歯科医師や歯科衛生士の間で、唇の色や形を整える「アートメイク」の技術を学ぶ人が増えています。そこで、今回は長年にわたり医療アートメイクに携わり、医療アートメイクスクールも運営している株式会社NMTJapan代表取締役・土屋恵美氏に、歯科医院で行う医療アートメイクについて詳しくお話を伺いました。

審美治療で歯が整うと、唇の色や形も気になる
現在、歯科医院での審美治療やホワイトニングは一般的になっています。歯が白く美しく整うと、次に患者様が気にするのが口元です。審美治療前は歯並びや歯の色に関心が集中していた患者様も、歯が整うことで「口元全体をトータルで美しくしたい」という意欲が芽生えることが多くあります。
こうした理由から、最近では歯科医院で唇のアートメイク施術を行うケースが徐々に増えてきています。歯とともに唇の形が整い、色のくすみも解消されると、患者様の審美治療に対する満足度も大きく高まります。
アートメイクというと、韓国などでは美容目的で広く行われているイメージがありますが、日本では医療機関でのみ行える医療行為です。そのため、施術を行えるのは医師免許や看護師免許を持つ有資格者に限られます。ただし歯科衛生士は、医師法第17条に基づき、歯科医師の指示・監督のもとでリップアートメイクを行うことが認められています。
「アートメイクの施術を歯科医師が行うか歯科衛生士が行うかは、歯科医院ごとに考え方が異なります。歯科医師が診療の傍ら施術を行う場合もありますが、その分治療に費やす時間が減ってしまうため、歯科衛生士に施術を任せたいと考える先生もいます。」と、土屋氏。その場合、歯科衛生士は院内で歯科医師の指示を受けながら、安全に医療アートメイクの施術を行います。
患者様のQOL向上に役立ち、他の治療との相乗効果も期待できる

歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が医療アートメイクを行うメリットは、いったいどんな点にあるのでしょうか?
「まずは患者様のQOLの向上に役立つということです。ただ単に唇をきれいに見せるだけでなく、たとえば唇のくすみに悩んでいるなど、患者様のネガティブな部分を改善することができるので気持ちが明るくなります。口唇口蓋裂や白斑症の患者様に対しても、歯科医院では口周りに限り施術を行うことができます。」と土屋氏。
歯科医院で医療アートメイクを行うことで、患者様が自身の口元に自信を持ち、生き生きとした生活を送る手助けができるわけですね。では、歯科医師や歯科衛生士自身にとってのメリットはどのようなものでしょうか?
「歯科医師の場合、アートメイクに時間を割くよりも、通常の歯科診療を行った方が収益面では効率的かもしれません。しかし、歯科衛生士や看護師にとっては、自分で施術ができること自体がスキルアップにつながります。」と土屋氏。「実際に、医療アートメイクの技術を身につけ、それをアピールポイントとして活動しているフリーランスの歯科衛生士さんも増えています。また、患者様が唇の医療アートメイクを受けることでホワイトニングを希望したり、その逆のパターンもあるなど、治療の相乗効果も期待できます。」と、語ります。
医療アートメイクによって患者様が「より美しくなりたい」と意欲を持つことで、ヒアルロン酸注入やインプラント、矯正治療など、他の自費診療へとつながる可能性は十分にあります。そうした観点からも、自費診療のメニューを増やすことによる収益アップは大いに期待できます。中には自費診療のメニューを充実させて、通常の歯科医院とは別に、自費診療のみのクリニックを開院する歯科医師もいます。
単に「アートメイクの施術でどれだけ収益が上がるか」と考えるのではなく、自費診療のメニューを増やすことで患者様の満足度が高まり、長期的には医院の発展につながる、と考えることもできます。患者様にとっても、通い慣れた歯科医院でお口周りの施術を受けられることは、いろいろな意味で安心につながるでしょう。
アートメイク業界で40年の歴史を持つ「PGC Schools」

