こんな方におすすめ
歯科医院向けのセミナー配信サイト「ORTC online」では歯科医療従事者が専門的な知識と技術を習得することを目的に、さまざまなな診療科目のセミナーや動画配信を行っております。
今回は、医療法人UDC理事長総合治療ディレクター 植田憲太郎講師によるインビザラインのクリンチェック症例についての講義です。
いままでインビザラインのプランには制限がありましたが、マウスピース26枚?最大3回のプラン「モデレートパッケージ」が導入されました。
今回は、このモデレートパッケージを活用した症例について紹介します。
ぜひ、植田講師の視点を参考にしながら、ご覧ください。
動画の紹介
●マウスピース矯正を取り入れたばかりの先生
●クリンチェックを学びたい先生
●クリンチェックの確認方法を知りたい先生
動画内容
中程度の叢生・側切歯が下顎を乗りこえるケースのクリンチェックで確認すること
ではさっそく、症例を見ていきましょう。
●症例の特徴
・顔貌に特に大きな問題なし
・左上2番が反対咬合
この情報をもとに、治療計画を出して返ってきたクリンチェックの確認をしていきます。
こちらの症例は、もともと犬歯関係がほぼ1級に近いケースです。
アーチを横に拡大しながら叢生を解消していく計画となります。
●クリンチェックが返ってきたら見るべきポイント①
・何度も再生ボタンを押して、歯並びがどのように変化していくか確認する
・咬合や上下左右まで確認し、動かしにくいところがないかを確認する
・スーパーインポーズというボタンを押して、最初の位置とゴール位置に、どれくらい変化があるかを確認する
ポイントを押さえたあと、動きについて詳しく観察していきます。
▼動き
✔下顎
最初のアーチから歯列弓を外向きに開き、下顎を唇側にフレアさせる
✔上顎
スタート地点から横、前方にまで拡大する
▼どの動きを最初に確認すべきか
✔下顎
下顎前歯や上顎前歯はあまり広げすぎると、歯根が露出しすぎて歯が長く見えてしまいます。
どうしても歯槽骨が外に出てしまうと歯根が飛び出してしまうため、動揺を引き起こしかねません。
そのため、唇側にフレアしすぎないように注意しましょう。
方法としては、歯牙移動表(TMT)のテーブルを出していただき、スタート~ゴール地点まで、どれくらい唇側に出しているかを把握していきます。
歯根が舌側に振っているか、歯冠が舌側・頬側に振っているか、その両方を確認し、動きに問題ないか見ていきましょう。
✔上顎
TMTを用いて上顎を確認すると、歯根と歯冠が頬側に振っていることが確認できます。
フレアだけでなく、歯根ごと歯牙移動で外に広げる力がかかっていることが把握できますが、この情報とCTを見比べて、頬側に骨があるかを把握したうえで移動できるか確認することが望ましいでしょう。
動きの確認をしたあとは、移動の仕方に注意していく必要があります。
●クリンチェックが返ってきたらするべきポイント②
・移動に難点がないか確認する
・回転している歯がないか確認する
ここで植田講師が気になった点は、左上2番の移動の仕方です。
計画では、反対咬合である2番が裏側にある状態から、一気に前に出す必要があります。
ですが、簡単に乗り越えられない可能性もあるため、この点がうまくいくかどうかが最大のポイントになるのです。
ちなみに、ワイヤー矯正でも乗り越える場合は、多少工夫する必要があります。
たとえば反対咬合を乗り越えるときは、バイトランプの設置がおすすめです。
今回のケースでも、上顎2ー2番にバイトランプの設置をコメントで記入し、治療計画に組み込むことにしました。
そして回転している歯がないかを確認をしていきます。
症例を見ると、左下5番が45度に回転している様子が確認できるため、アタッチメントをつけていきましょう。
おすすめは、3ミリほどの大きさのアタッチメントをつけること。
理由は、やや大きめのものだとズレが生じたときに把握しやすいためです。
小さいアタッチメントのほうがズレにくいという考えを持つ先生も多いかもしれません。
しかし、アンフィットに気づきにくいというデメリットがあるのも事実です。
アタッチメントも移動の仕方を十分確認してから、つける位置を定めていきましょう。
ちなみに左上3番は歯根が長いため動きにくいという特徴があります。
元の位置と比較し、歯根が大きく振っていそうであれば、大きめのアタッチメントに変更してトルクが大きくなるような工夫がおすすめです。
ただ、アタッチメントの大きさはそこまでトルクに影響がないというエビデンスもありますので、先生の好みでも問題ないでしょう。
最後に確認しておきたいこと
最後に「コメント」を入れていることから、すべて確認したうえで、必ず「送信する」を押してください。
「ライブアップデート」を押すと反映されないので注意しましょう。