こんな方におすすめ

●小児歯科を行っている先生
●小児の治療クオリティーを高めたい先生
●乳歯の歯内療法について勉強したい先生

動画の紹介

そもそも乳歯のエンド治療ができるでしょうか。

そして歯内療法ができる歯とできない歯の判断基準は?

 

可能尾であれば歯内療法を避けたい乳歯について解説しています。

治療をこれからされる方、まだ不安に思っている先生にご覧いただきたいコンテンツです。

動画内容

難しい乳歯の治療において、乳歯の保存の可否判断の基準について、症例をもとに桜井歯科医師にお話しいただきました。

小児に多い乳歯の治療は、永久歯とは異なり少しの治療で大きく腫れるような諸症状が出ることがあります。

そのような時、知っておきたい点を解説しています。動画と合わせてご視聴くださると理解が早いかと思いますので、ご参考ください。

桜井敦朗歯科医師とは

現在東京医科歯科大学にて教育を主軸に活動されています。
 

これまでは、大阪大学歯学部を2000年に卒業し、大阪大学の大学院にも入っておられたそうです。

2006年に東京大学医科学研究所へ勤務し臨床の場を経験してきたとのことでした。
 

趣味は島巡りがお好きとのことで、インドネシアのコモド島などを訪れたとのこと。
 

体力が必要だと実感してからは、山登りもお好きなのだそうですよ。

とてもアクティブですよね。

乳歯のエンド治療は可能なのか?

乳歯の治療はできても、腫れることがほとんどです。それだけ乳歯の治療というものは難しいのだとお考えください。

というのも、理由は以下のとおりです。

 

①根幹充填が吸収されて無くなってしまう

②形成不全を起こしてしまう

 

このことを証明するのに最もひどいケースをご紹介します。

 

《患者様》

3歳4ヶ月の男の子

大きなう蝕有り

 

《治療》

抜髄及び根幹充填を実施

X線検査をして経過観察

1年9ヶ月後に根幹充填剤が消失

 

この後、さらに経過を見るために3年おいてX線検査を実施したところ、完全に根幹充填自体が消えてしまっていました。

ここまで来るとかえって危険なので、抜歯処置をされたとのことです。
 

だからこそ、根幹充填が吸収され、形成不全を起こす前に、最大でも1年内でX線検査をしましょう。

乳歯の治療で問題になる点

乳歯の歯内療法で歯科医師が困ってしまう点は次のようなことが挙げられます。

 

・乳幼児が暴れる

・歯根が吸収される

・根充が入らない

・副根管が多い

・随菅の存在

 

これにより、充分に口腔内洗浄を出来ないことから、状況が深刻化してしまうケースも多々あります。

乳歯は歯根が未完成

乳歯は治療ができますが、可能な限りやらないことに越したことはありません。

それは乳歯の歯根が未完成、または吸収が始まっているからです。
 

歯根が完成する時期はおよそ1歳6か月とされています。

また4歳頃には歯根の吸収が始まっていることから、歯根の全長が無事に存在している期間はとても短いのです。

乳歯への抜髄適応の基準は?

乳歯への抜髄や感染根管治療等を行うときは、 およその基準として歯根の長さの3分の1以上が吸収されている状態ならば、適用できないとされています。

あくまでテキスト上の目安ではあります。
 

ですが、この3分の1を超えたら、適用にはなりません。
治療しても長くは持たないと考えて下さい。

 

現実には3分の1を超えた歯根の臼歯をしていても、短期的に残しておきたいことがあるでしょう。

この場合は歯内療法を行うことはありますが、ケースバイケースになります。

【症例】1歳7ヶ月の歯根歯質について

こちらはぜひ動画の視聴で確認して欲しい内容なのですが、X線検査の結果、右上の歯根完成時期は前述した、1歳6か月です。

 

その上でこの右上b(動画参照)の歯根完成時期は1歳6か月から2歳と推測されます。

1歳7か月ですから、歯根が完成している予測される時期です。

 

ここで 注目して頂きたいのは、この歯質が非常に薄いことです。 

たとえ歯根が完成したとしても、歯質は薄くて、その後徐々に分厚くなっていきますが、個人差があります。

乳歯の歯根歯質は薄い

乳歯の歯根歯質は、基本的に永久歯よりもはるかに薄い構造をしています。


乳歯は徐々に歯根歯質を厚くしていくのです。

だからこそ、乳歯は歯根に吸収されることが多く見られます。

 

この現象は永久歯では見ることはないでしょう。

まとめ

桜井先生の解説の要点をまとめると以下のとおりになります。

 

・乳歯に歯髄処置をする場合は、慎重に

・可能であれば処置はしない方が予後が良い

・できる限り歯根は温存

・歯根の歯質が厚くなり安定してから歯内療法の実施

 

この4点を、動画の中では症例3つを用いて解説して下さっていますので、ぜひ合わせてご視聴ください。
 

小児歯科も担当されている歯科医師の方にとってもそうでなくても、日々の治療の幅が広がること間違いありませんので、ぜひご参考にして頂けますと幸いです。

担当講師

桜井敦朗

桜井敦朗 先生

講師
東京歯科大学 小児歯科学講座

2000年大阪大学歯学部卒業、2004年大阪大学大学院修了。 東京大学医科学研究所特任研究員、大阪大学大学院歯学研究科助教などを経て、 現在東京歯科大学小児歯科学講座講師。日本小児歯科学会専門医指導医。 著書 「小児歯科学ベーシックテキスト」「乳歯の歯内療法」など。

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