こんな方におすすめ
日本矯正歯科学会の認定であり、フライトDrとして活躍している宮島悠旗先生のクリンチェックを大公開!
実際の操作方法や治療へのアプローチについて解説していただきました
皆様の治療アイデアの参考にご覧ください
動画内容
歯科医院向けのセミナー配信サイト「ORTC online」では歯科医療従事者が専門的な知識と技術を習得することを目的に、さまざまなな診療科目のセミナーや動画配信を行っております。
今回ご紹介するのは、日本矯正歯科学会認定インビザラインダイヤモンドプロバイダーの宮島悠旗講師です。
今回のセミナー動画は、以下のことが学べます。
?矯正医の視点から見た動かし方
?処方書の的確な書き方
?資料から押さえるべき大事なポイント
インビザラインでは、最初に的確な処方書を提出しておけば、そのあとスムーズなクリンチェックに移ることが可能です。
今回の講義では、矯正医からの視点から見た処方書の書き方をお伝えしていきます。
口腔内から見た問題点の抽出
最初に、口腔内の状態を見ていきましょう。
患者の主訴と口腔内の状況
患者の主訴がこちらです。
●上下顎前歯が叢生のため、ともに綺麗に並ばせたい
●深い咬み合わせが気になる
処方書を開く場合は、画面右側にある「アップロードされた資料」からスキャンしたデータや患者の顔貌写真、口腔内写真が確認できます。
そちらの資料をもとに、次はドクター側から見た口腔内の診断をしていきましょう。
●臼歯に不正咬合(ディープバイト)が確認できる
●右側・左側咬合面から、オーバージェットやオーバーバイトが確認できる
患者自身は、臼歯の状態について気づいていないため、一緒に資料を確認し、認識していただく必要があります。
しっかりカウンセリングをおこない、相違点が生まれないようにしましょう。
問題点の抽出
ここからは、さらに詳しく口腔内の状態を見ていきます。
まず側方から見ると、1歯対1歯のアングル2級だと判断できます。
大臼歯関係で見るとアングル1級のようにも見えますが、矯正治療診断から見ると犬歯と小臼歯が1歯対2歯になっているため、2級という判断が望ましいのです。
もともと日本人は、欧米人よりも歯の大きさが臼歯より前歯のほうが幅広いという特徴を持っているため、6番がアングルの分類でクラス1だと、犬歯関係はクラス2になるとされています。
そして矯正治療では、6番の関係で見ると1級よりむしろ3級傾向となるため、犬歯と小臼歯の関係は1歯対2歯をゴールに設定するのが通常です。
そのため、左右から見て2級だと判断ができます。
これらの結果を踏まえて、改めて見ていくとこのような問題点が抽出されました。
●上顎
?小臼歯が舌側傾斜
?狭窄歯列弓
●下顎
?小臼歯が舌側傾斜、捻転
?狭窄歯列弓
?臼歯が舌側傾斜のためスペース不足になり叢生になっている
舌側傾斜が認められる歯列弓の場合、そこをアップライトしてあげれば、自然とスペースが獲得できるでしょう。
口腔外から見た診断状況
では、ここからは口腔外資料から見た診断をまとめていきます。
顔貌写真の診断
顔貌写真では、正中が一致しているか、前歯の傾斜(近遠心的な傾斜)が平行になっているかを確認してください。
●側貌
・ややEラインより数ミリ突出気味
●正面観
・口唇閉鎖不全は認められない
・オトガイ筋の緊張は特に認められない
・リラックスしていても口は閉鎖できている
ここまで顔貌写真から観察するに、こちらの患者の場合は非抜歯対応が望ましいと言えます。
●スマイル写真
・顔面正中に対して、上顎歯列正中が一致している
・右上2番はやや遠心傾斜している
ここで注意していただきたいのは、実際に患者に鏡を持っていただき、主訴にかかわらずドクター視点で「このように見えますよ」とお伝えする必要があること。
患者に現状把握していただくことで、治療満足度を上げることができます。
最初は気にならなくても後から気になるパターンも出てくるため、問診やカウンセリングは非常に大切な行程です。
パノラマ写真診断
パノラマ写真から見た診断は以下の通りです。
・下顎前歯がやや左方へ傾斜している
・右上2番が遠心傾斜している
パノラマ写真で見るポイントは、上顎歯列の遠心移動ができるかどうかです。
上顎第2大臼歯を見ると、最初から遠心傾斜していることから、移動しにくい傾向にあることがわかります。
この患者の場合、犬歯関係を1級にするためには犬歯が3?4ミリほど遠心移動する必要があり、IPSなしで遠心移動するだけでは、移動が難しそうという判断がパノラマからわかるのです。
まとめ
アライナー作成は、あらゆる資料から判断する必要があります。
現在の状態から最終的に目指すゴールを設定することで、的確な処方書が書けるようになるでしょう。
そのためにも矯正の正しい知識を学んでいくことが大切です。