講師紹介 藤森直子
- 藤森直子
- 株式会社TeamGrin'nTokyo 代表取締役
- プロフィールページ
歯科衛生士としての基本的な技術や姿勢、実践事項について詳しく説明をしている動画です。
正しい姿勢やポジションの取り方がクリニックの雰囲気や患者様の印象に影響を与えること、患者様との協力が施術の効率や安全性につながることを解説しています。
また、器具の使い方によって施術の効率や安全性が大きく変わることを説明し、特に施術をする前の見極め方やミラーの使い方、ライトの調節方法、マニキュアを塗る際の技術についても詳しく解説します。
立体感を出す方法やトレーニングの重要性と、これらの技術をマスターすることで、より安定した施術が可能ですよ。
10年間のアメリカでの経験と日本での活動について、歯科衛生士としてのプロとして獲得すべきことについてスライドを用いて解説していただきました。
・歯科衛生士として働かれており、さらにスキルアップを目指す方
・勤務する歯科衛生士さんに技術力や考え方をアップデートしてほしいと思う先生
・アメリカ式の方法を学びたい歯科衛生士
プロの歯科衛生士として身に着けるべき10のこと。
この言葉を聞いて、歯科衛生士の方々はどう思うでしょうか。
この動画では、株式会社チームグリーン東京代表取締役の藤森尚子先生をお迎えし、歯科衛生士がプロとして獲得すべきスキルについてお話しいただきました。
藤森先生は、アメリカで10年間歯科衛生士として活躍された後、日本に帰国し、全国で講演活動を行っています。
今回は、臨床現場で必要とされる基本的な事項から、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)に関する具体的なテクニックまで、幅広い内容を盛り込んだ講演となっております。歯科衛生士の皆さんが、日々の臨床で活かせる実践的な知識を得られる貴重な機会ですのでぜひご視聴ください!
藤森尚子歯科衛生士のプロフィールは以下の通りです。
・株式会社チームグリーン東京の代表取締役
・10年間アメリカのニューヨーク州とミシシッピ州で歯科に携わる
・2012年に日本に帰国し、全国でインプラントメンテナンスやSRPを中心に講演活動を行う
・著書に「10ポイントの本」、DVDも発売
ニューヨーク大学歯学部で日本人歯科衛生士向けのコースが2024年から開始され、そこでも教えていらっしゃいます。
歯科衛生士に対して、正しい器具の持ち方、姿勢、患者さんへの声かけ、ミラーテクニックなど、基本的かつ重要なポイントを指導することから、マニキュアを塗った模型を使ってトレーニングする方法など獨自の指導法も提案。
スケーリング・ルートプレーニング(SRP)に関して4つの動きの獲得を重視して指導をされています。
長年の海外経験を活かし、日本の歯科衛生士の技術向上と教育に尽力されている方です。
基礎的な部分の重要性を説き、独自のトレーニング方法も積極的に提案されている藤森先生に、本日はお話を頂きました。
藤森尚子歯科衛生士が重要視する、歯科衛生士が身につけるべき10のポイントは以下の通りです。
1. 正しい器具の持ち方 (8の字の持ち方)
2. 正しい姿勢 (腰と膝の角度が90度、手首から肘が床と平行)
3. 患者さんの協力を得ること (体位変換など)
4. 正しいポジショニング (12時の位置から動かない)
5. 正しい作業端の選択 (シックルタイプのキュレットの見分け方)
6. ミラーテクニックの習得 (ダブルテクニック)
7. ライトテクニックの理解 (姿勢とライトの距離、角度の関係)
8. 正しいストローク圧の理解 (歯を削る音か歯石を取る音かの見極め)
9. 固定指の適切な位置と圧力 (歯肉溝内に置き、適度な力で)
10. SRPに必要な4つの動きの獲得 (ジグリング運動、手指屈曲運動、ローリングテクニック、ピボット運動)
これらについて以下で解説します。
器具の持ち方で、正しい把持法(執筆状変法把持法)を理解している人はいません。
8の字の持ち方は基本中の基本と言えます。
中指をシャンクの上に置き、親指と人差し指で器具を把持し、薬指と小指は安定のために使います。
中指はシャンクに触れることでストロークの感覚を掴むことで正確で安全な操作が可能になります。
また、手の疲れも軽減できるため、8の字の持ち方を身につけ、自然な動きで器具を操作できるようにトレーニングしましょう。
歯科衛生士が長時間の治療を行う上で、正しい姿勢は非常に重要です。
腰と膝の角度を90度に保ち、足は肩幅に開いて安定させます。
また、手首から肘までが床と平行になるように椅子の高さを調節しましょう。
この姿勢を保つことで、体への負担を最小限に抑え、腰痛などの問題を予防できます。
さらに姿勢が安定することで、器具の操作がスムーズになり、より正確な治療が可能になります。
正しい姿勢を意識し、体に無理なく治療することが歯科衛生士の長期的なキャリアにとって重要な鍵となります。
歯科治療において、患者さんの協力も欠かせません。
特に体位変換は、治療部位を確実に正しく治療するために重要だからです。
患者様に「右を向いてください」「左を向いてください」などの声かけを行い、適切な体位を取ってもらいましょう。
また、体位変換の際は、患者様を考慮しゆっくりと行うことが大切です。
患者様が協力的であれば、治療はスムーズに進み、結果的に治療の質も向上します。
