こんな方におすすめ
新渡戸康希先生によるセミナーの様子を収録した動画です 。
前回の新渡戸先生によるセミナーが評判となり、急遽決定したクリンチェックをマスターするためのコンテンツになります。
ディープバイトだった場合を考慮した動かし方や、3Dコントロール画面に出現する青丸と黒丸の意味について詳しく解説してくださいます。
1つ前の動画『基本マスタークリンチェックコース1』をご覧頂き、基本の操作方法は取得できたことでしょう。
是非次の段階に進んでみてください。
動画内容
基本マスタークリンチェックコース2では、次の段階に入って参ります。
操作をしていく際に出現する青マルと黒マルと、ディープバイトであった場合の考慮方法はどんなものがあるのかについて着目し新渡戸先生が引き続き解説してくださいます。
音声で聞いた方が頭に入りやすい方はそのまま動画を、文章の方が頭に入りやすい方はぜひこのまま読み進めてください。
インビザラインで重要なのは予測再現性
新渡戸先生が仰るには、インビザラインにおいて重要なのは「実現性」であることです。
インビザラインの実現性はインビザラインを行うことで理想としている数値に、歯牙が遠近移動をするかどうかなどが挙げられます。
これはTMA(トゥースムーブメントアセスメント)という、歯牙の移動評価で診ていきます。
この際、TMAでの数値が期待通りに行く可能性があることが、インビザラインの予測実現性ということです。
歯牙の移動評価を確認する
「歯牙の移動評価を確認する作業が重要であるにも関わらず、多くの歯科医師はこの表示を見ていません」そう新渡戸先生は仰っております。
ソフト上で非表示にすることが可能なので、着目する歯科医師が多くないということが理由なのだそうです。
非表示にしておくことでチェックする項目が少なくなるため、クリンチェックの工程数が減ることから利用する方は少ないのでしょう。しかしこれでは、同時にインビザラインの実現性も失ってしまうと新渡戸先生は注意喚起されました。
基本的にこの歯牙移動評価は、表示させながら行っていきます。TMAが非表示になっている歯科医師の方は、必ずオンに設定してクリンチェックを行ましょう。
青マルと黒マルの意味
「青マルと黒マルは、言ってしまえばインビザラインの理想実現性が低くなる警告を表しています」そう新渡戸先生は解説しております。
青マルは中程度の実現性になるということ、黒マルは重程度の実現性になるということです。予測実現性が下がったということは、期待する歯牙移動に繋がらない可能性が高くなるのです。
圧下の場合に見る青マルと黒マル
この段階ではクリンチェックにて、圧下の場合に青マルと黒マルの表示がどのようなタイミングで現れるか見て参ります。
「この基準はぜひ覚えてください。例として右上の1番に関して見ていくと、右上の1番を2.5mmから3mm圧下させると、中程度の実現性となります。このときに青マルが画面に表示されるので、すぐにご理解いただけるでしょう。青マルの表示があった場合は、予測実現性は大きく下がります。このような状況を防ぐためには2.5mm圧下をさせたくても2.4mmに留めておくのです」
新渡戸先生は 「これによって、マウスピースの枚数も減らすことができますよ」と仰っておりました。
青マルと黒マルの動かし方のコツ
「青マルと黒マルを動かすコツは、これらが表示される1つ前の数値に留めることです」
インビザラインは、24時間各国の歯科医師のデータを集めてビッグデータ化しています。新人の歯科医師からベテランの歯科医師まで幅広い先生方の症例を集めた上で、予測実現性というものを常に高めているのだと、新渡戸先生は仰っています。
「インビザライン矯正をするにあたって、このデータの処理法は今後変わっていくかと思われます。ですがこれは、過去にあった実際のデータを積み上げ分析して青マルと黒マルの表示基準を決めていくのに大いに役立ちます」とのことです。
多くの歯科医師がやりがちな問題点
新渡戸先生は多くの歯科医師の方がやってしまう問題点として「歯科医師でインビザラインを導入したいと考える方は、まず初めにセミナーの受講や関連セミナーを調べて回るでしょう。ですが初期段階のインビザライン導入に必要なセミナーを受講できていない」ことを挙げました。
セミナーの内容が今必要な内容と合っていない
「経験上ですが、インビザラインの勉強会に行くと、間違った勉強会ばかりです。 根拠は今ここで僕の動画を観てくださっている先生方は、すでにお分かりなのではないでしょうか」と仰った上で、新渡戸先生はこう続けます。
「僕のセミナーに辿り着く前に、多くのクリンチェックに関するセミナーを受けて欲しい情報が手に入らなかったからだと思います」
つまり、新渡戸先生が仰る通り、多くの歯科医師の方が初期段階のインビザライン導入に必要な情報を入手出来ていらっしゃらないのです。
歯体移動があればあるほど枚数が増えてしまう
「歯体移動が多ければ多いほど枚数は増えてしまうんですね。 マウスピースは1枚あたり0.2から0.25ミリ動かすことができます」と新渡戸先生。
「仮に0.2mmだとしましょう。0.2mmということは、2.4mm動かすために12ヶ月かかるのです。0.2mm、0.2mm、0.2mmと歯体は動いていくのですが、全体の期間で見た際、時間が膨大に必要となってしまうのです」
歯体移動は長期的に見なくてはいけないということがここでお分かり頂けたことでしょう。この点は基本として覚えておかなくてはなりません。
「そうでなかった場合、マウスピースを83枚でやってみたけれどもうまくいかないでしょう。これではいけないと、追加でもう1度印象を取って、追加アライナーリファイメントをかけます。ここまでの対応で追加10〜20枚で済むと予測していたが、追加で70枚かかってしまった…というようなことを経験された方は多いのではないでしょうか」
新渡戸先生は続けてこうも仰っています。
「ここでの期間は1年半ぐらいかかります。治療完了の目途が立つと感じた矢先、追加50枚になってしまうのです。このように1年間で終わる見通しだったことも計画倒れしてしまいます」
3Dコントロール画面に青丸がついたということは、予測実現性が低下してしまったということを示します、と新渡戸先生は続けて仰いました。
新渡戸先生のインビザラインにおける提案
「僕としては、2.5mm圧下させたい場合、2.4mmでも良いのではないでしょうか、ということです」
矯正の専門医や認定医の先生方ならば矯正治療のみの対応で済むでしょう。患者さんの治療が長引いたとしても大きな問題はありません。しかしこの動画を視聴されている歯科医師の方はそうではないはずです。
根治や難抜歯、インプラント治療、訪問診療、BPSの作成と数ある医療行為を行う環境の中で、インビザラインにとりかからなくてはなりません。
基本的に矯正治療というのは、契約した日からその終わるまでは不良債権です。このような状態の中で正しくクリンチェックを行うことができないければ、インビザライン治療は期間内に期待される施術が終わらないことが多くなります。
まとめ
ここまで新渡戸先生にクリンチェックの基礎編として、青マルと黒マルについてとその動かし方と重要性に関して解説して頂きました。
新渡戸先生は「難しく考えず、シンプルに楽しみながら考えてやってみましょう」と仰っております。インビザラインのビッグデータを参考にして、ぜひまずは予測実現性が高い数値を用いて診ていくと自ずと結果はついてくるはずです。
ここまでお読みくださりありがとうございます。図解画像を踏まえた上で、ぜひ動画を観ておさらいし、アウトプットしてみてください。
次の動画では、引き続き新渡戸先生より、深掘りしてクリンチェック移動の基準と度合いについて解説して頂きます。