歯科超音波スケーラーの効果的な使い方について

コラム, 歯科衛生士

今日は歯科の治療器具の中で、特に重要な役割を果たしている「超音波スケーラー」についてお話します。

 

超音波スケーラーは、歯科衛生士や歯科医師が歯の表面から歯垢や歯石を除去するために使用する、スケーラーです。

正しい使用方法や患者さんへの指導が重要な役割を果たします。デンタルヘルスの一環として、超音波スケーラーの効果的な使い方について理解し、予防の観点からも取り組んでいきましょう。

 

使用前に行う声掛け

まず、超音波スケーラーを使う前に、患者さんに対して事前に説明を行いましょう。超音波スケーラーは高周波振動によって歯垢や歯石を取り除くため、少々の振動や音が発生することを説明し、患者さんの理解を得ることが重要です。

 

さらに、適切な出力設定を行うことも重要です。超音波スケーラーには出力調整の機能がありますので、患者さんの歯や歯垢の状態に合わせて、適切な出力を設定しましょう。ただし、出力を高くし過ぎると歯の表面を傷つける可能性があるため、慎重に調整することが必要です。

 

1. 振動の原理

超音波スケーラーは、振動する先端部分によって歯の表面の汚れを取り除く原理で動作します。振動周波数は20,00050,000Hzであり、この高い周波数によって歯の表面の汚れを効果的に取り除くことができます。

 

2. 正しい角度

超音波スケーラーを使用する際には、適切な角度で歯に接触させることが非常に重要です。先端部分を歯と平行に保ち、015度の角度で歯の表面に対して当てることが理想的です。このような角度で当てることによって、歯に対して効果的に振動を伝えることができます。

 

3. 適切な力の調整

超音波スケーラーの力は、使用する患者さんの歯の状態によって調整する必要があります。力が強すぎると歯の表面を傷つけてしまい、力が弱すぎると汚れが完全に除去されない可能性があります。歯の表面に対して適度な力をかけるように心掛けましょう。

 

4. 正しい動かし方

超音波スケーラーを動かす際には、先端をゆっくりと歯の表面や歯の形態に沿って動かすことが重要です。そして、ある程度の圧力をかけながら、歯の表面を均等に処理するようにしましょう。

 

5. 時間の制御

超音波スケーラーを使用する際は、一つの箇所に長時間当てすぎないように注意しましょう。過度な振動や熱生成により、歯へのダメージや患者さんの不快感が生じる可能性があります。そのため、一つの箇所には数秒間当てては外し、適度な休息を取りながら繰り返し行うことが重要です。

 

また、4秒以上同じ歯に当てていると響き、痛みを感じることがあります。

適切な時間を設定し、処置する範囲に応じて必要な時間で作業を進めるよう心掛けましょう。

 

6.超音波スケーラーの禁忌

 

1. 心臓病や心臓ペースメーカーの患者:

心臓病や心臓の異常を抱える患者や、心臓ペースメーカーを装着している患者は、超音波スケーラーの使用が禁忌とされています。

超音波振動が心臓に悪影響を与える可能性があることや、電磁障害を起こす可能性があるためです。治療前に患者の病歴を確認し、適切な処置を行うことが重要です。

 

 

2. 妊娠中の女性:

 

超音波スケーラーは、高周波振動を利用して歯の表面から歯の深部へ歯垢や歯石を除去するため、また水を使用することもあります。しかしながら、妊婦に対しては超音波の影響やストレス、心理的な負担を考慮しなければなりません。特に妊娠初期の段階では、慎重に検討し、不必要な操作は避けるべきです。

 

3. 知覚過敏の人

 

歯牙が過敏で痛みを感じやすい場合、超音波スケーラーは過敏症状を悪化させる可能性があります。過剰な振動や摩擦は神経を刺激し、歯の感受性を高めることがあります。このような患者には、超音波スケーラーの使用は控えるか、より低いパワー設定や手用スケーラーを検討する必要があります。

 

4. 歯周病進行中の患者:

歯周病が進行している患者に対しては、超音波スケーラーの使用が注意が必要です。振動によって歯周ポケット内の細菌が拡散し、感染や痛みを引き起こすリスクがあるためです。治療前には、拡散を最小限に抑えるための適切な技術や器具を用いる必要があります。

 

5. 錆や劣化が進んだ金属製の被せ物やインプラント:

超音波スケーラーは歯垢や歯石の除去に使用されますが、錆や劣化が進んだ金属製の被せ物やインプラントに使用することは推奨されません。振動によって被せ物やインプラントが損傷するおそれがあるため、患者の口腔内の状態や治療履歴を入念に確認することが必要です。被せ物やインプラントがある場合は、適切な手技や器具を使用して、患者の安全を確保しながら治療を行うべきです。

 

6.切開創や手術後:口腔内に切開創や手術後の傷がある場合、超音波スケーラーの使用は患者さんの快適さや治癒を妨げることがあります。傷口を刺激することで血腫や出血を引き起こすおそれもあるため、患者さんの状態をよく確認し、必要に応じて別の手段で歯垢や歯石の除去を行うべきです。

 

 

まとめ

超音波スケーラーの効果的な使い方についてご紹介しました。超音波スケーラーは歯科医院において欠かせない治療器具ですが、正しい使い方を知らないと患者さんに不快感や歯の損傷をもたらすことがあります。より効果的なクリーニングを行うために、正確な技術を学び、患者さんの口内健康を守ることが大切です。皆さんも正しい使い方を守り、患者さんの笑顔を守りましょう。

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