インプラント治療の成功率はどのくらいかご存知でしょうか。インプラントの成功率は極めて高く、90%以上といわれております。
逆に考えると「数%は失敗となっている」というわけですが、失敗にはどのようなケースがあるのか、また成功させるメソッドについてご紹介します。
インプラント治療成功の基準
そもそも、インプラント治療の成功基準とはどういったものでしょうか。1998年、トロント会議で話し合われた結果、インプラントの治療基準は以下のように定められました。
「インプラントは、患者と歯科医師の両者が満足する機能的、審美的な上部構造をよく支持している」「インプラントに起因する痛み、不快感、知覚の変化、感染の兆候などがない」「臨床的に検査するとき、個々の連結されていないインプラントは動揺しない」「機能開始1年以降の経年的な1年ごとの垂直的曽吸収は平均0.2mm以下である」
インプラント治療を行うときには、これらのことをしっかりと念頭に置いておく必要があると言えるでしょう。それこそが成功への近道になります。
インプラント治療で起こりうる失敗
1.インプラントがしっかりと固定されない
インプラント治療の固定には骨との結合が必要になりますが、状態によってはうまく固定ができません。インプラントが適切に埋入できていなければうまく骨と結合できない可能性がありますし、顎骨を突き破ってしまい固定できない症例もあります。ドリリングでの骨へのダメージなども事前に理解しておくことが必要です。
2.インプラント周囲炎への感染
きちんとインプラントが埋入されていても、インプラント周囲炎になってしまうと最悪の場合インプラントの脱落を起こしてしまいます。メインテナンスが不十分であったり、治療時の衛生管理が徹底されていなかったりするとインプラント周囲炎発症のリスクが高くなります。
3.疼痛・腫脹といった症状が落ち着かない
インプラント治療は外科処置を伴うため、術後に多少の疼痛・腫脹がみられることはあります。しかし、これらの症状が長期的にある、あるいは痛み止めでは治まらないほど痛いとなると、成功したとはいえません。埋入箇所が適切でなかったり、細菌感染を起こしたりしている可能性が高いといえるでしょう。
4.人工歯が早期に破損してしまう
人工歯は、経年劣化して破損することももちろんありますが、早期に破損する場合にはなにかしら異常があると考えるのが妥当です。噛み合わせが適切でなかったりアバットメントが緩んでいたりすると、人工歯の破損や離脱を起こしてしまいます。
インプラント治療を成功させるために必要なこと
1.正確な診断をもとに治療計画を行う
まずは正しい診断をし、それに基づいた治療計画を立てる必要があります。模型やCTなどを用いて入念な事前準備をされているとは思いますが、その際「トップダウントリートメント」を意識して行うことが大切といわれています。トップダウントリートメントを行うことで、力学的に被せ物やインプラントが安定する位置にインプラントを埋入することが可能になります。
2.アフターケアを継続する
インプラントは埋入したら終わりではありません。アフターケアや定期的なメインテナンスを怠るとインプラント周囲炎といったトラブルを引き起こしかねません。メインテナンスは患者さまに来院していただく必要がありますので、定期的なメインテナンスの重要性なども治療開始前に納得していただいておく必要があります。
3.歯科医師の技術を鍛錬しておく
歯科医師の技術や知識は日々向上しておく必要があります。診断や治療をより良いものにするためには、知識や技術は欠かすことができません。関連セミナーやデモンストレーションなどで日頃から鍛錬しておくことをおすすめします。
4.患者さまとの信頼関係を結ぶ
患者さまがどのような経緯でインプラント治療を希望されたか、しっかりと理解しておくことはトラブルを防ぐためにとても重要視すべき点だと考えられています。もっとも避けるべき状態は「歯科医師からの一方通行な情報提供」です。患者さまに正しい情報と選択肢を与え、患者さま自身に決めてもらうことで、お互いに安心して治療を進めることが可能になります。
治療を成功させるために今からできること
インプラント治療を成功させるためには、治療の核となる部分を十分に理解しておく必要があります。しっかりと学んだうえで診断・計画を行い、インプラント治療を成功へと導きましょう。
ORTCではインプラントの基礎知識やサイナスリフトといった専門技術から患者さまとの信頼関係を構築する必要性まで、さまざまな動画ついて講師をお迎えしてわかりやすく解説していただいております。
インプラントに関する動画も多数取り揃えておりますし、ウェビナー・オンラインセミナーも随時行っております。今後の診療に役立てていただけると幸いです。
【参考動画】
インプラントの基礎知識
出演 医療法人寛友会 浅賀歯科医院 院長 浅賀勝寛先生
https://ortc.jp/detail_movie.php?id=480
サイナスリストに関する安全性と実施するための基本的な方法
出演 明海大学歯学部付属 明海大学病院教授 嶋田淳先生
https://ortc.jp/detail_movie.php?id=326
患者とのラポール形成の重要性
出演 尼崎駅前歯科 院長 鷲本剛先生
https://ortc.jp/detail_movie.php?id=411
ORTC 歯科衛生士ライター
hashimo
【自己紹介】
歯科衛生士歴11年。3歳児のママ。
2021年から歯科衛生士webライティングを開始。
現在も歯科衛生士として働きながら執筆活動をしている。
「患者さまに喜んでもらえる歯科衛生士」がモットー。
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