どんなに壊れていても90分でできる義歯修理

歯科医師が義歯新製(肩のない両翼鈎、咬合面を回る単鈎)

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講師
伊藤高史
いとう歯科医院 院長

どんなに壊れていても90分でできる義歯修理

こんな方におすすめ

1. 義歯製作の効率化を目指す若手歯科医師

義歯製作における時間短縮と効率化は、日々の診療において非常に重要な課題です。本動画では、わずか90分という短時間で高品質な義歯を完成させる具体的な手法が示されており、特に経験の浅い若手歯科医師にとっては、その実践的なノウハウを習得することで、より多くの患者に対応できるようになるでしょう。効率的なワークフローを確立したいと考える先生方に最適です。

2. 複雑な症例の義歯設計に悩む歯科医師

アンダーカットのある症例や、既存の補綴物との適合に課題を抱えるケースなど、義歯の設計は多岐にわたります。本動画では、舌側アンダーカットや咬合面を回る部分へのクラスプの設計など、具体的な困難な状況への対応策が詳細に解説されており、複雑な症例に直面した際にどのように設計を最適化すべきか、そのヒントを得たい歯科医師に深く役立つ内容です。

3. 技工士との連携を強化したい歯科医師

義歯製作において、歯科医師と歯科技工士間の連携は不可欠です。本動画で示されるように、歯科医師自身が義歯製作のプロセスを理解し、実際に手を動かすことで、技工士への指示がより具体的かつ的確になります。また、技工士が困難と感じるような症例でも、歯科医師が製作スキルを持つことで、より円滑なコミュニケーションと解決策の提案が可能となるため、連携の質を高めたい歯科医師におすすめです。

4. 患者満足度向上を目指す開業医

患者は、義歯の適合性や装着感に高い期待を寄せています。本動画で紹介されるような、歯科医師が細部にわたってこだわりを持って義歯を製作する姿勢は、患者からの信頼獲得に直結します。特に、咬合調整やクラスプの適合など、患者の不快感を最小限に抑えるための工夫が凝らされており、患者のQOL向上に貢献したいと考える開業医にとって、その実践的なアプローチは非常に参考になるでしょう。

5. 義歯臨床におけるスキルアップを図りたいベテラン歯科医師

長年の経験を持つベテラン歯科医師であっても、新たな技術や発想を取り入れることで、さらなる臨床の質向上を図ることができます。本動画では、既成概念にとらわれない義歯製作のアプローチが示されており、特に「肩のない翼と咬合面を回る単鉤」の活用など、従来の義歯製作とは異なる視点から、よりシンプルかつ効果的な治療法を模索するベテラン歯科医師にとって、自身の臨床スキルをさらに高めるためのヒントが得られるでしょう。

動画の紹介

いとう歯科医院が提示する90分義歯修理の革新:咬合性外傷への新たなアプローチ

本動画では、杉並区久保で三代目として義歯治療を数多く手掛けるいとう歯科医院の伊藤高史先生が、長年の経験と独自の視点に基づいた義歯製作のノウハウを公開します。特に注目すべきは、「どんなに壊れていても90分でできる義歯修理」と題された、歯科医師自身による義歯製作の具体例です。今回の症例は、右下5番の咬合性外傷による急性歯髄炎を発症した患者に対し、右下6番に1本義歯を製作することで、原因歯への負担軽減を図るという革新的なアプローチが紹介されています。

義歯製作における歯科医師の役割と利点

動画の中で伊藤高史先生は、歯科医師が自ら義歯を製作することの重要性を強調しています。一般的に義歯製作は歯科技工士に依頼することが多いですが、本動画では歯科医師が模型上でクラスプの適合やレジンの築盛を行うことで、より精度の高い義歯を短時間で製作できることを示しています。これにより、患者の急な要望にも迅速に対応できるだけでなく、義歯の適合不良の原因を歯科医師自身が直接把握できるため、問題解決能力の向上にも寄与します。特に、今回の症例のように、既存の補綴物や複雑な歯牙形態を持つ口腔内において、模型段階での緻密な調整が、臨床での適合性を大きく左右することが示唆されています。

実践的な義歯設計と製作のポイント

動画では、具体的な義歯製作のステップが詳細に解説されています。まず、首相素が「奥歯が痛い」という患者に対し、右下5番の負担軽減を目的として右下6番に1本義歯を作成する治療方針が示されます。ここで重要なのが、アンダーカットを持つ舌側へのクラスプの設計や、咬合面を回るクラスプの製作における注意点です。伊藤高史先生は、舌側アンダーカット部分にクラスプが深く入り込みすぎないように配慮しつつ、適合性の高いクラスプを製作するコツを披露しています。また、5番から生えるクラスプの脚部と模型との隙間を確保することで、義歯の着脱を容易にする工夫が凝らされている点も特筆すべきです。

