ボツリヌス製剤の正しい認識

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講師
清水洋利
MMクリニック神戸医科歯科医院
理事長/院長

講師紹介 清水洋利

  • 清水洋利
  • MMクリニック神戸医科歯科医院
  • 理事長/院長
  • 口腔機能と栄養摂取(口腔内科)、美容医療の手技を応用した口腔機能回復治療といった、次世代の統合的な歯科治療に関するエビデンス・テクニック・コンプライアンス等について、全国の歯科医師をはじめとする歯科医療関係者に伝えている。
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こんな方におすすめ

現代では、歯科医院の経営戦略として、「他院との差別化」だけではなく「患者さんのQOLの向上」という、医療の本質的なエンドポイントを「患者さんの価値観の多様性」もふまえて提供できるということが求められています。

その中でも、今まで治療の選択肢としてあがってこなかった、咬合力の適正化や、再生医療、矯正・ホワイトニングのさらに一歩先の美容歯科という分野が、価値観の多様化とともに見直されています。
 

10年以上にわたり、「機能と構造の整合性」に焦点を当てて、歯科におけるボツリヌス治療、ヒアルロン酸治療、口腔メンテナンスとしてのホワイトニング、歯科治療としての美容治療などのセミナーを開催してまいりました。
 

今回は、口腔機能の中で最も遭遇する機会の多い、「歯ぎしり」「噛みしめ」に対するボツリヌス治療について取り上げました。
 

歯科医療としてのエビデンスと価値を再認識していただければと思います。

動画の紹介

●ボツリヌス療法の導入を考えている先生
●ボツリヌス療法について学びたい先生
●ボツリヌス療法を取り入れているが活用できていない先生

動画内容

今回取り上げるテーマであるボツリヌスとは、世間でよく聞く「ボトックス」のことです。

ですがこのボトックスという呼称はそもそも間違いであり、数あるボツリヌス製剤のうちの商品名のひとつにすぎません
 

ボツリヌス製剤は、医科分野においてリハビリを中心とした筋に対する治療にも適しています。

歯科分野も例外ではなく、大学病院レベルで、ボツリヌス製剤を用いた歯科治療が論文として発表されているため、安心してくださいね。
 

この点について、今回は清水先生が解説して下さいます。

ぜひ動画のご視聴と合わせて1つの学びとして持ち帰って頂けたら幸いです。

清水洋利先生とは

MMクリニック神戸医科歯科医院を開院し医院長を、されています。

同時に日本美容歯科医療協会に所属し、常に最先端の美容・再生医療に特化される業績を残されているそうです。
 

美容治療だけではなく、本格的な再生治療を展開されている最中とのことです。

ボツリヌス製剤について

ボツリヌス製剤は前述しましたがいわゆるボトックスのことを示します。

しかしここで注意したいことは、美容の薬ではないということです。
 

もちろん美容用のボツリヌス製剤も商品としては出ています。

けれどもボツリヌス製剤は、筋肉の過緊張を緩和する医薬品としてエビデンスもきちんと存在します。
 

ですので、使用量を間違えなければ歯科治療にも存分に効果を発揮するのです。

ボツリヌス製剤のデメリットは?

これまで清水先生は2600症例以上を経験してきたとのことですが、副反応は主に確認されていません。

人間の個体によって、多少のデメリットを挙げるとするならば、

 

・気味が悪い

・キモい

・嚥下障害

・呼吸障害

 

と前者2つは印象のデメリット、後者2つはマイナスの症状として聞くことがあります。
 

しかし人間個体、と表現したように副反応が全く生じない医薬品はありません。
 

美容治療で用いるボツリヌス製剤は量が多いため注意が必要ですが、歯科医療の場合にはごく少量になるのでトラブルは起こりにくいとのことでした。

ボツリヌス製剤は歯科業界でも応用可能!

歯科医院で歯科医師が治療に用いるために、ボツリヌス製剤を正規のルートで入手するには、厚生局の輸入確認証の交付が必要です。

すでに10年以上前から輸入確認証(以前は薬監証明)が交付されてきています。


歯科治療としては、

 

1.ガミースマイルの治療

2.下顎前歯部の舌側傾斜予防の治療

3.噛みしめや食いしばりに対する治療

4.歯ぎしりに対する治療

5.口角挙上の治療

 

といったように、5つの使用例が挙げられます。
 

美容的にはなりますが、ヒアルロン酸とのハイブリッドによる人中短縮治療、リップフリップ治療など、機能制御から美容治療まで幅広い応用が可能です。

国立医療機関が認めるエビデンスでは筋肉の過緊張緩和効果がある

ボツリヌス製剤は、きちんとしたエビデンスがあるために国立大学病院での使用も多く見受けられます。
 

主にリハビリテーションにて用いることが多いボツリヌス製剤は、筋肉の過緊張や強張りの緩和に役立つのです。

歯科治療でのボツリヌス製剤の応用例

ボツリヌス製剤を歯科治療で扱って効果のある症状の代表的なものは、以下の3つがあります。

ガミースマイル

歯並びは揃えたけれども、笑って口角が上がった際に歯茎の見える範囲が広い場合は、一般的な歯科治療にホワイトニング、仕上げにボツリヌス製剤の注入を行えば筋肉の過緊張を和らげることができます。

上唇挙筋の過緊張

ガミースマイルの項でも前述した筋肉の緩和は、上唇筋の過緊張や咬筋の過緊張にも効果が期待できます。
 

あくまで仕上げにボツリヌス製剤を使う程度ですので、使用量は微々たる量です。
 

ここで量を間違えると副反応が生じて、いわゆる治療の失敗になってしまうので注意しましょう。

まとめ

清水先生のボツリヌス製剤に関するお話をまとめると以下のとおりです。

 

・美容だけの薬品ではない

・筋肉の過緊張の緩和が可能

・副反応は薬品において何にでも生じる可能性あり

・ボツリヌス製剤は歯科医療に用いるにはトラブルが少ない

 

歯科業界で言えば、顎凝りや顎痛の改善にも効果が期待できます。

 

ボツリヌス製剤に対して誤った認識をお持ちの方は、これを機に新たな知見が身についたかと思います。

ぜひ日々の症例に用いる治療方法の手段に加えて頂けたら幸いです。

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