなどのケースがあります。

これらの細かい部分は大学でもあまり習うことがありませんが、どのように治療していくか非常に難しいところでもあります。

日本人の20代男女における根管形態とは

中澤弘貴兼任講師による大学院生時代の研究結果から、上顎第一大臼歯の近心頬側根は男性の65%程度が複根管、女性の55%程度が複根管であることがわかりました。つまり、日本人の20代男女における第一大臼歯の根管は半分以上が4根管である、と考えることができます。

歯内療法におけるマイクロスコープの必要性については、次の動画「歯内療法を成功するための知識・技術_PART2」で詳しくお話していただいております。

引き続き、動画をご視聴いただけると幸いです。
【次の動画】
歯内療法を成功するための知識・技術_PART2
https://ortc.jp/detail_movie.php?id=334
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