適合性と調整の重要性

義歯製作において最も重要な要素の一つが、口腔内での適合性です。伊藤高史先生は、特に4番と5番の間の咬合面を回る部分について、ぴったりと合わせることを強調しています。その理由として、この部分の調整は口腔内では非常に困難であり、模型段階での精密な製作が不可欠であることを挙げています。また、既製の補綴物(セラミックなど)の不自然な形態への対応や、レジン築盛時の位置ずれ防止策など、臨床現場で直面しがちな課題とその解決策が具体的に示されており、実践的な内容となっています。レジンを筆盛りで築盛する際の具体的なテクニックや、クラスプの適合確認の重要性についても触れられており、細部にわたる配慮が、最終的な義歯の成功に繋がることが示唆されています。

患者の快適性と長期安定性への配慮

動画の終盤では、口腔内へのセット後の調整について解説されています。咬合調整は、人工歯の有無にかかわらず、両隣の歯や残存歯に均等に咬合力が分散されるように慎重に行われます。特に、右下5番部のクラスプを最初は若干緩めに設定し、必要に応じて後から締めるというアプローチは、患者の不快感を最小限に抑え、快適な装着感を維持するための重要な配慮です。これにより、咬合性外傷の再発リスクを低減し、義歯の長期的な安定性にも寄与することが期待されます。

伊藤高史先生は、このような小規模な義歯であれば、歯科技工士でも製作に苦労することが少なくない中で、歯科医師自らが製作することで、その適合性を高め、患者の満足度を向上させることができると強く推奨しています。この動画は、義歯製作の新たな可能性を探求し、より質の高い歯科医療を提供したいと考えるすべての歯科医療従事者にとって、必見の内容と言えるでしょう。

動画内容

いとう歯科医院が示す90分義歯修理の真髄:咬合性外傷に対する精密義歯製作のアプローチ

本動画は、杉並区久保に位置するいとう歯科医院の三代目、伊藤高史先生による、義歯治療の革新的なアプローチを紹介するものです。特に注目すべきは、どんなに壊れていても90分でできる義歯修理という、歯科医師自身が短時間で精密な義歯を製作する手法とその哲学です。今回の症例は、咬合性外傷による急性歯髄炎を発症した右下5番の患者に対し、隣接する右下6番部に1本義歯を製作することで、原因歯への咬合負担を軽減し、症状の改善を図るという、実践的かつ高度な臨床例を詳述しています。

1. 症例の背景と治療方針:咬合性外傷への多角的なアプローチ

患者は奥歯が痛いという主訴で来院しました。視診では、右下5番に隣接する右下6番まで歯が欠損している状態が確認されました。患者はこれまで不自由なく食事をできていたものの、最近数ヶ月で右下5番が咬合性外傷によると考えられる急性歯髄炎を繰り返し起こすようになったとのこと。これは、右下6番の欠損により、右下5番への咬合負担が過重になった可能性が示唆されます。伊藤高史先生は、この右下5番への負担を軽減するため、右下6番に1本義歯を製作するという治療方針を立てました。これにより、右下6番でも咬合力を負担させ、右下5番の負担を減らすことを期待します。このアプローチは、単に欠損部を補うだけでなく、既存歯の保護と長期的な口腔機能の維持を目指すという、予防的な視点も兼ね備えています。

2. 模型製作から義歯設計へのこだわり:適合性を追求する精密作業

治療の第一歩は、精密な印象採得と模型製作から始まります。動画では、右下6番部の空隙が大きく、義歯製作のための十分なスペースがあることが示されています。伊藤高史先生は、この程度の小規模な義歯であれば、歯科技工士に依頼することも可能であるとしながらも、自分で作れれば簡単と述べ、歯科医師自身が製作することの効率性とコントロールの優位性を強調します。

クラスプ設計の重要性:アンダーカットへの配慮

義歯の維持安定性を左右するクラスプの設計には、細心の注意が払われます。動画では、特に舌側に顕著なアンダーカットがあることを指摘し、クラスプがその部分に深く入り込みすぎないよう、慎重にカーブを調整する様子が示されます。舌側クラスプと模型との間に微細な隙間を設けることで、義歯の着脱時のストレスを軽減し、患者の快適性を確保します。この隙間の確保は、単に維持力を得るだけでなく、義歯の破損リスクを低減し、清掃性を向上させる上でも重要な要素となります。

咬合面を回るクラスプの精密性

さらに、右下5番の咬合面を回るクラスプの部分は、隙間がないくらいぴったりと合わせることが強調されます。その理由として、この部分は口腔内で後から調整することがほぼ不可能であるため、模型段階での完璧な適合が求められると説明されます。この精密な設計は、義歯の安定性を高めるだけでなく、咬合干渉を最小限に抑え、患者の違和感を軽減する上で不可欠です。伊藤高史先生の経験に基づいたこのポイントは、義歯製作における熟練の技と知識が凝縮された部分と言えるでしょう。

