話題の「承継開業」にも!事業承継・引継ぎ補助金の第7次公募を解説

歯科経営



「独立開業を考えているけれど、集患や資金に不安がありなかなか一歩踏み出せない。」

そんな先生方に新しい選択肢として「承継開業」という開業スタイルが注目されています。近年、後継者が不在のため廃業の危機にある歯科医院も多く、廃業に伴いこれまで通院されていた患者さまの生活に大きな影響を与えることが懸念されています。

「承継開業」とは、医院の経営基盤やスタッフ、患者さまを第三者の歯科医師が引き継いで独立する開業方法です。単なる院長の交代ではなく、事業および資産を承継することで、現院長先生と引継ぎされる先生の双方にメリットがあります。

承継開業を行うときに役立つ「事業承継・引継ぎ補助金」について、ご存知でしょうか。歯科医院を経営するうえで、補助金や助成金といった制度を上手に活用しておきたいですよね。今回は「事業承継・引継ぎ補助金」にスポットライトをあてて解説します。

事業承継・引継ぎ補助金とは?




「補助金は審査を通るのが大変」と聞いたことがあるかもしれません。必須条件を満たしたうえで審査を通る必要があるため、ハードルは少し高めですが、最大で数億円もの給付金を受け取ることができるような制度です。原則として返金も不要ですので、活用したい制度のひとつといえるでしょう。

事業承継・引継ぎ補助金は、事業再編、事業統合を含む事業承継を契機として経営革新等を行う中小企業・小規模事業者に対して、その取組に要する経費の一部を補助するとともに、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎに要する経費の一部を補助する事業を行うことにより、事業承継、事業再編・事業統合を促進し、我が国経済の活性化を図ることを目的とする補助金です。
出典:事業承継・引継ぎ補助金
 

「歯科医院にも関係があるの?」と思われた先生方もいらっしゃるかもしれませんが、個人事業主の歯科医院のみを対象に、事業承継・引継ぎ補助金制度を申請することが可能です。ただし、医療法人は申請することができないのでご注意ください。

事業承継・引継ぎ補助金の対象経費とは?



 

1.事業費

店舗等借入費、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、会場借料費、外注費、委託費は、事業費として補助の対象となります。

2.廃業費

廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、現状回復費、リースの解約費、移転・移設費用(M&A型のみ)は、廃業費として補助の対象となります。

歯科医院で補助金の対象となるもの

歯科医院の場合、事業承継に伴う設備投資や集患のための費用などが対象となります。

具体的には、新しいスタッフの雇用やホームページの制作・診療ユニットの入れ替え・診療機器の導入・看板の新設などです。承継者は親族のみに限らず、第三者も対象となります。

歯科での事業承継のメリットとデメリット




医院の経営基盤、スタッフ、患者さまを引き継いで開業する新しい開業スタイル「承継開業」を行うにあたり、知っておきたいメリットとデメリットについて、まとめました。

事業承継して開業するメリット

経営基盤ができあがっている
経営基盤があるというのは、大きなメリットといえるでしょう。事業を承継した時点から、ある程度の売上を見込めるため、安心して働くことができます。

設備等の経営資源を引き継ぐことができる
設備を引き継ぐことで大幅なコストカットが見込めますし、入れ替えや新規導入を考えている設備には補助金を使うことができます。

開業へのハードルが下がる
開業準備には時間や労力がかかるため、計画段階で挫折する先生も多くいらっしゃいます。具体的には、人材募集や採用・教育といった時間とお金、また経営するためのノウハウといった内容を1から学ぶことが必要です。
承継開業では、基本的な環境が揃った状態でのスタートなので負担を軽くすることが可能です。

事業承継して開業するデメリット

理想の医療を提供できない可能性がある
事業承継での開業ではすでに基盤が完成しているため、診療時間や診療日・設備・診療スタイルを現院長先生から引き継ぐかたちになります。いきなり変えるとスタッフや患者さまが離脱する原因にもなりかねないため、計画的に行う必要があるでしょう。

スタッフや患者さまと良好な人間関係を築く努力が必要
「現院長先生のときは良かった」とならないようにしなければなりません。自分らしさを活かした診療を取り入れていく場合にも、人間関係を乱すことのないように配慮することが大切です。

事業承継・引継ぎ補助金の第7次公募について




2023年9月15日(金)から2023年11月17日(金)17:00まで、事業承継・引継ぎ補助金の第7次公募が行われます。公式サイト「事業承継・引継ぎ補助金」では、スケジュールや公募要領など詳しく公開中です。必要書類などが多いので少し大変かもしれませんが、審査に通過するためには不備なく提出するようにしましょう。

公式サイトからお問い合わせフォームもありますので、ご自身の対象区分などでお悩みの方は事前に確認してから準備することをおすすめします。

 

 

 

 

ORTC 歯科衛生士ライター
hashimo
 

【自己紹介】
歯科衛生士歴11年。3歳児のママ。
2021年から歯科衛生士webライティングを開始。
現在も歯科衛生士として働きながら執筆活動をしている。
「患者さまに喜んでもらえる歯科衛生士」がモットー。
 

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