公開クリンチェック_新渡戸先生_001

インビザライン技術者から戻ってきたケースの修正

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講師
新渡戸康希
医療法人社団杏壬会 池袋みんなの歯医者さん 矯正歯科・こども歯科
院長

公開クリンチェック_新渡戸先生_001

こんな方におすすめ

歯科医院向けのセミナー配信サイト「ORTC online」では歯科医療従事者が専門的な知識と技術を習得することを目的に、さまざまなな診療科目のセミナーや動画配信を行っております。
今回の動画は、医療法人社団杏壬会 池袋みんなの歯医者さん 矯正歯科・こども歯科 新渡戸康希講師による講義です。
インビザライン技術者から戻ってきたケースの修正に関した内容となっておりますので、クリンチェックを学びたい先生にとって非常に有益な情報になると思います。
また、普段、新渡戸講師がクリンチェックをどのように考えているかという点にも注目してご覧ください。

動画の紹介

●マウスピース矯正を取り入れている先生 
●日々の診療で困っている事がある先生 
●クリンチェックを学びたい先生

動画内容

99枚のクリンチェックは本当に正しい選択か

左側の写真は、最初のセットアップ、つまりインビザライン側から返ってきた内容です。
そして右側が、新渡戸講師が修正を加えたクリンチェックになります。


それでは、双方を照らし合わせながら詳しく見ていきましょう。

 

【症例の状態】
・上顎はやや叢生気味
・下顎前歯は叢生がきつめ
・最後臼歯(7番)が半萠出
・咬合は、下顎が見えないレベルの過蓋咬合(ディープバイト)

 

では、まずはクリンチェックの動きから見ていきます。

【左のクリンチェックの特徴】
(1)枚数は99枚
(2)黒丸、青丸の数が多い

 

●99枚のクリンチェックの動き方
・上顎→少しずつだが順次的な動きで、非抜歯で進行
・下顎→少しずつ遠心移動をかけて動かしている

 

(1)枚数は99枚
みなさんのなかでも、左のようなクリンチェックを採用しているケースがあるのではないでしょうか。
しかし新渡戸講師は、このクリンチェックに賛成できないといいます。
なぜなら、99枚の計画では「時間の設定」にアラが目立つからです。
というのも、この計画では53枚目で1年かかり、106枚目で2年かかる計算になります。

 

患者のモチベーションは、治療開始が1番高く、そこからどんどん低下の一途をたどるのは先生方もご存じのはずです。
そう考えると、2年という治療期間は長いといえます。

加えて、この計画では追加アライナーは、まず免れません。
もし追加アライナーを70枚目でかけた場合、さらに70枚ほど来てしまうのがオチです。
99枚をやりきっても、微調整の関係から、さらに50~60枚追加することも考えられます。


結果、最初に2年という治療期間を設定しても、さらに期間がプラスされる計画になるのです。
これでは患者のモチベーションが低くなるばかりか、いつまでも治療が終わらない不信感からクレームにつながってしまうと想定できます。

 

(2)黒丸、青丸の数が多い
黒丸の部分は、20~30%の再現度と言われているため再現性は低くなります。
そのため、こちらもこのまま設定してしまうと、時間だけがとられてしまう計算になるのです。

 

では、ここから99枚のクリンチェックを修正する場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか。


クリンチェックの修正は、移動量を抑えることがカギ

では、ここから新渡戸講師の修正版を見ていきましょう。

●修正したクリンチェック
・枚数→28枚(半年の計画)
・黒丸、青丸を限りなく減らす

 

最初の計画した期間から考えると、圧倒的に治療期間が短くなりました。
治療期間を短縮しても、歯並びは影響ありません。
できれば、1回の治療期間は30枚前後で進めていくことをおすすめします。

 

では、28枚目が終了した時点でリファインメントをかけた場合、何枚追加アライナーが届くでしょうか。
答えは、約30枚前後です。
さきほどの99枚の症例と同じ枚数が来ることになります。
ですが、当初2年の計画で追加アライナー30枚の場合と、約半年の計画の追加では、かかる期間が大きく異なることはおわかりでしょう。
30枚で約半年ですから、1年の治療期間です。
加えて、最後の微調整に15枚ほど追加しても、トータル1年半の治療期間になります。

 

99枚計画から28枚計画に短縮する方法は、移動量を抑えることがコツです。
では、どのように治療期間を短縮していくか、その方法をお伝えしましょう。


●治療計画を短くする方法


①右上の「治療計画3を変更」をクリック

②歯の移動を止める
対象歯にカーソルをおき、右クリックする→「移動不可」に設定すると移動が完全にできない状況になる

③移動できない状態にしたら、「ライブアップデート」をクリック

④黒丸を消していく(圧下量が減ると移動量が減り、枚数が減る)→「ライブアップデート」をクリック


黒丸の部分は、「移動量が大きすぎる」というインビザライン側からの忠告です。
そこで、圧下量を減らしていくようにしましょう。
圧下量を1ミリ以下に設定すると、黒→青に変わります。
このように、圧下量が大きすぎると再現性が低いため、小さく設定するほうがおすすめです。
黒丸があっても歯は移動しますが、そのぶん移動量が多くなり、マウスピース枚数が増えてしまう結果に繋がります。
そのため、ないほうが治療期間が短縮できるというわけです。


●新渡戸講師からアドバイス
まずはマウスピース枚数を1枚でも少なくすること!

 

患者自身も1枚でも少ないほうがいいと感じているはずです。
患者満足度を上げるためにも、ぜひ取り入れてみてください。

ゴールを明確にしてから、治療計画を立てよう

最後に、今回のおさらいをしていきましょう。


●失敗のおさらい
・99枚の計画で進めても、結局追加枚数で期間が伸びてしまう
・枚数が多いと、患者のモチベーションが低くなる又はクレームにつながりやすい
・加速装置をつけてもうまくいかない
・アタッチメントの変更でも変わらない


●患者の主訴を基に、ゴールを明確にする
・ゴールを見通すことで、移動すべき歯が設定できる(移動しない歯は移動不可にする)
・前歯だけの叢生なら、臼歯は動かさなくてもOK

 いかがでしたか。

今回は、99枚における治療計画の罠と短縮方法についてお伝えしてきました。

日々、マウスピース矯正を取り入れている先生には非常に学べる動画になったと思います。

ぜひ、毎日の診療に役立ててみてください。

担当講師

新渡戸康希

新渡戸康希 先生

院長
医療法人社団杏壬会 池袋みんなの歯医者さん 矯正歯科・こども歯科

ORTC onlineでは「絶対に失敗しないマウスピース矯正33のこと」を始め動画コンテンツで自身の経験を多くの先生方に共有。インビザラインが日本で導入されて以降、数々のセミナーや勉強会を開催し多くの先生方の学びを後押し。インビザライン治療における、予測実現性を高めるクリンチェック作成を日々追求され、治療技術だけに留まらず、集患・院内体制・経営思考なども伝えることで、これからの歯科医院の在り方についてもアドバイスを行っている。

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