講師紹介 須崎明
- 須崎明
- 医療法人ジニア ぱんだ歯科
- 理事長
- 愛知学院大学歯学部卒業後、同大学講師を経て、2005年に、ぱんだ歯科を開設する。歯科界を盛り上げるために、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士の卒前、卒後教育に携わりながら、執筆活動、製品開発にも精力的に取り組んでいる。
- プロフィールページ
Dr山本のスーパーGPへの道PART2
見放題/レンタル
・卒後5年以内の先生
・勤務医の教育をしたいが時間がない院長
・院長だけでなくほかの先生のアドバイスを聞きたい先生
ぱんだ先生は、日頃から勤務医向けにスライドを使用しながら定期的に教育を行っています。
「内々でやるのはもったいない!」という声を受け、こうしたセミナー動画という形が実現しました。
短い動画コンテンツにすることで、診療の改善点や問題点を振り返ることができ、さらに復習にも使用しやすいという特徴があります。
ぜひ、動画を活用して毎日の診療に役立ててください。
前回から始まりました卒後5年以内のドクターにおすすめ教えて!ぱんだ先生!ドクター山本のスーパーGPへの道!
前回はですね、う蝕の切除の仕方について先生とお悩み相談をしました。
山本先生はお父様に「面白いことをやっているじゃないか」と嬉しい反響をもらい、親孝行できたそうです。嬉しいことですよね。
今回は保険対象になったCAD/CAMインレーを中心に山本先生の診療データをもとに皆さん一緒に学んでいきましょう!
須崎先生は、愛知県で開業している医療法人ジュニアパンダ歯科の院長です。
歯科医療の専門家として、臨床経験が豊富かつ、技工の専門学校講師にも勤務。
特にCAD/CAMインレーなどの最新技術に精通しています。
若手歯科医師の育成にも熱心で、山本先生などの勤務医とともに日々の診療に取り組まれ、株式会社ORTCとも連携し、歯科医療の発展に貢献してくださいました。
須崎先生は、実践的な知識と経験を活かし、わかりやすい説明と丁寧な指導で後進の育成に力を入れています。
CAD/CAMインレーがうまくいかない主な理由として、以下が挙げられます。
・形成に時間がかかりすぎて神経に刺激が加わる
・術後疼痛や不可逆性の症状を引き起こすことがある
・適切な形成量や厚みの確保ができていないと、インレーの強度不足や適合不良につながる
・テーパーが不適切など形成が不十分だったりすると、装着後のトラブルの原因となる
これらの問題を避けるためには、適切な形成技術と患者への十分な説明が重要です。
では、ここで山本歯科医師(以下:山本先生)の診療データを参考に詳しく見ていきましょう。
症例1では、4番が生活歯で5番が失活歯でした。
そこで様子を見ていたところCAD/CAMインレーの形成時に時間がかかり過ぎて、4番に症状が出てしまったとのことです。
結果的に4番は抜髄処置となり、その後根管治療を行い、レジン築造を経てCAD/CAMクラウンを装着。
5番はそのままCAD/CAMインレーを装着し、2週間後の経過は良好でした。
山本先生の症例1での主なお悩みは以下のとおりです。
1. 形成に時間がかかってしまい、生活歯である4番に症状が出てしまったこと
2. メタルインレーと違って接着するため、形態を小さくしようとして削る量を少なくしたことが症状を引き起こしてしまったこと
3. 形成量と神経への刺激のバランスをうまく取れなかったこと
4. 患者さんへの説明と同意取得の重要性を実感したこと
これらの点が山本先生の主な悩みポイントとして挙げられています。
このお悩みポイントに、須崎先生(以下:ぱんだ先生)が挙げられたアドバイスをまとめました。
ぜひ参考にしてください。
ぱんだ先生は、症例1について以下のような所見を述べています。
・形成に時間がかかり過ぎたことが術後疼痛の原因となり、抜髄に至った
・根管治療後の根尖病巣の存在について、根管内の感染や残髄の可能性
・患者への事前説明の重要性も強調
・CAD/CAMインレーの特性上、形成量が多くなることや症状が出る可能性を事前に伝えることの必要性
・適切な形成技術と患者とのコミュニケーションの重要性
上記5点を指摘されました。
まだ回数を積んでいない歯科医師の先生方は、ぜひこれらの点をご参考にすると良いかと思います。
ここまでは歯科医師の山本先生の治療法について、ぱんだ先生のお話を聞いて参りましたね。
以下では、ぱんだ先生のカCAD/CAMインレーに対しての初見をお話ししていただきます。
「CAD/CAMインレーが保険で認められるようになったことは、多くの患者さんにとって朗報となりました。」とぱんだ先生。
