歯科開業における内覧会戦略と歯科衛生士の役割

歯科経営, 歯科衛生士

歯科医院の開業時に実施される内覧会は、地域住民に院内の雰囲気や理念を直接伝え、信頼獲得・新患予約・スタッフ結束を一度に実現する重要戦略です。

本記事では内覧会の目的、開催手法、成功ポイント、歯科衛生士の役割までを具体的に解説します。

内覧会とは?歯科医院開業における基本と意義

内覧会は、歯科医院を“プレオープン”前後に一般向けに公開するイベントです。
 

設備・院内環境やスタッフの雰囲気を実際に見てもらい、地域認知の獲得と信頼感醸成を目指す重要な開業戦略です。

特に開業準備中のクリニックにとっては、チラシやSNSで告知した通りの印象をその場で確認してもらえる貴重な機会であり、選ばれる理由を直感的に伝えられます。

内覧会の目的と実施メリット



歯科医院にとって内覧会は、単なる開院前イベントではなく、地域とのつながりを築き、医院の魅力を伝える絶好の機会です。
地域住民に認知され、安心感を持ってもらうことで、第一印象から信頼を形成し、来院のハードルを下げることができます。 さらに、ターゲットを明確にした運営によって、新患予約の獲得や継続通院への導線づくりにもつながる重要な施策です。

地域認知と信頼の獲得

内覧会を通じて「街にこんな歯科医院ができるんだ」という地域への認知向上を狙えます。
住宅街やファミリー層が多いエリアでは、情報が拡散されやすく、口コミ効果も期待できます。

患者接点の創出と第一印象の形成 

内覧会では、案内役のスタッフや歯科衛生士が来場者と直接接触できます。

安心・清潔・親しみやすさが伝わることで、良い第一印象を築くことができ、信頼感が強まります。

新患予約の獲得と継続通院のきっかけづくり 

その場で新患予約を獲得できる可能性が高く、さらに「予防専門歯科」「こども歯科」など目的を絞った内覧会ならば、ターゲット層からの予約率も高まります。
予約後の初診・フォロー体制も含めて、将来的な定着率アップが図れるでしょう。

自力開催 vs 業者委託:内覧会の実施方法を比較



歯科医院の新規開業やリニューアル時に注目される「内覧会」ですが、その運営方法には大きく分けて、自院のスタッフによる「自力開催」と、専門業者に依頼する「業者委託」の2つがあります。

それぞれにメリットとデメリットが存在し、医院の方針や体制に応じて最適な方法を選択することが重要です。 ここでは、両者の特徴を比較し、どのような観点で選ぶべきかを整理します。

自力開催のメリット・デメリット

歯科医院の内覧会には、自力開催と業者委託の二つの方法があります。

自力開催の場合、大きな利点として、費用を抑えられる点が挙げられるでしょう。

また、スタッフ間でのチームワークを深めたり、士気を高めたりする機会にもなります。
さらに、医院の理念やこだわりを自由に表現できるというメリットもあります。
 

一方で、集客のノウハウが乏しい場合は効果が限定的となり、イベント運営の負荷がスタッフに集中してしまう恐れがあります。
人の動線設計やトラブル対応が不十分だと、来場者の体験にばらつきが出る可能性もあります。

業者委託のメリットと注意点

業者委託では、広告物の制作から当日の受付・誘導、アフターフォローまで一括して支援を受けられる点が大きな特徴です。
専門的なノウハウを活用できるため、運営の質が高まり、スタッフの負担も軽減されます。

ただし、初期費用は概ね30万~120万円程度と高額になりがちで、業者の演出が医院の方針と合わないリスクもあります。
そのため、依頼前には業者の実績や対応範囲、費用対効果をきちんと確認する必要があります。

代表的な内覧会業者の特徴(メディカルアドバンス・デンプロ等)

代表的な内覧会業者の特徴は次の2点です。 順を追って説明します。

 

①メディカルアドバンス

メディカルアドバンスのサービスは以下のような内容です。

【内覧会プロデュース基本料金】

¥1,100,000~(税別)

※別途、宿泊費・交通費が必要

基本料金に含まれるサービス:

【基本内容】

広告作成アドバイス

近隣事務所・店舗への挨拶回り

チラシの手配り(医院周辺)

スタッフ向けレクチャー(ミーティング・ロールプレイング形式)

内覧会(3日間)の企画・運営

https://www.medical-advance.com/service/produced/
 

②デンプロ

デンプロのサービスは以下のような内容です。

【内覧会2日間開催プラン:1,320,000円(税込)】

【基本内容】

・歯科衛生士によるスタッフ研修

・運営スタッフ配置(呼び込み・案内各2日間)

・展示物レンタル(のぼり等)

・アンケート実施・集計、レポート作成等

https://corporate.den-pro.com/clinictour/

内覧会成功のための戦略的ポイント 



内覧会をただの「見学イベント」で終わらせないためには、明確な目的と緻密な計画が必要です。
誰に来てほしいのか、何を体験してもらい、どう次のアクションにつなげるか——。
これらを戦略的に設計することで、新患獲得や地域への認知拡大につながります。

