- 小児矯正とは、成長期にある子どもを対象に行う歯列矯正のことです。この時期に矯正治療を行うことで、歯並びだけでなく顎の成長や顔立ちのバランスを整えることが期待できるのはご存知だと思います。
タイミングとしては、乳歯から永久歯に生え変わる時期が最適とされています。一般的に6歳から12歳頃が目安です。この時期に矯正を始めると、歯並びだけでなく、噛み合わせや顎の成長をコントロールできる可能性があります。
小児矯正治療の主な目的は、歯並びや噛み合わせの改善です。しかし、それだけではなく、以下のような効果も期待できます。
・顎や顔のバランスを整える
・発音や食事の際の機能向上
・将来的な虫歯や歯周病のリスク低減
など、成長期に適切な治療を行うことで、子どもたちが健康的な成長を遂げる助けとなります。この時期だからできる矯正治療であり、成長途中だからこそ期待できる部分が大きいと思います。
ですが…「高いですよね〜」「大人になってからでもできますもんね〜」「一旦考えます。」言われたことありませんか?
そうです!小児矯正の矯正費用の支払いは親になります。子供への矯正治療の協力やモチベーションだけでなく、親のモチベーションも高めていく必要があります。
小児矯正治療の費用について、多くの親御さんが抱える疑問は「本当にその費用を支払う価値があるのか?」という点ではないでしょうか。特に、費用が数十万円から場合によっては100万円を超えることもある矯正治療は、大きな決断が必要です。
この記事では、小児矯正治療の費用に関する一般的な概要、費用を構成する要因、そしてその価値について詳しく解説します。
親御さんの小児矯正への悩み5選
矯正治療を検討する親御さんからよく聞かれる悩みをご紹介します。これらを把握しておくことで、適切な説明やサポートが可能になります。
1. 費用の負担が大きい
矯正治療の費用が家計に与える影響を心配する声が多いです。分割払いの提案や治療の長期的な価値を説明することが大切です。
2. 子どもが治療を嫌がる
矯正装置に対する抵抗感や不快感を持つ子どももいます。治療の意義を親子で共有し、モチベーションを高める工夫が求められます。
3. 治療期間が長い
数年に及ぶ治療期間に不安を抱く親御さんも少なくありません。定期的な進捗確認や、治療スケジュールを明確に伝えることで解消が可能です。
4. 治療の痛みや負担が心配
装置による痛みや不便さを懸念する声があります。最新の装置や治療方法を説明し、不安を取り除くことが重要です。
5. 将来の効果が見えにくい
治療の結果がすぐには見えないため、費用対効果に疑問を感じる親御さんもいます。治療後の健康面や生活面でのメリットを具体的に示すことが求められます。
1〜4までは、比較的説明しやすい内容になっていると思います。この5番目をいかに見える化し、矯正治療後のイメージを持たせることで、小児矯正を必要だと思ってもらえるかに繋がっていきます。
小児矯正治療の費用の目安
まず、一般的な小児矯正治療の費用を確認してみましょう。
カウンセリング:0〜5千円
矯正検査料・診断料:3〜8万円
0期治療(乳歯列期):10万円〜30万円
1期治療(混合歯列期):30万円〜60万円
2期治療(永久歯列期):60〜100万円以上
保定装置費用:3〜5万円
定期通院費用:1回あたり3,000円〜5,000円
実際の金額は歯科医院や地域によって異なりますが、おおよその金額になります。
価格を安くすれば良いわけではありませんが、患者の選択肢の1つとして「矯正費用」は分かりやすく比べられる情報になります。
どのようなアピールポイントを歯科医院側が持っておくかは大事になってきます。
例えば…
・矯正専門医や小児専門医などの肩書き
・矯正方法が珍しい
・子供が飽きない、通院しやすい環境作り
・診断料までは安くして、スタートしやすい環境にする
など、歯科医院の特徴や個性は様々だといえます。
何もアピールせず、矯正費用のみで地域周辺の歯科医院と戦うのは難しくなっている気がしています。
費用よりも価値を見出す小児矯正治療
矯正治療を費用面でのみ考えるのではなく、その価値を理解することが重要です。
1. 長期的な健康への影響
矯正治療によって正しい歯並びと噛み合わせを得ることで、将来的な虫歯や歯周病のリスクを減らせます。治療費を長期的な健康投資と捉えることができます。
小児矯正で言えば、
・今やることでのメリット
・今だからできること
をプラスして説明していくと良いすよね。
2. 子どもの心理的な成長
潜在意識的に、歯並びにコンプレックスを抱いているお子さんの数は、この何十年で増えてきているのではないでしょうか。
親御さんに言っていないだけで、気にしているお子さん多いです。矯正治療後にこどもから「キレイになった」と笑顔で言われることもあります。
美しい歯並びは、子どもの自信にも繋がります。笑顔に対する意識が高まり、ポジティブな自己表現が促されるでしょう。
3. 生活の質の向上
矯正治療により、発音や食事の際の機能が向上します。実際、お口周りの発達について、お子さんの状態の把握できていない親御さんいらっしゃいます。
・自分の子の発達不全を知らず
・歯並びに関係しているとも知らない
