講師紹介 稲山未来

- 稲山未来
- Kery栄養パーク
- 代表 管理栄養士
- 栄養士養成校を卒業後、特別養護老人ホームで調理に携わりながら管理栄養士の国家資格を取得。給食管理や栄養管理に加え、看取り期の食支援にも深く関わり、高齢者が“最期まで食べる”ことを支える重要性を学んだ。 さらに、食事だけでなく生活全体を支えるため介護支援専門員資格を取得し、包括的なケアに取り組んできた。
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訪問栄養食事指導スタートガイド

管理栄養士の訪問栄養食事指導を始めたい歯科医院や管理栄養士
訪問歯科診療を立ち上げ、医科歯科連携を強化したい歯科医師
摂食嚥下リハビリテーションに関わり、栄養管理の全容を学びたい歯科衛生士
歯科医院に管理栄養士を迎え入れ、在宅支援を推進したい経営層
本動画「訪問栄養食事指導スタートガイド ステップ14」は、これまで学んできた訪問栄養食事指導の全プロセスを総括し、実践への総まとめを行うものです。管理栄養士が在宅で活躍するために必要な導入前の準備から、算定要件、対象者の見つけ方、そして指導の核となる栄養ケアプロセスの各段階をポイントを絞って復習します。
訪問指導を開始する前の必須準備として、介護保険請求ソフト(レセコン)に「管理栄養士による居宅療養管理指導」の項目が搭載されているかを確認する重要性が強調されます。また、居宅療養管理指導のサービス提供に必要な契約書の作成・更新、そして主治医に記入を依頼する指示書、栄養ケアプロセスに必要なアセスメント・モニタリングシート、栄養ケア計画書など、厚生労働省の様式を含む必要書類の整備手順を復習します。この整備を怠ると、せっかくの指導が介護報酬の請求につながらないリスクがあるため、細心の注意が必要です。
介護予防居宅療養管理指導を含む算定要件を再確認します。特に「通院困難」「特別食の必要性(糖尿病、腎臓病など)」「低栄養状態」の判断基準が重要です。歯科医院に所属する管理栄養士は「居宅療養管理指導Ⅱ」を算定し、月に2回(特別な追加指示があればさらに2回)が限度となります。対象者の見つけ方として、最初は歯科医院内部(歯科医師や歯科衛生士からの紹介)を起点とし、指導に慣れるまでは単一疾患や得意な症例に絞って経験を積むことが推奨されます。
栄養ケアプロセスは、スクリーニング→アセスメント→栄養診断(PES報告)→計画(プランニング)→介入→モニタリング・評価の流れで構成されます。動画では、このプロセスにおける各段階の連動性が重要であることを再強調します。特に、栄養診断のPES報告で用いたアセスメントデータ(S)が、その後のモニタリング項目となり、介入の成果を客観的に評価する基準となることを解説。例えば、嚥下機能の課題が原因で知識不足が問題となっている場合、介入として嚥下調理指導を行い、モニタリングで食事摂取量や嚥下機能の変化を追跡します。
最終段階のモニタリングと評価では、課題が解決していれば指導は終了(卒業)となりますが、改善が見られない場合はアセスメントへ戻り、プランを立て直すPDCAサイクルの重要性が示されています。指導記録は主治医とケアマネジャーへの報告が義務付けられており、情報共有が継続的な在宅支援の鍵となります。この総まとめを通じて、歯科医療の専門性と栄養管理の連携を深め、患者の口腔機能と全身の栄養状態の両面から支援する、管理栄養士の役割が明確になります。
