歯科医師と歯科衛生士の役割と違いについて知ろう

歯科医

歯科医師と歯科衛生士の業務内容や責任は全く別物です。しかし、歯科医院によっては歯科衛生士が歯科医師の業務内容を行なっているところなども多く、グレーゾーンのところもしばしば見受けられます。

 

1.歯科医師と歯科衛生士の役割とは

11.歯科医師の役割と責任

 

歯科医師は、歯科医学を学び、歯の治療や診断などの専門的な業務を担当する医師です。彼らは、口腔内の病気や異常を診断し、治療計画を立て、適切な治療を実施します。具体的な役割としては、虫歯の治療、歯の抜歯、歯周病治療、歯の補綴(詰め物や冠を含む)、口腔外科手術などがあります。歯科医師は、患者とのコミュニケーションを通じて症状や治療法を説明し、患者の口腔の健康を最適化する責任を負います。 

 

歯科医師法には以下のように記載されています。

 

歯科医師の任務・定義・義務

 

1)歯科医師の任務 (歯科医師法第1条 昭和23年7月30日施行) 

 

歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

 

2)歯科医師の法的定義 (歯科医学大事典 1989)

 

厚生大臣の免許(歯科医師免許)を取得して歯科医業を行う者(行うことの出来る者も含む)であり、歯科医療及び保健指導をつかさどることにより、公衆衛生の向上・増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する任務を担っている者である。 

 

3)歯科医師法に定められている歯科医師の義務

 

1.療養指導義務 2.応召義務 3.診断書の交付義務 4.無診療治療の禁止 5.処方箋の交付義務 6.歯科医師の現状届 7.診療録の記載及び保存義務

 

 

2.歯科衛生士の役割と責任

 

歯科衛生士は、歯科医療チームの一員として、患者の口腔衛生の維持と予防処置を担当します。彼らは、歯科医師の指示のもとで患者の口腔内の清掃や歯石の除去などの処置を行います。また、歯科衛生士は、患者に対して適切な口腔衛生の方法や予防の重要性について教育する役割も果たします。その他の役割としては、レントゲン撮影や歯のホワイトニングの補助などがあります。歯科衛生士は、患者の口腔健康を維持し、歯科医師の業務をサポートすることで、患者の全身の健康を促進する責任を負います。 

 

 

3.歯科医師と歯科衛生士の学習方法の違い

 

歯科医師は、大学で歯科医学を学ぶため、医学的な知識や臨床経験を身につけます。彼らは、口腔解剖学、生理学、病理学、歯科材料学、口腔外科学などの科目を学び、臨床診療の実践も経験します。また、歯科医師は、国家試験に合格し、歯科医師免許を取得する必要があります。 

 

一方、歯科衛生士は、専門学校や大学で歯科衛生学を学びます。彼らは、口腔衛生学、歯科保健学、口腔疾患の予防と管理、歯科機器の使用などの科目を修めます。また、臨床訓練を通じて、実際の患者への処置や指導方法を学びます。歯科衛生士は、国家試験に合格し、歯科衛生士の資格を取得する必要があります。 

 

4.役割の重複と連携

 

歯科医師と歯科衛生士は、患者の口腔健康を最適化するために連携して働きます。歯科衛生士は、患者の口腔内の清掃や予防処置を担当し、歯科医師は、疾患の診断や治療計画の立案を行います。歯科衛生士は、患者の口腔衛生の指導や予防処置を通じて、歯科医師の業務をサポートします。また、歯科医師は、歯科衛生士の観察や報告に基づいて治療計画を修正することもあります。連携を通じて、患者の口腔健康の改善に貢献します。 

 

5.グレーゾーンになっていない?歯科衛生士ができないこと

 

5-1.歯科衛生士ができないこと 

①病状の診断と治療計画の立案

 

歯科衛生士は、予防歯科や口腔衛生の管理に特化した専門職ですが、病状の診断や治療計画の立案はできません。これは、歯科医師の専門的な役割であり、歯科医師が患者の歯の状態を正確に診断し、治療の必要性や適切な方法を判断する責任があるからです。 

 

②処方薬の処方と処方箋の発行

 

歯科衛生士は、予防歯科や歯のクリーニング、歯石除去などの業務を担当しますが、処方薬の処方や処方箋の発行はできません。これは、処方薬の使用には医師の専門的な判断と責任が必要であり、歯科医師の役割となっています。歯科医師は、患者の症状や病歴を考慮し、適切な薬剤を処方することで治療の効果を最大化する役割を果たしています。 

 

③手術やインプラント治療の実施

 

歯科衛生士は、予防歯科や口腔衛生の管理に特化した業務を担当しますが、手術やインプラント治療などの専門的な治療を実施することはできません。これは、手術やインプラント治療には高度な技術と知識が必要であり、歯科医師の専門領域となっています。歯科医師は、患者の口腔の状態を評価し、手術やインプラント治療の必要性や適切な方法を判断し、実施することができます。 

 

④歯の抜歯や根管治療の実施

 

歯科衛生士は、予防歯科や口腔衛生の管理に特化した業務を担当しますが、歯の抜歯や根管治療などの専門的な治療を実施することはできません。これは、歯の抜歯や根管治療には専門的な知識と技術が必要であり、歯科医師の役割となっています。歯科医師は、患者の病状や症状を評価し、適切な治療方法を選択し、治療を実施する責任があります。 

 

まとめ

歯科医師と歯科衛生士は、それぞれ異なる役割と責任を持ちながら、患者の口腔健康の向上を目指して連携しています。

それぞれの職種を理解しながら、日々の診療に努めましょう。

 

ライター歯科衛生士 

cocco

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