独立開業を考えている歯科医師なら知っておきたい!成功するための3つの秘訣

歯科医

歯科医師として働くなかで、独立開業について考えたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、いつどのようなきっかけで開業を決断しようか、そもそも開業してうまくやっていけるのか、となかなか決心がつかない方も多いでしょう。
 

見切り発車で開業を決断するのは、大変危険です。開業するにはさまざまな手続きも必要ですし、必ずしも引退するまで安定した経営ができるとは限りません。

「周りが開業し始めたから」「人間関係に不満がある」などの不満や不安を抱えたままではなく、目的をもって開業できるよう、自分自身の持っているビジョンを固めていきましょう。

ここでは、独立開業を考えている歯科医師さまに向けた「歯科医院の独立開業を成功させるための秘訣」を、歯科医師および歯科医院の現状を踏まえてお話していきます。


歯科医師および歯科医院の現状を知る 

「歯科医院はコンビニの数より多い」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。実際に2023年9月現在の歯科診療所の数は67,899件、コンビニエンスストアは55,772件との調査結果があり、歯科診療所のほうが多いのが現状です。

出典:令和3年医療施設調査|厚生労働省コンビニエンスストア統計データ(2023年7月)|日本フランチャイズチェーン協会

現状を知ることは、これから目指す歯科医師および歯科医院をイメージしやすくします。以下に端的にまとめましたので、ぜひお知りおきください。


歯科医師数は増加傾向に、歯科診療所数は減少傾向にある

日本では従来、個人で開業している歯科医師が多かったのですが、近年では都市部を中心にグループプラクティス(何人かの医師がグループとなって集団で開業をする)のかたちをとる歯科医師が増えてきてるようです。

その結果、歯科医師数は年々増えているのに対し、歯科診療所の数は平成30年を境に減少傾向を示しています。
 

「治療中心型」から「治療・管理・連携型」へ

少子化が進み子どもが減少していることや、むし歯の治療で来られる患者さまが減少していることは、みなさんも実感されていることかと思います。

これまでは歯の形態を回復する「治療中心型」の診療がメインでしたが、これからは高齢者の口腔機能を維持・回復することをメインとした「治療・管理・連携型」の診療の需要が高まっていくとされています。
 

歯科医院経営者の高齢化

歯科診療所を経営する歯科医師の高齢化が年々進んでいます。令和2年度の歯科診療所に従事する歯科医師の平均年齢は54歳、歯科医師の高齢化率(65歳以上の割合)は全国で21%です。

地域によっては、歯科医師の高齢化は深刻な状態とされており、歯科診療所が減っていく原因のひとつとも考えられています。このような地域では、今後歯科医師および歯科医院が不足してくる可能性が高いでしょう。

地域住民の高齢化も加速するため、訪問診療やリハビリテーションケア施設などでの診療の需要も高まってくると予想されています。

出典:令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省

 

歯科医院の独立開業を成功させるための秘訣

歯科医院の独立開業は、ゴールではありません。引退を考えるまで、安定した経営を続けるためには、外せないポイントがいくつかあります。独立開業を成功させるための秘訣は次の3つです。
 

秘訣1.他院との差別化を図る

まず、他の医院と何が違うのかを明確にする必要があります。例えば、これから需要が高まるとされているのが高齢者に対する治療の充実化です。

高齢者の受診率は70代を過ぎると急速に減少します。通院の困難になった高齢者は、歯科治療および専門的口腔ケアを在宅で受けられる訪問診療が必要とされています。

近年、トレンドは審美歯科という意見もあるようです。予防歯科がある程度定着してきたため、今後は健康的で美しい口元を求める人が増えてくると予測されています。審美歯科から予防歯科へと繋げる集患も考えてみてもいいかもしれません。

 

秘訣2.医院の魅力を発信する

患者さまが歯科医院を選ぶとき、インターネットを利用することが増えてきました。患者さまは「歯科治療は痛そう」「話を聞いてもらえるのか不安」など、患者の気持ちに寄り添ってもらえるのかを気にしている方が多いようです。

歯科医院の内装や診療内容を記載するだけでなく、歯科医師やスタッフの雰囲気が伝わるようなホームページを作成することで、患者さまの不安を解消することに繋がります。

また、立地・診療時間などの環境や、治療方法・診療内容など「自分が患者だったら何を知りたいか」を意識することで、選んでいただける歯科のホームページを目指しましょう。

最近ではスマホでホームページを見る方も多いですので、スマホから見やすいようデザインを工夫したり、表示速度が遅くならないよう意識することも大切です。

 

秘訣3.スタッフにとっても条件・環境の良い医院を目指す

歯科業界は人手不足が続いています。患者さまに継続して来院していただくためには、優秀なスタッフが必要です。日本で働く歯科衛生士のほとんどは女性ですので、ライフスタイルに合わせた働き方ができるかどうかも重視されています。

Z世代(10代中盤から25歳ぐらいまでの若者の世代)では、ひとつの仕事に依存しない働き方、働きやすさを重視した職場を選ぶ傾向が強いというデータがあります。

これまでとは違い「必要であれば転職は当たり前」と前向きに捉える風潮が強いです。これは歯科に勤務するスタッフにもいえることでしょう。

 

安定した経営を続けるために

歯科医院を開業し安定した経営を続けるためには、現状を認識し、課題に対して正しく対応する必要があります。

改善点があれば見直しをしたり、新しい治療や診療内容を導入したり、工夫をしながら将来の目標へ向けて取り組みましょう。
 

 

 

 

 

 

ORTC 歯科衛生士ライター
hashimo
 

【自己紹介】
歯科衛生士歴11年。
2021年から歯科衛生士webライティングを開始。
現在も歯科衛生士として働きながら、執筆活動をしている。
「患者さまに喜んでもらえる歯科衛生士」がモットー。

 

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