・現状、何に影響が出ていて、今後の影響についても知らない
「今のところ困っていない」ではなく「これから困ること」について言及していくとイメージがつきやすくなります。
親御さんへのカウンセリング方法
矯正治療を検討する親御さんに対し、適切なカウンセリングを行うことが治療開始の鍵となります。
1. 初回相談での信頼構築
親御さんの悩みや疑問を丁寧にヒアリングし、共感を示します。治療のメリットだけでなくデメリットも正直に伝えることで、信頼を築きます。
ここで、デメリットの提示がないと、不信感や契約後のクレームに繋がりやすいので注意しておきましょう。
2. 治療プロセスの明確化
治療の流れやスケジュール、必要な通院頻度を具体的に説明します。また、治療期間中のサポート体制についても明確に伝えましょう。
小児矯正なので、治療途中での治療計画の再立案や変更もあるかも知れません。そういったことも踏まえて、最善を尽くすことをお伝えできると良いのではないでしょうか。
3. 費用面での透明性
治療にかかる総額を詳細に説明し、分割払いのプランや保険適用の可能性についても触れます。治療途中での追加費用などの説明を疎かにすると、すごくお金を取られる印象になり、患者は嫌な思いをしながらの通院になってしまします。費用を明確にすることで、不安を軽減します。
医療費控除の話などもできると、患者が疑問に思うことには応えられるような体制を整えておくことがベストです。
4. 子どもとのコミュニケーション方法のアドバイス
矯正治療中に「家で言い合いで…」「言ってもやってくれなくて」などの親御さんの悩みが出てきます。
どうやったら、前向きに矯正治療に協力的になってくれるのか歯科医院側のフォローや親御さんへのアドバイスが必要となります。
5. 治療効果をイメージさせる資料の活用
ビフォーアフターの写真や、実際の治療事例を見せることで、治療後の結果をイメージしやすくします。また、患者自身や親御さんが矯正終了後にどうなっていたいのかをイメージさせ、それを小児矯正で叶えられるような流れに持っていけると良いですよね。
「可愛くなれる」から美容院に行くとか「カラダが楽になる」から整体に行くとかと同じように『この歯医者に来れば、こうなれる』と言うイメージを膨らませてあげるのもモチベーション維持に繋がります。
小児矯正の費用が高額になる理由
矯正治療の費用が高額と感じられる理由を知ることで、その背景にある価値を理解できるようになります。
・塾代の月謝2万円、小学校6年間通うと144万円
・ピアノやサッカーの月謝8千円、小学校6年間通うと57万6千円
それにプラスして、必要な物品代なども加算されます。
このお金は、高いと感じずに、矯正治療は高いと感じるのはなぜでしょうか?
そもそも、親御さんが小児矯正について知らないことが大半を占めています。小児矯正について知ってもらい、矯正治療費が妥当な金額であると思ってもらえるような説明が必要です。
1. 高度な専門知識と技術が必要
矯正歯科医師は、通常の歯科治療以上に高度な専門知識と技術が求められます。歯並びや顎の成長を正確に診断し、個々の子どもに最適な治療計画を立てるためには、豊富な経験とスキルが必要です。
2. カスタマイズされた治療計画
小児矯正では、成長期に応じた治療計画が立てられます。一人ひとりの成長や発育に合わせて装置を調整し、最適な結果を目指すため、時間と手間がかかります。
3. 高品質な矯正装置の使用
矯正装置は、子どもの口腔内に安全に使用できる高品質な材料で作られています。また、装置自体の設計や製造にもコストがかかります。
4. 長期間の治療とサポート
矯正治療は、治療開始から完了まで数年かかることが一般的です。その間、定期的な調整やフォローアップが必要であり、これが費用に反映されています。
小児矯正治療は将来の投資
矯正治療は、費用面では確かに負担が大きいものの、子どもの将来の健康や自信に繋がる大切な投資です。正しい歯並びを得ることで、以下のようなメリットが期待できます。
・噛み合わせの改善により、全身の健康が向上
・自信を持った笑顔でのびのびとした成長
・将来的な治療費用の削減(虫歯や歯周病のリスク軽減)
親御さんとしては、短期的な費用だけでなく、長期的な視点で価値を考えることが大切です。
まとめ
小児矯正治療の費用は決して安くはありませんが、その価値を理解し、適切な選択をすることで、子どもの将来に大きな影響を与えることができます。患者と歯科医院が協力しながら治療を進め、健康的な成長をサポートしていきましょう。
小児矯正のカウンセリングをしていて「これも歯並びに関係するんですね」「虫歯治療で通っていたのに、そんな話はなかったです」など、親御さんから言われることが多かったです。
知ろうとしない人には、教えないスタンスではなく、知識提供として小児矯正の話はしていくべきなのではないかと思っています。
小児矯正する意味や価値はすごく高いと感じています。ですが、価格だけで戦える分野ではないので、そのあたりは勉強をし知識や技術を更新していかないといけないと感じています。
歯科衛生士 原田
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