こんな方におすすめ

●可逆的な補綴処置を学びたい先生
●これから補綴治療を学ぼうとされている先生
●症例を見ながら治療のポイントを押さえたい先生

動画の紹介

第1回目は可逆的補綴治療が必要なわけをお送りいたします。

クラウンブリッジの点数はレセプトの中でも占めている要素は大きく、日々臨床に携わられる先生にとっても体感を持っている先生も多いと思います。
このコンテンツでは、臨床の現場で心掛けている可逆的補綴処置においていくつかの症例を基に解説をしていただきました。
 

動画内容

補綴歯科治療の勘所というと、どのようなことが浮かぶでしょうか?
補綴治療となると、歯の内部が確認できない点から治療計画を立てることも慎重になることでしょう。 

ここでは藤澤歯科医師が日頃臨床現場で心がけている可逆的な補綴処置について解説頂いています
 

動画内ではより詳しくご解説頂いていますので、ぜひ参考にして頂けたらと思います。

藤澤歯科医師について

藤澤政紀先生は、 明海大学のクラウンブリッジ補綴学分野に所属。

計20つの学会に入っておられ、専門医を取得されている学会としては、日本補綴歯科学会や日本歯科心理学会、日本顎関節学会、日本歯科心身医学会が代表的です。

1日あたりの補綴治療の割合は高い

厚労省が制作している保険レセプトに関する資料では、令和2年の審査分ですと歯科業界内では1回の点数が平均757.6点になります。

 日割で計算すると、 1日あたりで1番大きく比重を占めているものが歯冠修復及び欠損補綴と有床義歯です。

 ここからさらにクラウンブリッジに視点を当てると、3割近くになります。
 

「クラウンブリッジの保険件数が比較的高いという現実があります」と藤澤先生。

 レセプト請求分においてクラウンブリッジが大幅なウエイトを占めているのは、差審のデータである令和3年6月のレセプト資料を拝見しても同じようなことが言えます。

症例紹介

補綴治療の症例紹介をするにあたって、藤澤先生が重要だと仰ることは、以下のとおりです。
 

・下顎位は無暗に変えない
・可逆的な治療ができないか模索
 

この点に着目して、具体的にいくつかの症例をご説明します。

【20代女性症例】クラウンの修復処置不適合

まず前述したように、下顎位を変化させる必要がない場合はようにします。 

「左側の写真が初診時のものです。 すでに入っているクラウンや修復措置が適合していないだけではなく、歯列の不正もございます」と藤澤先生は話します。


ですから矯正治療も行っているとのことでした。
 
その後セラミックでの歯冠修復と部分的にラミネート、ベニアコンポジットレジンも使っているとのこと。

 この患者さんが20年前ぐらいの当時でも、オールセラミックの診療ということは選択肢としてはありました。
ですが、当時はこちらは使われなかったようです。
 

審美性も大切にしています。色だけではなくて、形やスマイルライン等も含めて治療をしていきます」と藤澤先生は仰いました。

【40代男性症例】歯を極小範囲で削って以来腰痛持ちに

こちらも下顎位が安定しています。
上記症例と同様に、下顎位を変化させないような配慮が必要になってきます。
 

抜歯して前歯部のクラウンブリッジがありますが、合っていないという主訴で来院されました。
 
動画を見ていただけるとわかるように、飛び飛びの欠損です。
ですので、全部繋げてのフルブリッジを採用しています。

「左上の7番だけは単独のクラウンです。この方は保険の治療を希望しておられたので、全部繋いだブリッジということで話を進めさせていただきました」とのこと。

残存歯が残っていたとしても、下顎位と顎間関係を変化させないようにするという配慮は必要かなと思います。

「プロビジョナルを全顎的に入れた時、片側ずつ外していくとしましょう。 左側だけ部分的にプロビジュアルを外して、顎間関係記録をインターオクルーザルレコードを取っていくということですね」と藤澤先生。
 

一方が安定したら今度は右側を部分的に外し、咬合指示を残した状態で全顎的にプロビジョナルが入ってるところから部分的にプロビジョナルを外して咬合採得材を介在させていきます。

この後、反対側も同様に行います。

咬合採得では、ブリッジが入るということになります。

この点はぜひ動画内でご確認下さい。
この作業工程は保険診療であっても、自費であっても変わりません。 

可逆的な補綴症例紹介

可逆的な補綴症例の説明をする前に結論をお伝えすると、小さな研磨も体調不良へとつながるので行わないことが理想的です。

ですがそうできない場合ももちろんあるでしょう。 

そんな時こそ、可逆的な補綴治療を視野に入れることが大切です」と藤澤先生は仰いました。
 

ベンチャーであれば、可逆的治療というものは可能でしょう。
けれどもクラウンブリッジにおいて、可逆的な治療というものはどういうことかと感じる方もいるかと思います。

ですので、なぜこの可逆的補綴治療が必要なのか、可逆的な治療を行わないことによってどのようなことが起こるのか 
この2点を以下でご説明する症例からご理解いただけるかと思いますのでぜひご覧ください。

【症例】可逆的な補綴治療が必要な場合

ここでご紹介する患者さんは左下の5番がレジンの転換がされています。 

列外紙で噛んでても噛んでなくても、反対側もきっちり歯列が整っています。
ここまでの治療は、お住まいの近くにある歯科医院の先生のところで咬合調整をされたということでした。
  

「その先生は咬合性外傷の危険性があるなと判断されたんだと感じます。だからこそ、本当に軽く削られたのでしょう。患者さんも、少ししか削られていないと仰っていました」とのこと。 
 

しかし、この患者さんは歯を削ったその後から『肩が痛い』『腰が痛い』という主訴で藤澤先生を尋ねてこられたそうです。
 

すでに診療台への乗り降りに苦痛を感じていることが目に見えてわかる方で、ご希望としては削られた部分を戻してほしいということでした」と藤澤先生。
 

もしかすると偶然このタイミングで整形外科の疾患が合った可能性も考慮し患者さんと話をした上で、レジンで補綴を行ったそうです。
 するとその瞬間からこの患者さんは、「 腰が楽になったわ!」と、スタスタと歩き始めたということでした。
 

これは稀なケースではあります。
ですが実際にこのようなケースが起こりうるという可能性は知っておくと良いかもしれません。

まとめ

このように、少し削っただけで身体的なバランスが崩れるという方が現実にいるということはぜひ知っておくと安心でしょう。
 スライドではより細かく藤澤先生が解説して下さっているので、ぜひご視聴ください。

 「全顎的に形成、または補綴処置をするという時には、可逆的な補綴治療ができないかどうかを常に考えながら治療している」という藤澤先生。
 

この方法を使いながら藤澤先生が実践されている細かな手法は、スライドと共に動画内でわかりやすく解説されていますのでぜひご覧ください。

担当講師

藤澤政紀

藤澤政紀 先生

教授 
明海大学歯学部機能保存回復学講座 クラウンブリッジ補綴学分野

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