講師紹介 伊藤高史

- 伊藤高史
- いとう歯科医院 院長
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急患のクラウン脱離や欠損に対して「その日のうちに咬合を回復させたい」が、技工所依存度が高く治療時間や費用が膨らみがちな院長先生にとって、チェアサイドで一本義歯を完結できる本技術は患者満足度と収益性を同時に向上させる実践的ソリューションとなります。
保険診療主体で経営するものの、自費補綴メニュー拡充へ一歩踏み出せずにいる歯科医院に、低コストかつ短時間で提供できる部分床義歯の実例として導入障壁を下げ、スタッフ教育にも応用できるノウハウを提供します。
院内技工士との連携において「模型精度」「アンダーカット処理」「クラスプ設計」の擦り合わせが課題となる歯科医師へ、術者自身がワイヤーベンディングを行うワークフローを共有し、技工サイドの工数最適化と即日納品体制の構築を促進します。
外来困難な超高齢者施設・在宅現場で、欠損補綴を短時間かつ少ない器材で完結させたい歯科医療従事者に、アルジネート印象からワイヤークラスプ調整までポータブルに実施できる手技として活用でき、義歯離脱による誤嚥リスク低減にも寄与します。
レスト形態、保持力調整、咬合面単鉤など、教科書だけでは理解しにくい細部を視覚的に学習できるため、臨床現場に立つ前に「調整の勘所」を習得し、チェアサイドで即戦力となるスキルを身につけたい新人スタッフに最適です。
杉並区で三代続く伊藤歯科医院の伊藤貴史先生は、残根のみが残る難症例であっても、アルジネート印象とワイヤークラスプを組み合わせることで、わずか90分という短時間で本義歯(左上5番部)を完成させ、即日装着まで実現しました。本動画では、その臨床ステップを症例写真とともに公開し、模型作製からクラスプ調整、即重レジン筆盛り、口腔内フィッティングまでをノーカットで解説しています。
部分床義歯の修理・増歯や単鉤義歯の急ぎ案件は、院内技工が不可欠とはいえ「印象→模型硬化→設計→重合→研磨」で半日~1日を要するのが一般的です。外部技工所へ出すとさらに日数とコストがかかり、患者の生活機能はその間制限されます。伊藤先生のプロトコルは、
アルジネート印象で迅速に模型を作成
ワイヤークラスプを後調整前提でルーズに屈曲し石膏破壊リスクを低減
咬合面ワイヤー(単鉤)をレスト代替に利用し支持力を確保
即重レジン筆盛りで低めの人工歯を仮盛りし口腔内で咬合調整
というシンプルな4ステップに集約。高価な鋳造やCAD/CAM設備を用いずチェアサイドで完結可能な点が最大の魅力です。
クラスプ調整の“緩さ”―模型上で締め過ぎるな
アンダーカット回避策―絶速・頬側のルーズ設計で着脱性確保
人工歯高さの“控えめおろし”―咬合初期トラブルを防止
研磨後の補強線兼用ワイヤー―強度と薄さを同時に追求
チェアサイドタイムの短縮:患者の待機ストレスを軽減し診療効率を向上
コストパフォーマンス:院内の既存材料のみで完結し外注費ゼロ
再調整率の低下:咬合接触コントロール法を学ぶことでリテーナンス向上
患者満足度の向上:食事・会話に即日復帰できる安心感
本記事では、動画内の各シーンを静止画とキャプションで整理し、臨床に応用するためのチェックリストと注意点を併せて紹介します。義歯修理のスピードアップだけでなく、維持力・審美性・快適性のバランスを如何に担保するかという補綴学的視点も掘り下げ、読了後すぐにチェアサイドで再現できる実践的ガイドとしてまとめました。
左上5番クラウン脱離後、残根状態が進行し再根管治療・支台築造・再補綴では治療期間・費用・侵襲が大きいと判断。患者ニーズ(早期咀嚼回復・低侵襲・費用抑制)に応えるため、一本義歯(シングルトゥースパーシャルデンチャー)を選択した。歯周状態は可及的保存が困難なレベルであったが、隣在歯は健全。咬合支持を維持する意味でも早期機能回復が必須だった。
抑圧排除下での速硬化タイプ使用:残根周囲の滲出液・出血を想定し、操作時間を短縮。
アンダーカット部のワセリン塗布で印象材ロックを防ぎ、模型撤去時の変形を最小化。
外周トリミングは模型削耗を考慮し重要部位のみ際立たせる。
石膏硬化初期は摩耗が早く、ワイヤーを過度に締め込むと保持部が削れ適合不良を招く。伊藤先生は
・測定ゲージでアンダーカット深度(0.25 mm)を確認
・保持部は模型上0.1 mmの“緩み”を許容
・ベータチタン0.9 mm線を用い、口腔内での微調整を前提
というステップでクラスプを成形。「緩めで製作→口腔内で締める」ワークフローにより、石膏誤差と粘膜沈下量を安全域に包含している。
補綴力学的に一本義歯は回転中心が近接し脱離方向のモーメントが大きい。咬合面単鉤を隣在歯に跨らせることで、
・レスト機能による水平安定
・咬合圧を軸外方向へ逃がす
・クラスプ依存の保持力補強
の三役を担う。動画では赤矢印で示される接触点調整を細密に行い、レストシートのような荷重伝達を実現。
筆盛りのキーポイント
・低粘度リキッドで流動性確保し、クラスプ溝を完全封鎖
・隣在歯接触点に0.2 mmクリアランスを確保して研磨余地を残す
・人工歯は隣在より0.5 mm低い咬合面にセットし、位置付け後に患者咬合で最終硬化させる
加圧印象と咬合調整
・口腔内でパラフィンワックススペーサーを咬合面に挟み最大閉口⇒過高部位に染色
・即重レジンで点的加圧印象を取り、粘膜圧痕を視認しながら内部切削
・研磨後、シリコンインジケーターで咬合接触を確認し0.3 mm以内に調整
ワイヤークラスプが補強線代わりとなり強度を担保。伊藤先生のクリニカルデータでは破折・折損率0.7%以下/3年と報告されている。
装着時のフィードバック:保持力を“指一本で外せる程度”に設定し、粘膜圧迫痛・咬合不適感をヒアリング。
1週間後再評価:義歯床辺縁の発赤・潰瘍・咬耗パターンをチェックし、必要に応じ0.2 mm追加トリミング。
月次フォロー:残根部の清掃指導を徹底し、メタルプラークの付着状況を義歯洗浄剤で管理。
外注費ゼロ→粗利率60%超
再来院率向上:即日補綴体験者のリコール継続率92%(自院調べ)
口コミ誘発:SNS投稿で“その日に噛めた”喜びが拡散し、新患流入の導線となる。
術拡大鏡下での筆盛りやワイヤーベンディングは歯科衛生士にも習得可能。院内カンファレンスで本動画を共有し
DH:義歯調整サポート
DT:ワイヤー曲げパターン提案
DR:最終咬合判断
を一気通貫させることで、平均チェアタイムを45分短縮したケーススタディも紹介されている。
本動画は「欠損補綴=時間と費用がかかる」という既成概念を打破し、即時重合レジン×ワイヤークラスプという古典的でありながら再現性の高い手技をアップデート。補綴分野でDXが叫ばれる中、アナログ技術の完成度を高めることで“患者満足”と“経営効率化”を同時に叶える実践的アプローチを学べる必見コンテンツである。