感染症は歯科医療従事者にとって非常に重要なテーマです。日々の診療で感染を防ぐには、確実な知識と正しい予防行動が欠かせません。ここでは、感染症の分類や代表疾患、予防・管理方法を体系的に解説します。
感染症の分類とは?
感染症はどうやって分類されているのか
感染症は、病原体の種類や感染経路、重症度によって分類されます。代表的な分類には、細菌感染症・ウイルス感染症・真菌感染症などがあります。それぞれの特徴を理解し、原因と予防法をセットで覚えることが大切です。
感染症法による分類の目的とは
感染症の「類型」による分類は、感染症法(感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律)に基づいた区分けです。「危険度」「感染力」「対策の緊急性」などを基準に、一類から五類までに分かれています。
一類感染症は最も危険性が高く、医師は診断後ただちに保健所に届け出る義務があります。二類・三類と数字が増えるにつれて、感染力や危険性は相対的に下がります。
代表的な感染症にはどんなものがある?

風しん、麻疹(はしか)、インフルエンザなどは代表的なウイルス感染症です。感染経路や症状、予防法を整理して理解することで、臨床現場での判断力が高まります。
感染症を覚えやすくする語呂合わせは?

一類感染症|「南米の1番えらいペットはクマ」
一類に分類される感染症は次のようなものがあります。
- 南米出血熱
- エボラ出血熱
- ラッサ熱
- ペスト
- クリミア・コンゴ出血熱
- マールブルグ病
- 痘瘡(天然痘)
それでは一類感染症を覚えるゴロを紹介していきます。
「南米の1番えらいペットはクマ」
- 「南米」→南米出血熱
- 「1番」→一類
- 「え」→エボラ出血熱
- 「ら」→ラッサ熱
- 「ペット」→ペスト
- 「ク」→クリミア・コンゴ出血熱
- 「マ」→マールブルグ病
参考:健康セオリサイト
二類感染症|「ジポ結、鳥がSARSで中東へ」
二類に分類される感染症は次のものがあります。
- ジフテリア
- ポリオ(急性灰白髄炎)
- 結核
- 鳥インフルエンザ(H5N1)
- SARS(重症急性呼吸器症候群)
- MERS(中東呼吸器症候群)
二類感染症を覚えるゴロを紹介していきます。
「ジポ結、鳥がSARSで中東へ」
- 「ジ」→ジフテリア
- 「ポ」→ポリオ
- 「結」→結核
- 「鳥」→鳥インフルエンザ(H5N1)
- 「SARS」→重症急性呼吸器症候群
- 「中東」→中東呼吸器症候群(MERS)
三類感染症|「パチンコ屋で赤チフス大当たり」
三類に分類される感染症は次のようなものがあります。
- パラチフス
- 腸チフス
- コレラ
- 細菌性赤痢
- 腸管出血性大腸菌(O-157)
三類感染症を覚えるゴロを紹介していきます。
「パチンコ屋で赤チフス大当たり」
- 「パ」→パラチフス
- 「チン」→腸チフス
- 「コ」→コレラ
- 「赤」→細菌性赤痢
- 「チフス」→腸管出血性大腸菌(O157)
四類感染症|「黄デンマラジカ、ボツ鳥に狂う犬」
四類に分類される感染症は次のようなものがあります。
- 黄熱
- デング熱
- マラリア
- ジカ熱
- ボツリヌス症
- 鳥インフルエンザ(H5N1を除く)
- 狂犬病
- ツツガムシ病
- 日本脳炎
- A型肝炎・E型肝炎
- 炭疽
- 野兎病
- Q熱
四類感染症を覚えるゴロを紹介していきます。
「黄デンマラジカ、ボツ鳥に狂う犬」
- 「黄」→黄熱
- 「デン」→デング熱
- 「マラ」→マラリア
- 「ジカ」→ジカ熱
- 「ボツ」→ボツリヌス症
- 「鳥」→鳥インフルエンザ
- 「狂犬病」→狂犬病
五類感染症|「インフルMR・B・C肝、梅の木破壊」
五類に分類される感染症は次のようなものがあります。
- インフルエンザ
- 麻疹
- 風疹
- B型肝炎、C型肝炎
- 梅毒
- 破傷風
- MRSA
- VRE
- クリプトスポリジウム症(クロイツフェルトヤコブ病)
- AIDS
五類感染症を覚えるゴロを紹介していきます。
「インフルMR・B・C肝、梅の木破壊」
- 「インフル」→インフルエンザ
- 「M」→麻疹(はしか)
- 「R」→風疹(Rubellaの頭文字)
- 「B・C肝」→B型肝炎、C型肝炎
- 「梅」→梅毒
- 「破」→破傷風
新興感染症・再興感染症とは?
新興感染症
- AIDS(後天性免疫不全症候群)
- SARS(重症急性呼吸器症候群)
- エボラ出血熱
- 鳥インフルエンザ
- O-157(腸管出血性大腸菌感染症)
- ウエストナイル熱
- ラッサ熱
再興感染症
- 結核
- ペスト
- サルモネラ
- コレラ
- マラリア
- ジフテリア
- デング熱
- 狂犬病
感染症を防ぐにはどうすればよい?
感染予防の基本3原則
感染予防の基本は「ハンドハイジーン(手洗い)」「感染経路の遮断」「予防接種」です。 また、手袋・マスク・ガウン・ゴーグルなどの個人防護具(PPE)を正しく使用することが不可欠です。
感染症は隔離が必要?
隔離の目的と基準
すべての感染症で隔離が必要なわけではありませんが、感染拡大のリスクが高い場合には隔離が求められます。経気道・飛沫・接触など、感染経路に応じた隔離対策を行いましょう。
感染管理の基本とは?

感染管理は「予防・検出・対応・報告」の4ステップで構成されます。 早期発見と迅速な報告により、院内感染リスクを大幅に減らすことができます。医療チーム全体で情報共有を徹底することが重要です。
感染症の学び方のコツは?

学生や医療従事者は、自分なりのゴロや覚え方を作ることで知識が定着しやすくなります。 感染症の理解は暗記ではなく「構造で覚える」ことがポイントです。
この記事のまとめFAQ
感染症はなぜ分類されているのですか?
感染症法に基づき、「危険度」「感染力」「対策の緊急性」などを基準に一類から五類まで分類されています。
一類感染症にはどんな疾患がありますか?
南米出血熱、エボラ出血熱、ラッサ熱、ペストなど。診断後、即時に保健所へ届出が必要です。
感染症を防ぐ基本的な方法は?
手洗い、感染経路の遮断、予防接種の3つが基本です。個人防護具(PPE)の適切な使用も重要です。
新興感染症と再興感染症の違いは?
新興感染症は最近新しく発見された感染症、再興感染症は一度減少したが再び流行している感染症を指します。
感染管理の目的は何ですか?
感染を防ぐだけでなく、発生後に迅速な対応と報告を行い、医療現場全体で被害を最小化することです。
ライター歯科衛生士 西
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