医療アートメイクを学べるスクールは数多くありますが、歯科医師や歯科衛生士が学ぶ場合は、スクールを運営している会社の実績や講義内容をよく確認して選ぶことが大切です。知識や技術を基礎から応用までトータルでしっかり学ぶことができ、臨床と同じ条件で実践的に習得できるスクールを選ぶことをお勧めします。
土屋氏が代表取締役を務める株式会社NMTJapanが運営する「PGC Schools」は、アートメイクの草分け的な存在として、国内トップクラスのアーティストを多数輩出しているスクールです。その前身は、医療アートメイク業界で39年の歴史を持つ「Blotouch Japan」。世界50ヶ国とネットワークを結び、パラメディカルピグメンテーション(注1)による色素形成術を日本に初めて導入したパイオニアとしても知られています。
そして2023年8月には、医療アートメイク業界の中核を担う教育機関として、医療アートメイクスクール®「PGC Schools」を開校しました。世界中の専門機関と連携しているグローバルなスクールであるため、情報量が豊富で技術面でも信頼性が高く、歯科医師や歯科衛生士も数多く受講しています。
(注1)パラメディカルピグメンテーション:医療アートメイクの色素形成術を用いて、医療的な観点から乳輪や乳頭の再建、傷跡や白斑、脱毛などの再現・補修・カモフラージュを行い、QOLの維持向上を補完する施術のことです。
数々の苦難を乗り越えながら、医療アートメイクの発展に貢献
Blotouch Japanは、土屋氏のお母様が39年前に創業した会社です。「設立当初は美容関連の事業を中心に、化粧品や医療機器の製造販売を手がけながら、アートメイクにも取り組んでいました。その後、美容医療のサポート体制を整えていったのですが、20年ぐらい前までは法規制が緩く、医療資格を持たない美容師やエステティシャンまでもがアートメイクを行っており、社会的なトラブルが多発していました。」と土屋氏は振り返ります。
そうした状況を受け、同社は「アートメイクは医療として行うべきだ」と判断し、美容から医療に転換しました。お母様が孤軍奮闘していた当時の日本のアートメイクは、施術に使う道具も手作りで、色素も安全性が不明なものだったといいます。そこで世界中から情報を集め、少しずつ良いものを提供できるようになっていきました。まさに、日本のアートメイクの歩みは、土屋親子の努力の歴史でもあったのです。
アートメイク製品の8割をシェア、全国3,800の医療機関と取引
現在、株式会社NMT Japanは、「美しくなるための医療アートメイク」だけでなく、口唇口蓋裂の傷跡のカモフラージュや乳がん手術後の乳頭再建など、医療としてのアピアランスケアにも注力しています。 「アートメイクの製品は皮膚の中に残るものなので、安全性には細心の注意が必要です。しかし、日本には、製品を正式に認可する仕組みがまだなく、製造販売できる状況ではありません。そこで同社では、世界的に最も基準が厳しいとされるヨーロッパの製品を採用しています。現地工場を視察したり、ISOの認証が医療レベルかどうかを検証したりしながら、安全な製品を提供できるよう努めています。」と土屋氏はそう語ります。
同社は現在、国内で流通するアートメイク製品のおよそ8割をシェアし、全国3,800の医療機関と取引を展開しています。医療アートメイクに携わる医療機関であれば、同社の存在を知らない人はいないと言っても過言ではないほど、圧倒的な認知度を誇っています。
3日間の講習を受け、リップアートメイクの知識と技術を学ぶ

歯科医師や歯科衛生士がリップアートメイクの技術を身につけるには、「PGC Schools」の3日間集中プログラム「リップ専門コース」を受講します。初日のオンライン講義では、皮膚学や麻酔学、色彩理論といったアートメイクに欠かせない基礎知識に加え、医療アートメイクを行う際のリスクについても学びます。

2日目、3日目は対面講習で、シートを使いながら実際に手を動かし、リップアートメイクの技法を徹底的に練習します。色をしっかり入れるのか、あるいはグラデーションをかけた自然な仕上がりにするのかといった、微妙な表現の違いまで習得し、患者様一人ひとりの希望に応じた仕上がりにするようになることを講習のゴールとしています。
モニター実習では、さまざまな悩みや要望を持つ患者様の対応方法も実践的に学ぶことができます。
受講費用はトータルで550,000円(税込)。歯科医院が費用を負担する場合、「2年間勤務を続ければ受講費無料」という制限を設けるなど、離職防止策として活用するケースもあります。
卒業後のアフターフォローも万全

スクールで医療アートメイクの知識を学び、実習を通して施術スキルを身につけた後は、歯科医院で実務経験を重ねながら技術を磨いていくことになります。 とはいえ、歯科の技術と医療アートメイクの技術は異なるため、一朝一夕に完璧な施術が行えるわけではありません。実際に施術を行う中で、「ここはどうしたらいいのか?」と迷い、試行錯誤する場面も少なくないでしょう。
そんなときに心強いのが、同社による充実した卒業後のアフターサポートです。 「PGC Schools」では、卒業後もインストラクターによる直接技術指導を無料で受けられます。さらに指導付きで臨床と同じ条件下の対人施術を体験できるほか、施術が安定して行えるようになるまで、講習を何度でも無料で受講することが可能。きめ細やかで根気強いサポートがあるため、安心して技術を定着させることができます。
株式会社NMTJapanは、スクール運営にとどまらず、医療アートメイク製品の輸入販売、歯科医院への導入コンサルティング、さらには医療アートメイク看護師の人材紹介まで、幅広い事業をトータルで展開しています。
現在、アートメイクを「医療」として位置付けているのは世界でも日本だけですが、同社はその考え方を世界に広める啓蒙活動にも取り組んでいます。医療アートメイクの未来へとつながる「PGC Schools」で学ぶことは、多方面において大きな価値があると言えるでしょう。
無料説明会や体験受講も開催中

「PGC Schools」では、インストラクターとアドバイザーによる無料説明会や、3時間の無料体験セミナーを定期的に開催しています。医療アートメイクの基礎知識から、就職やクリニック導入に至るまで、始める前に知っておきたいポイントをしっかり学べる内容です。
ご興味のある方は、ORTCの問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。説明会や体験受講のご案内はもちろん、その他のご質問やご相談にも対応しています。
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