3. レジン築盛と調整:細部に宿るプロフェッショナリズム

義歯の本体を形成するレジン築盛の工程では、正確な位置決めと、レジンが硬化する際の変形を防ぐための工夫が示されます。伊藤高史先生は、レジンを筆盛りで築盛する際に、義歯がずれないようしっかりと手で固定しながら作業を進めます。わずか1mmのずれが、口腔内での適合不良に繋がる可能性を指摘し、この工程の重要性を強調しています。

既存補綴物への対応:形態修正の判断

今回の症例では、右下5番の補綴物(セラミック)に不自然な形態が見られました。伊藤高史先生は、このような場合、咬合調整の妨げになる可能性があれば、補綴物の形態修正を行うこともあると述べます。これは、義歯単体だけでなく、口腔内全体の咬合バランスを考慮した包括的な治療計画の重要性を示唆しています。適切な咬合関係は、義歯の機能性だけでなく、残存歯の健康維持にも直結するため、非常に重要な判断となります。

維持力と清掃性への配慮:レジンによる維持の強化

義歯の維持力を高めるために、レジンを4番部や7番部にも盛り付けることで、維持力として機能させる工夫が紹介されます。これは、クラスプだけでなく、義歯床の形態を最大限に活用し、義歯全体の安定性を向上させるための独自のアプローチです。同時に、清掃性を損なわない範囲での維持力の確保が求められます。

4. 研磨と口腔内セット:機能性と患者の快適性を両立

石膏模型から義歯を外し、研磨を行う工程でも、細やかな配慮がなされます。クラスプ線がわずかにはみ出ていても、尖っていなければ問題ないとし、機能性を損なわない範囲での許容範囲が示されます。これは、完璧主義に陥らず、実用性を重視する伊藤高史先生の臨床哲学が反映されています。

咬合調整の極意:繊細なバランス感覚

口腔内へのセット時には、咬合調整が最も重要なステップとなります。動画では、人工歯を用いることなく、両隣の歯や残存歯に咬合跡が均等につくように、咬合面を高く盛りすぎないように注意する様子が示されます。これは、過去に咬合性外傷を起こしている右下6番の状況を考慮し、再発を防ぐための予防的な措置でもあります。過剰な咬合接触は、歯への負担を増大させ、新たな問題を引き起こす可能性があるため、極めて繊細な調整が求められます。

クラスプの初期設定と調整の柔軟性

右下5番部のクラスプは、初期段階では若干緩めに設定されます。これは、患者が義歯を装着した際に、過度な締め付けによる痛みや不快感を感じることを避けるための配慮です。必要に応じて、後からワイヤー穴で簡単に締め付け調整が可能であると説明されており、患者の順応性を考慮した、段階的なアプローチが取られています。この柔軟性は、患者の個別の口腔状況や感度に対応するために非常に重要であり、長期的な義歯の成功に貢献します。

5. 歯科医師が義歯を製作する意義:技術向上と患者満足度への貢献

動画の終盤で、伊藤高史先生は、歯科医師が自らクラスプ製作を含む義歯製作を行うことの大きな意義を改めて強調します。このような小さな義歯は、歯科技工士にとっても製作が難しいことが少なくなく、適合不良に陥るケースも散見されるとのこと。しかし、歯科医師が自ら製作することで、その場で調整を行い、患者の口腔内に最適な義歯を迅速に提供することが可能になります。

技術向上と問題解決能力の育成

また、自ら製作することで、義歯が合わないと感じた際に、なぜ合わないのかという原因を自ら推測し、解決策を見出す能力が養われると述べます。これは、単なる手技の習得に留まらず、問題解決型の臨床思考力を向上させる上で極めて重要です。このような経験の積み重ねが、歯科医師の義歯臨床における技術力と自信を飛躍的に高めることにつながります。

患者満足度への直接的な貢献

何よりも、患者にとって、迅速かつ高精度な義歯の提供は、大きな喜びとなります。伊藤高史先生は、簡単にパッと作ってうまく合えば患者さんにもとても喜ばれると述べ、歯科医師自身が義歯製作に関わることの患者満足度への直接的な貢献を強調します。義歯は、単なる機能回復だけでなく、患者のQOL(生活の質)に直結する補綴装置です。歯科医師がこのプロセスに深く関与することで、患者一人ひとりのニーズにきめ細かく対応し、よりパーソナライズされた治療を提供できる可能性を秘めているのです。

この動画は、義歯治療における歯科医師の役割を再定義し、技術習得、臨床思考力の向上、そして何よりも患者満足度への貢献という多岐にわたる側面から、義歯製作の新たな地平を切り開くための実践的な指針を示しています。すべての歯科医療従事者が、自身の臨床スキルを向上させ、患者に最高の医療を提供するためのヒントを得られる、示唆に富んだ内容と言えるでしょう。

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