こんな方におすすめ
根管治療を行うための適切な手順、治療を行う上での注意点を解説していただきました。
これから学ばれる先生、クリニックで治療にあたる先生向けに基礎のアップデートを行っていただくためのコンテンツです。
動画の紹介
歯内療法でのお悩みはありませんか?
・マイクロスコープを取り扱われる先生
・歯内療法を行っている先生
・基礎のアップデートを行いたい先生
本動画はこれらの先生方に特に見ていただきたい内容となっております。
歯内療法を成功させるための知識・技術について、日本大学松戸歯学部附属病院マイクロスコープ特診外来所属の辻本恭久先生にお話しいただきました。 最後までご視聴いただけると幸いです。
動画内容
辻本先生は、日本でマイクロスコープを使用した治療を広めたい、という思いで活動をされております。歯科でのマイクロスコープの普及率は全体の10%ほどといわれていますが、50%以上を目標としている、ということでした。
歯科医師の多くが「マイクロスコープなしでは診療ができない」となるような歯科医療を目指して、今回は大臼歯部に焦点を絞ってお話をしていただいております。
根管治療の手順について
1.適切な天蓋除去
きちんとした天蓋除去を行うことは、根管治療を成功させるうえでとても大切です。感染根管治療ですので、感染した歯質はできる限り取り除かなければいけませんし、そうなるよう努力をする必要があります。
感染歯質をしっかりと取らないまま治療をおこなってしまっている方もいます。根管内の感染歯質のみを除去し治療を進めると、いざ補綴しようというときに保存できなかったり、早期に脱離してしまうリスクが高まります。
患部の感染歯質をしっかりと取り除くことは非常に重要である、と辻本先生はお話されています。
2.根管口明示
3.根管口のストレート化
根管治療を適切に行うためには、根管の入り口をしっかりと見つける必要があります。根管口を見つけたら少しストレート化をして、器具が入りやすいようにしていきます。
ストレート化をきちんと行うことで、根管内での器具の破損・破折などといった事故を防ぐことができます。昨今、低侵襲治療として行われている「忍者アクセス」などもありますが、基本的には根管口をストレート化して綺麗にしてあげましょう、と辻本先生はおっしゃっています。
根管口は綺麗な丸ではありませんので、それぞれのかたちに合わせて整えていきます。回転式の切削器具では削りすぎてしまう恐れがあるため、顕微鏡下で超音波を使いながら必要な部分だけ取り除く、ということでした。
4.根尖孔へのパス、パテンシー、根管長測定
5.グライドパス
根尖孔へのパス、パテンシーで根尖にまで器具を到達させたら、根管長の測定を行います。根管口の入り口から出口までが繋がったら、グライドパスを進めていきます。グライドパス用の器具もさまざまなものが開発されている、ということです。
グライドパスをしっかりと行えていれば、根管拡大もスムーズで器具の破損・破折といったトラブルを避けることもなりますので、適切な根管拡大につなげるための大切なステップといえるでしょう。
6.適切な根管拡大
7.適切な根管洗浄
8.適切な根管貼薬
9.適切な根管充填
根管拡大が完了したら、根管洗浄をします。EDTAや次亜塩素酸ナトリウムなどを用いてしっかりと洗浄を行った後、水酸化カルシウム製剤などで貼薬、問題なければ根管充填へと進めていきます。
根管の解剖学的形態の理解
ここからは、辻本先生に「根管治療を行うためには根管の解剖学的な形態をしっかり理解しておかないと治療がうまくいかない」とお話をしていただきました。
日本人の寿命は年々延びてきています。平均寿命は80歳を超えており、平均年齢は世界でもトップクラスの48歳といわれています。
年齢によって歯髄の状態も違っており、40〜60代は徐々に歯髄が無くなってくる年齢です。歯髄腔の未完成な10代の治療も難しいですが、今回は高齢になってからの治療が非常に難しい、ということをお話していただいております。
歯髄の容積の変化について
歯髄の容積は、30〜40代でぐっと減ります。70代以降でさらに容積が少なくなり、そうなってくると根管口を見つけることが困難になってきます。
マイクロスコープを使用しないと治療は難しい、となってくるわけですが、根管の形態が複雑であることも考慮していく必要があります。
複雑な根管形態について
日本人の場合、下顎中切歯では10〜20%、下顎側切歯では25%程度は2根管である、と報告されています。小臼歯で2根管から1根管になっている、下顎大臼歯の近心根が2根管から1根管になっている、上顎大臼歯の近心頬側根が2根管になっているなどのケースがあります。
これらの細かい部分は大学でもあまり習うことがありませんが、どのように治療していくか非常に難しいところでもあります。
日本人の20代男女における根管形態とは
中澤弘貴兼任講師による大学院生時代の研究結果から、上顎第一大臼歯の近心頬側根は男性の65%程度が複根管、女性の55%程度が複根管であることがわかりました。つまり、日本人の20代男女における第一大臼歯の根管は半分以上が4根管である、と考えることができます。
歯内療法におけるマイクロスコープの必要性については、次の動画「歯内療法を成功するための知識・技術_PART2」で詳しくお話していただいております。
引き続き、動画をご視聴いただけると幸いです。
【次の動画】
歯内療法を成功するための知識・技術_PART2
https://ortc.jp/detail_movie.php?id=334
講師 辻本恭久先生