特に金属アレルギーを持つ患者さんにとっては大きな意味があります。
以前は、保険でのインレー治療が難しかった金属アレルギーの患者様も、CAD/CAMインレーの登場により保険内で治療を受けられるようになりました。
これにより、歯の構造をより多く残しながら、白い審美的な修復が可能になりました。
また、抜髄やクラウン治療を避けられるケースも増え、保険適用により、より多くの患者さんが最新の歯科技術の恩恵を受けられるようになったのです。
須崎先生の説明によると、インレーとアンレーの主な違いは以下のように要約できます。
1. 形態の違い:
インレーは歯の中に収まる修復物
アンレーは歯の咬合面を覆う部分がある修復物
2. 厚みの違い:
インレーは全体的に約1mm以上の厚みが必要
アンレーは咬合面を覆う部分で1.3mm〜1.5mmの厚みが必要
3. 形成の特徴:
アンレーは咬合面を覆うため、より広い範囲の形成が必要
アンレーは咬合力がかかるため、より厚みのある設計が必要
4. 適応症の違い:
インレーは比較的小さな欠損に適している
アンレーはより大きな欠損や咬合面の保護が必要な場合に適している
ぱんだ先生は、これらの違いを理解し、適切な症例選択と形成技術が重要であると強調されました。
この点はよく理解しておく必要がありますね。
ぱんだ先生は、CAD/CAMインレーの形成に適したダイヤモンドポイントを推奨しています。
タービンヘッドが固定し合うようにするのが難しいため、この際は注意が必要です。
小臼歯用には206のCR、大臼歯用には207のCRを使用します。
これらのバーは、適切な深さと幅を確保しやすく、テーパーも付与できます。
バーのヘッドが咬合平面に水平になるように使用し、遠心から近心へ引くように形成することで平行性を保つことが可能です。これにより、迷わず効率的に形成でき、熱的刺激を最小限に抑えることができます。
症例2では、患者さんが中心位にスタビライゼーション型のスプリントを装着していることが特徴です。
パラファンクションが強いと予想されるため、チッピングや破折のリスクを考慮しました。
形成時には咬合面の厚みを1mm以上確保し、イスムス部分を厚めにしています。
しかし、技工所からテーパーがきついとの指摘を受け、山本先生は形成の難しさを再認識しました。
症例に合わせて角度に合わせてタービンヘッドを入れるシュミレーションをしましたが、結果的にばつ随することになってしまったことです。
また、パラファンクションの強い患者に対するCAD/CAMインレーの形成に苦心しました。
スプリント装着患者であることから、咬合力や食いしばりによる負荷を考慮し、咬合面の厚みやイスムス部分の強度確保に注意を払っています。
自身では上手くできたと感じていましたが、技工所からはテーパーがきついとの指摘を受け、自己評価と実際の形成結果にズレがあることに気づかされました。
目視だけでなく、デジタルデータを活用した客観的な評価の重要性を実感し、形成技術の更なる向上の必要性を感じています。
ぱんだ先生は、山本先生の症例2に対して以下のような所見を述べています。
パラファンクションの強い患者に対する配慮は適切だったとのこと。
咬合面の厚みを1mm以上確保したのは良い判断ですとのことです。
これにより、CAD/CAMインレーの強度が増し、チッピングや破折のリスクを軽減できます。
また、ぱんだ先生は「この処置でいいのかな?」と不安を感じる場合は、手間をかけてでも写真を撮ることをとても良い習慣だと評価しています。
写真を撮ることで、後で自分で振り返ったり、他の歯科医師に相談したりすることができるからです。
さらに、ぱんだ先生は、適切な形成により、CAD/CAMインレーの厚みを確保することで、強度を高められると指摘しています。
特に深い窩洞の場合、グラスアイオノマーセメントの厚みを考慮しながら、より深く形成することで、CAD/CAMインレーの厚みと強度を増すことができるとアドバイスしています。
最後に、技工所からのフィードバックを重視し、チーム医療の重要性を強調しています。
これにより、形成技術の向上につながり、より良い治療結果を得られると述べられました。
今回の動画での講義はここまでになります。
ぜひぱんだ先生のお言葉と知見を生かし、臨床の場で活躍して下されば幸いです。
ORTConlineでは日頃の診療で他の人には聞けない悩みを解決するため、様々なテーマを取り扱っています。
1本15分程度で構成しているので、ぜひ隙間時間にスキルアップしてみませんか?
ここまでお読みくださりありがとうございました。
動画の方も是非ご視聴ください!
編集・執筆
歯科専門ライター 萩原 すう