クラスプ新製する修理

講師紹介　伊藤高史

• 伊藤高史
• いとう歯科医院　院長
• プロフィールページ

こんな方におすすめ

◆歯科医師向け（一般開業医）

患者さんが古い義歯を持参した際の対処法を検討するうえで、既存の入れ歯を活かす方法を再確認する機会となります。
本動画では、クラスプの新設や石膏モデルを用いたスピード修理など、日常の歯科診療で応用しやすい技術が具体的に示されており、
患者満足度を高める即戦力情報として活用できるでしょう。
 

◆歯科衛生士向け

短時間で入れ歯の補修を実現するための手順とポイントが詳しく解説されているので、
歯科衛生士が院内での補助業務を担う際に役立ちます。
クラスプやレジンを用いた修理の流れを理解することで、口腔ケア指導の際にも患者さんへ適切なアドバイスができ、
歯科衛生管理の質を向上させられるでしょう。
 

◆歯科技工士向け

精巧なクラスプ作製や模型への石膏流しなど、補綴物製作における細部の工程が動画で確認できます。
短時間での修理を実現する工夫が具体的に示されているため、
新規作製時だけでなく、義歯修理のオプションを広げるヒントが得られるでしょう。
模型固定の方法やレジンの盛り方など、精度とスピード両立の技術が学べます。
 

◆歯科助手向け

動画内で紹介されるミニトレーを使った印象採得やレジンの補充方法などは、
補助業務として歯科助手が把握しておくと便利です。
患者さんが持ち込む入れ歯が合わない状況でも、
新たな義歯作製までの間に迅速に対応する手順を理解すれば、
スムーズな院内連携や患者説明に貢献できます。
 

◆その他院内スタッフ向け（受付・コーディネーターなど）

受付スタッフやトリートメントコーディネーターにとっても、
短期間での義歯修理が可能であることを知っていれば、
患者さんからの問合せ対応やスケジュール調整が円滑になります。
歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士と連携する際の基本的な流れを把握することで、
院全体として患者さんの不安を早期に解消しやすくなり、
歯科診療の質を高める後方支援が可能になります。
 

動画の紹介

【はじめに：短時間で義歯を再生する発想】

義歯の不適合に悩む患者さんは少なくありませんが、まったく新しい入れ歯を作るとなると、型取りから完成まで数週間を要するケースが多いのも現実です。
本動画では、古い義歯に新規クラスプを付与し、噛み合わせの調整を経て短時間で使える状態へ蘇らせる工程が紹介されています。
歯科診療の現場で時間とコストを抑えつつ、患者さんの負担を軽減する工夫が満載で、すぐに臨床へ応用できる実践的な内容です。

 

【修理のポイント1：模型作製とトレー選択】

まず印象採得時には、小型の回転トレーを用いることで必要最小限の石膏モデルを作製し、効率良くクラスプの追加加工が行える点が特徴的です。
歯科助手や歯科衛生士がこの手順を把握しておくと、院内の作業分担がスムーズになり、患者さんの待ち時間も短縮できます。
石膏模型にしっかりと義歯が固定されるよう工夫すれば、クラスプやレジンを盛る際の安定感が増し、完成度も高まるでしょう。

 

【修理のポイント2：クラスプ作製の細やかなテクニック】

義歯が大きく変形していなくても、合わない原因がクラスプ部分の欠損であったり、既存のクラスプ形状が不適切だったりする場合は意外に多いものです。
本動画では、単弓のクラスプを新たに作成し、歯肉側やレジン部分との接触を最適化する手順を解説しています。
クラスプの末端をあえて歯面から少し離しておき、最終的なレジン盛りで微調整する方法は、作り込み過ぎによる装着困難を防ぐうえで非常に有効です。

 

【修理のポイント3：石膏除去とレジン盛りのコツ】

実際に石膏モデルを壊す際は、ペンチなどの力任せな方法ではなく、エンジンバーで丁寧に削っていくのがポイントとされています。
もしクラスプや義歯自体を変形させてしまえば、せっかくの修理が台無しになりかねません。
動画では、そのあたりの注意点や石膏の除去速度をコントロールするコツが映し出されており、視覚的に理解しやすい構成です。
レジンを盛る箇所や厚みの見極めも合わせて紹介されているため、審美不良や装着時の違和感を防止できます。

 

【修理後の調整と応用】

完成した義歯を実際に口腔内へセットし、噛み合わせを確認する工程では、古い義歯特有のズレや咬合高径のずれが生じる可能性も示されています。
しかし、本動画では「それでも大まかに合えば、あとは微調整で十分対応できる」と強調され、
新義歯作製までのつなぎとして患者さんに快適な環境を提供するメリットが明確に伝わります。
院内スタッフが協力して経過観察を行い、必要があれば後日再調整すればよいので、
新たに義歯を一から作るよりも時間的・経済的負担を抑えることが可能です。

 

【まとめ：歯科診療を支えるスピード補綴の価値】

本動画が示す短時間修理の最大のメリットは、患者さんの「入れ歯が合わず困っている」という緊急性の高い状況に素早く対応できる点です。
歯科医師はもちろんのこと、歯科衛生士や歯科技工士、歯科助手などがそれぞれの工程を正しく理解し連携すれば、
90分程度の修理で義歯が再生され、すぐに口腔ケアへ移行できる体制を整えられます。
歯科医院としては患者満足度の向上につながり、歯周病リスクや咬合不調和による全身への影響を最小限にとどめる効果も期待できます。

短期的な対処だけでなく、いずれ新しい義歯を作る際にも、この修理過程で得られるフィードバックは大いに役立つでしょう。
実際の装着感や咬合調整の情報をもとに、より完成度の高い新義歯を設計できるからです。
院内でのチームアプローチによって迅速かつ正確に対応する歯科診療を実践すれば、
患者さんの信頼と安心感がいっそう高まるに違いありません。