セミナー後日配信シリーズ

MBAメソッドから見た歯科経営

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講師
藤田久男
ファイン・インテリジェンス・グループ株式会社
代表取締役

セミナー後日配信シリーズ

こんな方におすすめ

歯科医院経営者:

現在、歯科医院を運営している経営者で、集患や患者リピート率の向上に課題を感じている方。


新規開業を予定している歯科医師:

これから歯科医院を開業しようとしている方で、成功するための経営戦略を学びたいと考えている方。


歯科医院のスタッフ:

医院の運営や患者対応に携わるスタッフで、より良いサービス提供のための知識を深めたい方。

動画の紹介

歯科経営におけるマーケティングの重要性

近年、歯科医療業界を取り巻く環境が大きく変化しています。

 

従来の保険診療だけでは経営が難しくなりつつあり、自費診療へのシフトが求められてきました。

 

しかし、自費診療には根本的なニーズが乏しいため、いかにニーズを喚起するかが重要になっています。

 

本稿では、歯科経営におけるマーケティングの重要性と、これからの歯科医院に求められる戦略について考察します。

 

マーケティングの変遷と歯科経営への適用

マーケティングの考え方は、時代とともに変化してきました。

 

その変遷を理解することで、歯科経営にも応用できる視点が得られます。

 

生産志向の時代(1960年代〜70年代前半)

この時代は、作れば売れる時代でした。

 

歯科医院に置き換えると、周囲に競合がなく、患者が自然と集まってくる状況に相当するため、サービス内容よりも、いかに多くの患者を効率的に診療するかが重要になります。

 

販売志向の時代(70年代〜90年頃)

物が作れるようになり、いかに顧客に届けるかが重要になった時代です。

 

歯科医院では、立地条件が良く、ある程度の患者数が見込める状況に相当し、立地戦略が重要になります。

 

マーケティング志向の時代(90年代〜)

顧客のニーズを把握し、それに応える商品やサービスを提供する時代です。

 

歯科医院では、地域内で一定数の患者を奪い合う状況に相当し、サービス内容や価格で差別化を図る必要があります。

 

関係性志向の時代(2000年頃〜)

顧客との関係性を重視し、囲い込みを図る時代です。

 

歯科医院では、患者との長期的な関係構築が重要になり、リピート率の向上や、患者一人あたりの診療回数の増加を目指す必要があります。

 製品ニーズとは何か

歯科医院が提供する価値は何でしょうか。単に「歯の治療」ではありません。患者が求める本当の価値を理解することが重要です。

 

例えば、保険診療の場合、患者の真のニーズは「痛みのない健康な生活」かもしれません。予防歯科なら「老後への不安解消」美容歯科なら「自己満足」や「異性にモテたい」といったニーズが考えられます。

 

これらの潜在的なニーズを理解し、それに応える価値を提供することが、これからの歯科経営には求められます。

 

マーケティングとセリングの違い

マーケティングとセリング(販売)は異なる概念です。セリングは短期的な売上を目指す活動ですが、マーケティングは長期的なブランド構築を目指します

 

歯科医院の場合、セリング志向とは、価格を安くして患者数を増やす戦略です。

 

一方、マーケティング志向は、サービス内容を差別化し、広告やプロモーションを通じて認知度を高め、価格にこだわらず患者を集める戦略です。

 

どちらの戦略を取るかは、各歯科医院の状況や目標によって異なりますが、長期的な視点では、マーケティング志向の重要性が高まっています。

制約条件理論とボトルネックの解消

経営において、全体のパフォーマンスを上げるためには、ボトルネック(最も弱い部分)を見つけ、それを解消することが重要です。歯科医院の場合、以下のようなボトルネックが考えられます。

 

・市場調査・立地:患者が少ない地域にある

・設備:古い設備で患者の満足度が低い

・医療技術:特殊な技術がなく、差別化ができない

・営業活動:新規患者の獲得が難しい

・フォローアップ:リピート率が低い

 

これらのうち、最も大きな制約となっている要素を特定し、そこに資源を集中させることで、全体的な経営パフォーマンスを向上させることができます。

満足要因と不満足要因

顧客満足度を上げるためには、満足要因と不満足要因を理解することが重要です。

 

