動画の紹介
数多くのクリンチェックを手掛ける先生が、「どこを見て」「何を考え」てクリンチェックを作成しているのか?
考えてみたことはないでしょうか。
今回の動画では、皆様に好評の、横田先生による公開クリンチェックをご覧いただきます。
横田先生のクリンチェックの作成過程をご覧になりながら、学べることは多いはずです。
クリンチェック作成に時間がかかったり、どのように治療計画をしたらよいか分からなかったりする先生方にお勧めの動画です。
動画内容
症例概要について
40代女性で、アングルI級の骨格を有しながらオープンバイトを呈する症例です。
来院当初の主訴は上顎左側第二大臼歯の根管治療でした。
ですが、オープンバイトによる咬合の問題点について説明したところ、インビザラインによる矯正治療を希望され治療方針の変更を行いました。
オープンバイトは約4mmあり、アライナー矯正単独で改善を図ることとしています。
プロファイル
横田歯科医師(以下:横田先生)治療方針は、上下顎の前歯部を圧下・挺出させ咬合平面を一致させることです。
そのためクリンチェックでは上顎前歯の圧下と下顎前歯の挺出をオーバー気味に設定されています。
アタッチメントは幅広のレクタンギュラーを使用し、前歯部に可能な限り配置することで、アライナーとの接触面積を広くされています。
ゴムの使用は行わないとのことです。
横田先生のご経験では、骨格性の改善を必要としない前歯部のオープンバイトであれば、6mm程度までアライナー矯正で改善可能とのこと。
ただし、外科的矯正の適応症例に対しては、患者様のご希望を考慮しつつ慎重に検討する必要があると述べられています。
早期にオープンバイトの症例に取り組まれることで、アライナー矯正の適応範囲を広げることができると動画内では仰っています。是非ご覧ください。
今後はこのプロファイルをより詳しく見ていきます。
開口の症例は手を出しやすい
オープンバイトの症例は、程度が大きいと矯正治療が難しいのではないかと懸念され、敬遠される先生方も少なくありません。
しかし横田先生によれば、アライナー矯正においてオープンバイトは比較的扱いやすく、大幅な改善が見込めるとのことです。
私が勤めていた医院では難しい症例と話があったので意外でした…!
横田先生は、アライナー矯正を導入して1年以内に、全顎的なオープンバイトの症例に取り組まれています。
経験を重ねる中で、オープンバイトは非常に扱いやすいことを実感されているそうです。
特に前歯部のオープンバイトであれば、骨格的な改善を必要とせず、約6mmまでアライナー矯正単独で改善できるとおっしゃっています。
治療のポイントは、上下顎の前歯部を適切に圧下・挺出させ、咬合平面を一致させることです。
クリンチェックでは、上顎前歯の圧下と下顎前歯の挺出をオーバー気味に設定し、幅広のレクタンギュラーアタッチメントを可能な限り配置します。
このようにすることで、アライナーとの接触面積を広くすることが重要だそうです。
横田先生は、アライナー矯正を始められて間もない先生方にも、ぜひオープンバイトの症例に取り組んでいただきたいと述べられています。
早期にオープンバイトの症例を経験することで、アライナー矯正の適応範囲を広げ、より多くの患者様のお口の健康と笑顔に貢献できるようになるでしょう。
クリンチェックの修正案
オープンバイトの症例において、クリンチェックを適切に修正することが良好な治療結果につながります。横田先生は、いくつかの重要なポイントを挙げられています。
まず、下顎の移動に関しては、左右で別々に行うことを推奨されています。
左下は頬側へ傾斜移動させ、右下は舌側へ移動させるように設定します。
この際、両側同時に行うのではなく、片側ずつ行うことで、より効果的な移動が期待できるそうです。
次に、前歯の挺出と圧下のスピードについてです。
横田先生は、ゆっくりと行うことを重視されており、具体的なステージ数を指示されることが多いとのことです。
急激なムーブメントではなく、緩やかな力で時間をかけて行うことが大切だと述べられています。
オープンバイトの症例では、ディープバイトとは逆の設定を行います。
ディープバイトでは臼歯部を早期に接触させ前歯部の接触を避けますが、オープンバイトではその反対で、前歯部の接触を早期に獲得することを目指します。
以上のように、オープンバイトの症例では、クリンチェックの適切な修正が非常に重要です。
左右の下顎を別々に移動させ、ゆっくりとした挺出と圧下を行い、上顎前歯は強めに設定することで横向きのアタッチメントを有効に活用します。
これらのポイントを押さえることで、オープンバイトに対するアライナー矯正の成功率を高めることができるでしょう。
【別例】6mmのオープンバイトに対するアライナー矯正の可能性
横田先生は、現在6mmのオープンバイトを呈する20代女性の症例を診られています。
歯列は綺麗ですが、骨格的な改善を求めるなら外科的矯正が適応となるケースです。
しかし、患者様は顔貌の変化を望まず、外科手術を希望されませんでした。
横田先生は、前歯部のオープンバイトを改善するには外科手術が必要と考えつつも、患者様の希望を尊重し、アライナー矯正での治療を検討。
臼歯部の1mmの圧下は無理のない範囲であり、追加のアライナーは必要になるものの、インビザラインで改善できる可能性があると判断しています。
患者様のQOLを考慮した柔軟な対応が、アライナー矯正の適応範囲を広げることにつながるからこその横田先生のお考えです。
まとめ
オープンバイトに対するアライナー矯正は、適切なクリンチェックの修正と症例選択により、良好な結果が得られます。
他の治療を通して患者様との信頼関係を築くことが重要であり、アライナー矯正の提案につながることを、横田先生は強調されていました。
また繰り返しですが、横田先生のご経験から前歯部で6mmまでのオープンバイトであれば、アライナー矯正単独で改善が可能とのこと。
その際、臼歯部の接触は避け、前歯部の接触を優先的に獲得することが鍵となります。
オープンバイトは、アライナー矯正の良い適応症の一つであり、早期に取り組むことで、より多くの患者様のお口の健康と信頼に貢献できるでしょう。
以上が横田先生のクリンチェック公開で得られた学びになります。
ぜひ臨床の場で生かして下されば幸いです。
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1本15分程度で構成しているので、ぜひ隙間時間にスキルアップしてみませんか?
ここまでお読みくださりありがとうございました。
動画の方も是非ご視聴ください!
編集・執筆
歯科専門ライター 萩原 すう