ここでは、目標設定から集客手段、当日の構成、来場者フォローまで、成果につながる内覧会運営のポイントを紹介します。

明確な目標設定:「どの予約を得たいか?」

新患向け、小児向け、矯正向けなど、来場者のニーズに合わせたゴール設定が重要です。 これにより、集客対象や当日の案内内容が明確になります。

集客手段:チラシ・SNS・プレゼントの使い方 

集客戦略としては、地域特性を踏まえたチラシやポスティング、エリアターゲティング型のSNS広告が有効です。 また、無料の歯ブラシや歯みがき粉といった実用品を来場者に提供することも動機付けにつながりますが、景品表示法に注意する必要があります。

イベント構成と動線設計の工夫 

来場者の動線を「受付→院内ツアー→無料相談→体験」とスムーズにつなぐ構成が効果的です。 体験内容としては、口腔内チェックやカウンセリングなど、実際の診療に近い内容を用意することで、医院の印象を強く残すことができます。

来場者へのフォローアップ体制

名刺交換・LINE登録・アンケートなどで接点情報を収集し、2〜3営業日以内に初診案内またはフォローメールを送ることで、新患予約につなげます。

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歯科衛生士の役割と価値|内覧会における中核的存在



内覧会において、歯科衛生士は単なるサポートスタッフではなく、歯科医院の「顔」として来場者との信頼関係を築く重要な存在です。

丁寧な接遇や専門的なアドバイスを通じて、予防歯科の意義を伝えることができるのは、歯科衛生士ならではの強みです。

以下では、歯科衛生士が内覧会においてどのような役割を果たすべきか、ポイントでまとめました。

接遇・相談対応での信頼構築

歯科衛生士による丁寧な案内・接客が、歯科医院の第一印象を決定づける重要な要素と言えます。
個別相談や口腔ケア体験を通じて、来場者からの信頼が生まれるのです。

歯科衛生士だから伝えられる予防の重要性

治療だけでなく予防の大切さを専門家目線で伝えることで、初診予約からの患者定着に直結します。

院内スタッフをまとめるリーダーシップ 

準備段階での業者対応、当日のスタッフ配置、空気感の演出など、内覧会の場を統率できる存在感がチームの成功を左右します。

よくある不安と内覧会がもたらす可能性


 

内覧会を計画する際、多くの歯科医院が「人は集まるのか?」「スタッフは対応できるのか?」「その後に患者は定着するのか?」といった不安を抱えます。

しかし、こうした懸念は準備と工夫次第で十分に乗り越えられます。
むしろ、内覧会は医院の魅力を直接伝え、患者との関係性を築く絶好の機会でもあります。 以下では、よくある不安とその解決策、そして内覧会が開業後にもたらす可能性について紹介します。

「本当に患者は来るのか?」という懸念

少人数でもターゲット層(こども・予防・矯正など)に刺されば成功です。 
質を重視して戦略的な告知を行えば、来場者は期待以上に集まります。

「スタッフが何をすれば良いか分からない」問題

事前の動線シミュレーションと役割分担の明確化が鍵です。
導線確認・役割カード・マニュアル整備によって、不安は解消できます。

「内覧会後の患者定着に不安がある」課題 

当日予約後の「フォロー体制」が重要です。
受付→初診→アフターフォローへ繋げるクスリを飲むような継続設計を行いましょう。

内覧会は「医院の理念と信頼感」を伝える絶好の機会

 

 

内覧会は、単に医院を紹介する場ではなく、「どんな想いでこの医院を立ち上げたのか」「どのような診療スタンスを大切にしているのか」といった理念や、患者に寄り添う姿勢を直接伝えることができる貴重な機会です。

 内覧会後には名刺交換やLINE登録、アンケートの活用を通じて来場者との接点を継続させ、数日以内にフォローの連絡を行うことが、新患予約につながる重要なステップとなります。

よくある質問(FAQ)


Q1. 内覧会は必ず実施すべきですか?

A1. 必須ではありませんが、地域への認知向上・新患獲得・スタッフのチーム力向上など、メリットが大きいため、開業初期の戦略として強く推奨されます。

Q2. 内覧会は開業のどのタイミングで開催すればよいですか?

A2. 一般的には「プレオープン」前後、つまり開業の1週間前〜直前の週末が最も効果的です。院内設備が整い、スタッフの準備も整ったタイミングが理想です。

Q3. 自力での開催と業者委託では、どちらがおすすめですか?

A3. 限られた時間・人手で効率的に進めたい場合は業者委託が有効です。費用対効果や医院の方針に応じて選択しましょう。記事内でそれぞれのメリット・デメリットを詳しく解説しています。

Q4. 歯科衛生士は内覧会でどんな役割を担うのですか?

A4. 来場者とのコミュニケーション、予防の重要性の説明、相談対応など「信頼構築の要」として活躍できます。また、医院の理念を伝える“顔”としても非常に重要な存在です。

Q5. 内覧会を開催しても患者が来なかったらどうすればいいですか?

来場者数だけに注目せず、事前告知・ターゲット設定・当日の体験内容・フォローアップなど全体の戦略を振り返りましょう。少数でも「予約につながる来場」があれば成功と考えることもできます。

まとめ

内覧会は単なる見学会ではなく、医院の理念とスタッフの熱意を一気に伝える場です。
事前準備・戦略設計・スタッフ育成・フォロー体制の四本柱で取り組むことで、開業初期において、地域との接点、信頼獲得、新患獲得、チーム向上を一挙に達成できます。
歯科医院の未来を切り拓く第一歩として、ぜひ内覧会を効果的に活用してください。

歯科衛生士・西


 


 

【参考URL】

https://www.medical-advance.com/service/produced/

https://corporate.den-pro.com/clinictour/

 

 

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