他術者からのリカバリ

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講師
新渡戸康希
医療法人社団杏壬会 池袋みんなの歯医者さん 矯正歯科・こども歯科
院長

こんな方におすすめ

?思うように治療計画が立てられない先生
?治療計画が長引いてしまう先生
?クリンチェックに自信がない先生

動画の紹介

歯科医院向けのセミナー配信サイト「ORTC online」では歯科医療従事者が専門的な知識と技術を習得することを目的に、さまざまなな診療科目のセミナーや動画配信を行っております。
今回の動画は、医療法人社団杏壬会 池袋みんなの歯医者さん 矯正歯科・こども歯科 新渡戸康希講師による講義です。
今回の内容は、他術者のクリンチェックを引き継いだ新渡戸講師が、どのような修正を行いゴールへ導くか、その流れをご説明いたします。

 

当初の治療計画から大幅に期間が長くなってしまう原因はどこにあるのか。
その疑問が解消される内容になっています。
ぜひ、最後までご覧ください。

動画内容

非抜歯治療計画の落とし穴

(左:初診時/右:現在の状況)

 

左側にある症例の治療計画が立てられたのは2018年です。
勤務医の先生によって立てられましたが、2022年現在、いまだに治療が終わっていません。
新渡戸講師は以前から「2年以内に終了できる治療計画でないと、失敗につながってしまう」と指摘していますが、こちらの症例は4年以上かかっていることになります。

では、症例の詳細を見ていきましょう。

 

▼最初の治療計画


●特徴
・35枚(約8ヶ月)
・非抜歯
・IPR→0.5mm、0.2mm
・前歯に1.5mmのスペースあり
・ボタンカットあり
・プレシジョンカットあり

 

●動き
・上顎・下顎ともに動き方に問題なし
・側方は3級ゴムを使用


【新渡戸講師によるアドバイス】
・叢生がキツイことから抜歯は必須(IPRを重ねても4年以上の期間になるため抜歯しない選択はなし)
・IPRの値がしっかり考えられていない
・スペースが余り気味


では、ここで新たなクリンチェックを見ていきましょう。

 


(前回との変化があまり見られません)

▼次の治療計画

・29枚(約半年)
・さきほどのクリンチェックには3級ゴムをかけていたのに顎間ゴムを外している
・口腔内スキャン情報が足りない(正しいクリンチェックがつくれない)
・以前よりは改善傾向にあるが、重なりはほどけていない


ここから半年後の経過を見ていきますが、大きな変化は見られません。


治療計画にやや問題点が見られますが、それよりも重要な問題があります。


それが「患者教育」です。
アライナー矯正は、患者の知識や行動がなによりも大事になっていきます。
どんなに素晴らしい治療計画を立てたとしても、患者が行動してくれなければ台無しになってしまうのです。


▼患者の状況
・人前で話す仕事をしている(20時間以上装着していない)
・ネットの情報を信じて1ヶ月同じアライナーを装着していた


【新渡戸講師によるアドバイス】
・初日が1番アライナーの力が強い
・アライナーは1週間交換がポイント(2週間だと変形してしまうため)
・患者教育をしっかりしていくこと(なぜ装着するべきか、装着にかかる力の強さなどを説明)


このように、治療計画と並行しながら患者へのアライナー教育をして協力を得るようにしましょう。

 

エンジニアの治療計画を過信しすぎない

ここからは、インビザラインのエンジニアが立てた治療計画も見ていきます。

初診時の症例だと仮定した場合のエンジニアの治療計画がこちらです。

▼エンジニアによる治療計画
・16枚(約3ヶ月)
・オーバージェット2.6mm
・オーバーバイト1.4mm
・2級ゴムを使用


【新渡戸講師によるアドバイス】
・オーバージェットやオーバーバイトは2~3mmの設定がいい(エンジニアの示した値は非常に良い)
・オーバージェットは2.6mmより少ない値はやめるべき

 

オーバージェットに関しては、2.6mm以下で設定した場合、前歯が早期接触して臼歯が噛めなくなることが懸念されています。
しかしオーバーバイトに関しては、もう少し上の歯が下に被ってきたほうが噛み合わせがキレイです。


ここまではさほど問題ありませんが、この治療計画のなかで最大の問題があります。


それが2級ゴムを使用していること。


いままで3級ゴムを使用していたにもかかわらず、なぜ2級ゴムが登場してきたかについては疑問が生じます。
たとえ使用したとしても、このままではオーバージェット2.6mmが少なくなってしまうのは明白です。
そうすると前歯が早期接触を起こして臼歯が離開し、噛めなくなる恐れが出てきてしまいます。


治療計画を修正するために見るポイント

ここから、治療計画を修正していきましょう。
右上にある「治療計画13を変更」項目をクリックすると3Dコントロールが設定可能になります。


▼修正ポイント
●不要なものは削除
・2級ゴム→削除
・ボタンカット→削除
・プレシジョンカット→削除
・3級ゴムが必要であれば組み込む
・顎間ゴムはオーバージェット・オーバーバイトの数値を頼りに決定する

 

●歯の動き
・黒丸部分は移動不可に設定
・患者の主訴を1番に考えるため、あれこれ動かさない
・アタッチメントは長方形タイプが望ましい(力のかけかたに応じて種類を選択)
・アタッチメント装着→CRカメレオンタイプorクリア
・左上1番2番の動き→IPRしたほうがいい(摩擦抵抗を減らすため)


修正するポイントで重要なのは「何をしたいかを明確にする」ことです。
1番は患者の主訴を前提に動かすこと。
あれこれ動かしたい気持ちは理解できますが、動かせば治療期間が延長して失敗につながる可能性があることを視野に入れておきましょう。

 

クリンチェックの守るべき3か条

今回の症例は抜歯が最適でしたが、非抜歯からのリカバリーをしていきました。

そこで、守るべき3か条を紹介します。


①動かす歯と動かさない歯の基準を決める
②アタッチメントは長方形型。縦か横か動かしたい方向によって力のかかり具合を考える
③動かしたい歯があれば隙間をつくる

 

ぜひ、これらを参考にして日々の診療に役立てていただけますと幸いです。

担当講師

新渡戸康希

新渡戸康希 先生

院長
医療法人社団杏壬会 池袋みんなの歯医者さん 矯正歯科・こども歯科

ORTC onlineでは「絶対に失敗しないマウスピース矯正33のこと」を始め動画コンテンツで自身の経験を多くの先生方に共有。インビザラインが日本で導入されて以降、数々のセミナーや勉強会を開催し多くの先生方の学びを後押し。インビザライン治療における、予測実現性を高めるクリンチェック作成を日々追求され、治療技術だけに留まらず、集患・院内体制・経営思考なども伝えることで、これからの歯科医院の在り方についてもアドバイスを行っている。

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