講師紹介 稲山未来

  • 稲山未来
  • Kery栄養パーク
  • 代表 管理栄養士
  • 栄養士養成校を卒業後、特別養護老人ホームで調理に携わりながら管理栄養士の国家資格を取得。給食管理や栄養管理に加え、看取り期の食支援にも深く関わり、高齢者が“最期まで食べる”ことを支える重要性を学んだ。 さらに、食事だけでなく生活全体を支えるため介護支援専門員資格を取得し、包括的なケアに取り組んできた。
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こんな方におすすめ

管理栄養士の訪問栄養食事指導を始めたい歯科医院や管理栄養士

歯科訪問診療に携わり、多職種連携を強化したい歯科医師・歯科衛生士

摂食嚥下リハビリテーションに関わり、栄養介入の実際を知りたい歯科スタッフ

低栄養患者の栄養介入について知識を付けたい歯科医療従事者

動画の紹介

本動画では、管理栄養士が行う訪問栄養食事指導の具体的な栄養介入と、その後の報告・継続的支援へのつなげ方を詳述します。

事前に作成した栄養ケア計画書に基づき、いかに実践的な指導を行うかを解説します。

動画内容

介入のための準備とアセスメント

まず、訪問時に持参する具体的な持ち物が紹介されます。嚥下障害の対象者が多いことを考慮し、藤岡式の嚥下模型(患者・家族への説明用)や、喉の嚥下音を確認するための小児用聴診器(リットマン)が推奨されます。

体重が測定できない在宅患者の低栄養アセスメントのため、皮下脂肪厚を測るアディポメーターや、ふくらはぎ周囲長を測るインサーテープ(メジャーで代用可)の使用が推奨されています。これらのツールは、医科歯科連携を考える上で参考になります。

効率的な指導記録と多職種への共有プロセス

指導後の記録については、様式に決まりがないものの、指導内容を忘れずに実践してもらうこと、そして主治医やケアマネジャーへの報告が義務付けられていることから、分かりやすさが重要です。

講師は、手書きの指導記録をスマートフォンのスキャン機能でデータ化し、FAXで関係者(主治医、ケアマネジャー、必要に応じて看護師、ヘルパーなど)に送付することで、事務作業を最小限に抑える工夫を紹介しています。また、患者が記録を紛失しないよう、専用のバインダーを用意して時系列で保管する配慮も示されています。

食費300円・認知症独居高齢者への具体的介入戦略

動画の後半では、糖尿病と認知症を併発し、調理環境に制限があり(ガスなし、電子レンジのみ)、1日の食費が300円という極めて困難な事例に対する介入戦略が詳細に解説されます。介入の鍵は、ヘルパーへの具体的な指導と連携です。

 

認知症のため本人への指導は困難であるため、ヘルパーに安価で栄養の取れる食材(冷凍の挽肉、肉団子、豆腐、納豆など)を用いた献立と電子レンジ調理レシピを提案。

さらに、糖尿病のコントロール不良と低血糖リスクの回避を両立するため、経腸栄養剤(エンシュア)を冷凍庫で保管し、溶けるまでの時間差を利用して食間に飲んでもらうよう調整するという、極めて実践的かつ知恵の詰まった栄養介入技術が披露されました。

この事例は、歯科医療従事者が関わる摂食嚥下リハビリテーション後の継続的な食事形態の調整や、生活困窮者への栄養ケアを行う上でも、大きな示唆を与えます。

 

これらの介入と詳細な報告を通じて、管理栄養士は栄養ケア計画の実効性を高め、多職種間の共通認識を形成し、在宅患者への質の高い継続的支援を実現します。

教えて先生

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