コミュニケーションを大切にし、患者様との信頼関係を築くことで、より良い治療結果につなげていくことも大切です。
歯科衛生士にとって、正しいポジショニングは効率的で質の高い治療を行うために不可欠です。
特に、12時の位置を基本とし、そこから動かないことが重要になります。
右利きの場合、患者さんの右側に座り、12時から1時の間に位置取ります。
このポジションを保つことで、口腔内の視野が確保され、器具の操作がスムーズになります。
また、ミラーを効果的に使用することで、直視できない部位への治療も確実になります。
ポジショニングを適切に保つためには、患者様の体位変換と自身の姿勢に常に気を配る必要がありコミュニケーションも重要です。
正しいポジショニングを習得し、維持することで、歯科衛生士としてのスキルアップにつながります。
シックルタイプのキュレットを使用する際、正しい作業端の選択は非常に重要です。
間違った作業端を使用すると、歯肉を傷つけたり、不十分な歯石除去につながったりします。
キュレットの作業端は、シャンクに対してカッティングエッジが どのように向いているかで見分けましょう。
コロンビア大学式の「V-T-D-L」の法則を用いると、より簡単に判別できます。
Vの字型の開いている方向が、歯の遠心方向を示し、シャンク上の番号も重要な手がかりになります。
番号と作業端の向きを理解することで、的確な作業端の選択が可能となります。
正しい作業端を選択し、適切な角度で使用することが、効果的な歯石除去と歯肉の健康維持につながります。
ミラーの5つの操作方法は以下のとおりです。
・鏡視
・排除、圧排
・反射
・透光
ミラーテクニックは、歯科衛生士にとって必須のスキルです。
特に、ダブルテクニックの習得は重要になります。
ダブルテクニックとは、ミラーを使って間接視野を確保しながら、もう一方の手で器具を操作する技法です。
この技法を使うことで、直視できない部位の治療が可能になります。
ミラーを使って頬粘膜や舌を排除することで、より広い視野を確保することができるので知っておいて損はありません。
ダブルテクニックを習得するには、反復練習が不可欠です。
ミラーと器具の操作に慣れ、スムーズに動かせるようになることで、治療の質の向上につながります。
ライトを触ることは基本的に診療中触ることは多くありません。
近づけすぎないこと、離しすぎないことに注意しましょう。
ライトテクニックを理解し、正しく実践することが求められます。
ライトの位置と角度を適切に調整する際には、歯科衛生士の姿勢とライトの距離、角度には密接な関係があります。
理想的なライトの位置は、歯科衛生士の手を伸ばした距離にあります。
姿勢を正しく保ち、ライトの角度を調整することで、口腔内の視野が確保されます。
ライトの角度は、上顎では水平に、下顎では45度程度に設定するのが一般的です。
ライトの位置と角度を適切に保つことで、術者の目の疲労を軽減し、より精密な治療が可能になります。
正しいストローク圧の理解と適用は非常に重要で、ストローク圧は、歯面に対する器具の圧力を意味します。
適切なストローク圧を用いることで、効果的に歯石を除去し、歯面を滑沢にすることができますが一方で、過度なストローク圧は、歯面や歯肉を傷つける可能性があります。
正しいストローク圧を見極めるためには、器具から発せられる音に注意を払うことが大切です。
歯を削る「キーン」という高い音が聞こえる場合は、ストローク圧が強すぎる可能性があります。
一方、歯石を取る「ザラザラ」という音は、適切なストローク圧がされている証拠です。
音だけでなく、指の感覚を頼りにストローク圧を調整することも重要です。
固定指は、器具の操作を安定させ、正確な治療を行うために欠かせません。
原則として、固定指は歯肉溝内に置くようにします。
これにより、器具の動きを制御し、歯肉を保護することができるからです。
また、固定指を歯肉溝内に置くことで、歯石除去の際に適切な角度を保つことができます。
固定指にかける圧力も重要な要素です。
強すぎる圧力は患者様に不快感を与え、歯肉を傷つける可能性があります。
一方、弱すぎる圧力では、器具の安定性が損なわれてしまいます。
効果的で安全な治療につなげるには、固定指の重要性を理解することが欠かせません。
必要な4つの動きは次の4つです。
・前腕回転運動
・手指屈伸運動
・ローリング回転法トレーニング
・ピポット運動トレーニング
《 前腕回転運動 (ジグリング運動)》
・ 手首を軸に前腕を回転させる動き
・スケーラーの刃部を歯面に適切な角度で当てるために重要
《手指屈伸運動》
・親指と人差し指でスケーラーを把持し、器具を引き上げる動作
《ローリング回転法トレーニング》
・スケーラーの刃部を歯面に沿ってローリングさせる技法
《ピボット運動トレーニング》
・手首を支点にしてスケーラーを回転させる動き
・歯肉縁下の深い部位へのアクセスに有効
これらの4つの動きを組み合わせ、バランスよく使いこなすことが、効果的で安全なSRPを行うために重要です。
「勉強をし続けることとトレーニングをし続けることが重要」と藤森先生。
知っていたけれど実践では使えなかった技術や新たな知見が手に入ったのではないでしょうか。
ORTC onlineでは様々な症例や議題をテーマに講義を行なっているので、ぜひご参考にしてくださいね。