講師紹介 今村 大二郎

  • 今村 大二郎
  • 医療法人社団 精密審美会 表参道しらゆり歯科
  • 院長
  • 総合精密診療を掲げる歯科医院で院長として日々診療を行う傍ら、株式会社TSL クリンチェック代行・インビザライン導入支援 部門担当として、主に一般開業医向けに矯正治療導入支援やインビザライン治療の質の向上のための代行業務を行なっている。
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こんな方におすすめ

インビザライン治療の計画に携わる歯科医師

ディープバイト症例の治療戦略を学びたい矯正医

クリンチェックの適切な指示出しに自信がない先生

動画の紹介

本動画では、ディープバイト、叢生、上顎前突を伴う

Ⅱ級症例のインビザライン治療計画修正について解説します。

 

特に、前歯の圧下コントロールは

矯正治療における永遠の課題です。

動画内容

ディープバイト症例におけるインビザライン治療計画の根本的修正

本症例は、下顎の叢生に加え、上顎前突とディープバイトを呈するⅡ級傾向の患者さんです。特に、前歯の過蓋咬合とそれに伴う前歯部のフレア、空隙(スキッパ)が顕著でした。このようなケースでは、インビザラインによる下顎前歯の圧化が治療の成功に不可欠です。

初期クリンチェックの課題と非現実的な動き

初回のクリンチェックでは、担当医が「枚数ありき」で35枚での完了を目指す傾向が見られました。治療目標達成が困難であった主な課題は以下の3点です。

  • 臼歯の過度な挺出とバイトアップ:噛み込んでいる状態での上下顎臼歯の挺出によるバイトアップは、臨床的にほぼ不可能です。ディープバイトの改善を目指すこの動きは、実現性が極めて低いと言えます。
  • ワイヤー矯正的な圧化のイメージ:下顎前歯の圧化と引き換えに臼歯が挺出するという動きは、リバースカーブワイヤーによる反作用のイメージであり、アライナー矯正の力学とは異なります。
  • 固定源のない全顎的遠心移動:Ⅱ級ゴムなどの固定源や補助装置の設定がない状態での上顎前歯の集団的な遠心移動は起こりません。

成功に導くための治療計画とステージング

これらの問題を解決するため、治療計画を根本的に変更し、段階的なステージングを行いました。合計枚数は48枚(以前のクリンチェックからの継続で計約60枚)となりましたが、臨床的に妥当な期間です。変更点は以下の通りです。

適切な力学に基づいたステージング

  • 臼歯の遠心移動:Cシェイプパターン(C-shaped pattern)を採用し、奥から順に臼歯を移動させ、固定源を確保。
  • 前歯の遠心移動:フロッグパターン(Frog pattern)を採用し、前歯部の効率的な移動とアライメントの改善を図りました。
  • 下顎前歯の圧下:エリアを分けて段階的に圧下をコントロールし、スピーの湾曲(Speeカーブ(スピーカーブ))を確実に解消。このSP湾曲の解消が、遠心移動のブロックを防ぎ、機能的な咬合(特にⅠ級への改善)に直結します。

治療を通じて、下顎前歯の圧化が進み、スペース(空隙)も解消。最終的に臼歯・犬歯関係はⅠ級となり、見た目の審美性も大きく向上しました。患者さんの協力度(コンプライアンス)も高く、約1年で満足のいく結果を得られました。適切なクリンチェックの知識と計画的な治療ステージングが、患者満足度と臨床結果の向上に繋がることを示す重要な症例です。

教えて先生

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