歯科検診の保険診療・自費診療の違いを徹底解説!

ORTC Online, 歯科知識

近年、予防歯科の重要性が広く認識されるようになり、定期的な歯科検診への関心が高まっています。

しかし、歯科検診の費用について「保険が使えるの?」「なぜ医院によって料金が違うの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
 

この記事では、歯科検診における保険診療と自費診療の違いについて、歯科医院側の事情を含めて分かりやすく解説していきます。

歯科検診の基本と保険診療の関係


歯科検診と保険診療の関係を知るにはまず、以下のことを知る必要があります。
 

・そもそも歯科検診とは

・なぜ通常の検診は保険適用外なのか
 

この2点を以下で解説していきます。

そもそも歯科検診とは

歯科検診は、むし歯や歯周病などの口腔疾患を予防し、早期発見・早期治療につなげるための重要な健康管理方法です。

検診では、歯や歯ぐきの状態確認、歯石の除去、ブラッシング指導などが歯科医院のスタッフによって行われます。

なぜ通常の検診は保険適用外なの?

日本の健康保険制度では、基本的に「予防」に関する医療は保険適用外とされています。

これは歯科に限らず、一般の健康診断なども同様です。
 

保険診療が適用されるのは、病気やけがといった治療が必要な場合に限られます。

保険診療が適用されるケース


保険診療が適用されるケースとして代表的なのは、以下のとおりです。
 

・軽度の歯周病として受信する場合

・歯周病安定治療(SPT)の場合
 

詳しくは以下で解説します。

軽度の歯周病として受診する場合

実際のところ、成人の約8割が軽度の歯周病に罹患しているとされています。

そのため、多くの歯科医院では「軽度の歯周病」という病名で検診を行い、保険診療として対応しているケースがあります。

歯周病安定期治療(SPT)の場合

2016年の診療報酬改定により、「歯周病安定期治療」という治療が保険適用となりました。

これは、歯周病の治療が終わった後の再発予防のための治療です。
 

ただし、すべての歯科医院で受けられるわけではありません。

この点は注意が必要です。

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所での診療

歯周病安定期治療を保険診療で受けられるのは、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」として認定された医院に限られます。

この認定制度は、質の高い歯科医療を提供する医院を評価するもので、認定医院数は年々増加しています。
 

患者様の通院している医院が対象の歯科医院か今一度確認してみるとよいでしょう。

自費診療となるケース


自費診療となるケースとしては、以下の項目が挙げられます。
 

・予防目的の検診

・より快適な治療を受けたい場合
 

下記で詳しく説明します。

予防目的の検診

純粋な予防目的の検診は、保険適用外となるので注意が必要です。

ケースとしては以下のようなものが対象となります。
 

・定期的なクリーニング

・予防的な歯石除去

・口腔内の健康状態チェック
 

診察の内容が予防である以上、保険対象外となってしまうのです。

より快適な治療を受けたい場合

保険診療には、使用できる材料や時間に制限があります。

より丁寧な治療や、快適な治療を希望する場合は自費診療となります。
 

例を挙げるならば、特殊な器具を使用した歯石除去や時間をかけた丁寧なクリーニング、予防効果の高い特殊な薬剤の使用などです。

なぜ混合診療は認められないの?


保険診療と自費診療を組み合わせる「混合診療」は、原則として認められていません。

なぜなら保険診療の公平性を保つための措置だからです。
 

そのため、一連の治療の中に自費診療の要素が含まれる場合、全体が自費診療として扱われます。

患者が知っておくべきポイント


患者様が知っておくべき保険診療に関することは、以下の点です。
 

・歯科医院選びのポイントを知る

・受信前に確認事項をチェックする
 

この2点です。

それぞれ見ていきましょう。

歯科医院選びのポイント

1つ目は、診療方針の確認です。

保険診療と自費診療の区分が明確か、料金体系が分かりやすく説明されているかなどに目を向けましょう。

この時点で歯科医院の方針が患者様と合わなければ、他を探す必要があります。
 

2つ目は、コミュニケーションです。

実際に歯科医院に赴き、治療内容や費用について丁寧な説明があるか、質問や相談がしやすい雰囲気があるかなどをチェックしましょう。

長い目でみてかかりつけ医とするならば、ちょっとした違和感のあるコミュニケーションは不安を大きくする材料になります。

受診前の確認事項

受信前の確認事項としては、以下のとおりです。
 

・検診にかかる費用の概算

・保険適用の可否

・検診の所要時間

・定期検診の推奨間隔
 

これらは歯科医院によって異なりますが、例えば検診にかかる時間は平均として30分から1時間です。

この平均より短くても長くても良いとはいえないので、他3つの項目と併せて確認しましょう。

まとめ

ここまで解説しましたが、分別すると3つの診療形態があります。
 

1. 疾病名での保険診療

軽度の歯周病などの病名がつく場合や通常の保険診療の自己負担額で済む治療。
 

2. 歯周病安定期治療(SPT)での保険診療

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所での治療で、定期的な管理が可能。

このかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所はすべての歯科医院が対応しているわけではないので注意が必要です。
 

3. 自費診療

より充実した予防的ケアや快適な治療環境、時間をかけた丁寧な処置。

保険診療には「制限」があるため、それ以上を望む場合は自費診療になります。

最後に

歯科検診は、お口の健康を維持するために重要な役割を果たします。

保険診療と自費診療、それぞれに特徴がありますが、ご自身の状況や希望に合わせて適切な選択をすることが大切です。
 

分からないことがあれば、遠慮なく歯科医院に相談してください。

定期的な検診を通じて、健康な歯を保っていきましょう。
 

また実際の治療内容や費用は医院によって異なる場合があります。

詳しくは各医院にお問い合わせくださいね。


編集・執筆

歯科専門ライター 萩原 すう

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