動画の紹介
「2級や3級よりも、実は1級(クラス1)こそが最も難しい」——。
数多くの症例を手掛けてきた新渡戸先生が、その意外な理由と「絶対に失敗しないための鉄則」を明かします。
マウスピースの特性である「下顎の前方誘導」をどうコントロールし、元々噛めている1級関係を崩さずに治療を終えるのか。
その答えは、クリンチェックの「移動不可設定」にありました。
また、後半では「クリンチェックはあくまでレシピであり、調理(治療)をするのは院内システムである」という視点から、具体的な器材の選び方や在庫管理、さらには患者さんのモチベーションを高める物販ディスプレイまで、明日からすぐに真似できる「仕組み作り」を惜しみなく公開しています。
動画内容
1級症例が「最も難しい」とされる理由
歯科矯正においてアングル1級は、上下顎の前後的な位置関係が適正である状態を指します。一見、叢生(ガタガタ)を並べるだけの簡単な症例に見えますが、マウスピース矯正の特性上、実は高度な判断が求められます。
マウスピース装着時は下顎が前方へ誘導されやすく、安易な設計は切端咬合や早期接触を招き、結果として奥歯が浮いてしまう「臼歯部開咬」などの咬合不全を引き起こすリスクがあるためです。良好な1級関係を維持しながら歯列を整えることは、2級や3級の改善よりも精密なコントロールが必要となります。
遠心移動の制限と咬合崩壊の防止
インビザラインなどの治療計画(クリンチェック)を作成する際、スペース確保のために安易に遠心移動を選択してはいけません。1級症例において上顎のみを遠心移動させれば3級の関係になり、下顎のみを移動させれば2級へと悪化してしまいます。
上下顎同時に同量を移動させる場合は条件付きで可能ですが、4mm以上の移動は顎関節症を誘発する危険性があり、推奨されません。失敗を防ぐ最大のポイントは、大臼歯(6番・7番)を「移動不可」に設定し、既存の1級関係を固定した状態で前歯部の配列を考えることにあります。
失敗しないための具体的な戦略:IPRと抜歯の選択
1級の咬合関係を崩さないためには、臼歯部を動かさない「ワイヤー矯正」に近い発想が有効です。スペースが不足している場合は、無理な遠心移動に頼るのではなく、IPR(隣接面削合)や便宜抜歯を積極的に検討すべきです。
特に5番から反対側の5番までの範囲内で治療を完結させる意識を持つことで、治療期間の長期化やリカバリー困難な咬合崩壊を防ぐことができます。「1級患者は必ず1級で仕上げる」という原則を徹底することが、患者満足度の高い矯正治療への近道となります。