不満足要因は、基本的なサービスや安全性、確実性、公平性などです。

 

歯科医院の場合、以下のような要素が該当します。

 

・基礎的な医療技術

・衛生環境

・プライバシーへの配慮

・待ち時間の短さ

・公平な対応

 

これらの要素が欠けていると、患者は大きな不満を感じ、再来院しなくなる可能性が高くなります。

 

一方、満足要因は、期待以上のサービスや付加価値です。歯科医院の場合、以下のような要素が考えられます。

 

・最新の設備

・快適な院内環境

・丁寧な説明

・予約システムの充実

・アフターケアの充実

 

これらの要素は、患者の満足度を高め、リピート率の向上につながります。

 

重要なのは、まず不満足要因を解消することです。不満足要因が1つでもあると、いくら満足要因を増やしても、患者は離れていく可能性が高くなります。

 

ハーズバーグの二要因理論

ハーズバーグの二要因理論は、従業員の動機付けに関する理論ですが、顧客満足にも適用できます。この理論によると、満足をもたらす要因(動機付け要因)と、不満をもたらす要因(衛生要因)は別物だとされています。

 

歯科医院に適用すると、衛生要因は基本的な医療サービスや清潔さなどで、これらが欠けると不満が生じますが、充足しても特別な満足にはつながりません。

 

一方、動機付け要因は、丁寧な説明や快適な環境、最新の設備などで、これらが充実すると満足度が高まります。

 

ただし、注意すべき点として、一度提供した満足要因は、次回も同じレベルの満足が得られないと不満足要因に変化する可能性があります

 

したがって、無理して高い満足度を提供し続けることは、長期的には経営を圧迫する可能性があります。

 

これからの歯科経営に必要なこと

以上の考察を踏まえ、これからの歯科経営に必要な要素をまとめると、以下のようになります。

将来の姿を想像する

5年後、10年後の歯科医療市場や自院の姿を具体的にイメージすることが重要です。

保険診療と自費診療のバランス、規模拡大の是非、地域の人口動態など、様々な要素を考慮に入れる必要があります。

提供価値の明確化

自院が提供している価値は何か、患者が本当に求めている価値は何かを明確にします。

両者にギャップがある場合は、そのギャップを埋める努力が必要です。

ボトルネックの特定と解消

自院の経営におけるボトルネックを特定し、その解消に必要なリソース(人材、資金、技術など)を投入します。

不満足要因の徹底的な排除

基本的な医療サービスの質、衛生環境、待ち時間など、患者の不満につながる要因を徹底的に排除します。

ニーズの創造

現代の飽和した消費社会では、顕在化したニーズだけでなく、潜在的なニーズを掘り起こし、新たな価値を提案することが重要です。

特に自費診療の分野では、患者が気づいていない「不満」や「不安」を見つけ出し、それを解消する方法を提案することが求められます。

長期的な関係性の構築

患者との長期的な関係性を構築し、リピート率を高めることが重要です。

そのためには、診療後のフォローアップや、予防歯科の推進などが効果的です。

効率的な運営

人材不足や業務の効率化といった課題に対しては、ITの活用が有効です。

例えば、電話対応の自動化やオンライン予約システムの導入などが考えられます。

ウェブマーケティングの活用

Google Maps上での広告やGoogleビジネスプロフィールの活用など、ウェブ上での露出を高めることで新規患者の獲得につなげることができます。

さいごに

歯科医療を取り巻く環境が変化する中、従来の経営手法だけでは生き残りが難しくなっています。

 

マーケティングの考え方を取り入れ、患者のニーズを深く理解し、それに応える価値を提供することが、これからの歯科経営には求められます

 

同時に、基本的な医療サービスの質を保ちつつ、患者との長期的な関係性を構築することも重要です。

 

ITの活用や効率的な運営にも目を向け、総合的な経営戦略を立てることが、今後の歯科医院の成功につながるでしょう。

 

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視聴者の皆様、質問はチャットやQ&A欄からぜひご入力ください。

 

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ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

 

編集・執筆

歯科専門ライター 萩原 すう

動画内容

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