歯科医院で使える補助金2026|個人開業医・医療法人の対象可否と注意点

歯科経営

歯科医院で補助金の活用を検討する際に重要なのは、「歯科医院が対象になる補助金」と「対象外になる補助金」を正確に見極めることです。

特に、個人開業医と医療法人では対象可否が異なる制度があります。この記事では、歯科医院で活用できる主な補助金として「デジタル化・AI導入補助金2026」と「事業承継・M&A補助金」を中心に、対象者・特徴・注意点を整理します。

歯科医院で活用できる主な補助金

歯科医院で活用できる主な補助金は、以下の2つです。

補助金名個人開業医医療法人主な用途
デジタル化・AI導入補助金2026対象対象ITツール、クラウド、PC・タブレット、レジ、セキュリティ対策など
事業承継・M&A補助金対象対象外事業承継、M&A、PMI、廃業・再チャレンジなど

「デジタル化・AI導入補助金2026」は、個人開業医・医療法人の両方が活用できます。 一方で、「事業承継・M&A補助金」は、歯科医院の中では個人開業医のみが対象となり、医療法人は対象外です。

1. デジタル化・AI導入補助金2026

デジタル化・AI導入補助金2026は、歯科医院の業務効率化や生産性向上、インボイス制度対応などを目的に、ITツールや関連費用の一部を補助する制度です。

対象となる歯科医院は、個人開業医と医療法人の両方です。医療法人の場合は、常時使用する従業員が300人以下であることが対象要件となります。

参照先リンク:
https://it-shien.smrj.go.jp/

対象となる主な経費

対象となる経費には、ソフトウェア購入費、クラウド利用費、導入関連費などがあります。

インボイス枠では、条件に該当するITツールに紐づくPC・タブレット・レジ・券売機などのハードウェアも対象になります。

歯科医院で想定される活用例としては、電子カルテ、予約・問診システム、会計ソフト、自動精算機、セキュリティ対策サービスなどがあります。

歯科医院にとって重要なポイント:保険医療機関の賃上げ要件

通常、この補助金では、一定の賃上げ目標を達成する事業計画の策定が必須となる場合があります。

しかし、健康保険法等に基づく「保険医療機関」の場合は、賃上げ目標要件が適用外となる特例が設けられています。

医療法人・個人開業医を問わず、保険医療機関である歯科医院にとっては、申請を検討しやすい重要なポイントです。

主な申請枠

通常枠

通常枠は、自院の業務効率化や生産性向上を目的としたITツールの導入に利用できます。

  • 対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用費、導入関連費
  • ハードウェア:対象外
  • 補助金額:1プロセス以上の機能要件で5万円〜150万円未満
  • 補助金額:4プロセス以上の機能要件で150万円〜450万円以下
  • 補助率:原則1/2以内

※一定の最低賃金引き上げ要件を満たした場合は、補助率が2/3以内に引き上げ可能です。

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス枠は、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」のいずれかの機能を持つITツールや、それに紐づくハードウェアの導入に利用できます。

  • 対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用費、ハードウェア関連費、導入関連費
  • ITツール:50万円までは補助率3/4以内
  • ITツール:小規模事業者は50万円までは補助率4/5以内
  • ITツール:50万円超〜350万円の部分は補助率2/3以内
  • ハードウェア(PC・タブレット等):上限10万円、補助率1/2以内
  • ハードウェア(レジ・券売機):上限20万円、補助率1/2以内

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃などのリスクに備えるためのセキュリティ対策サービスの導入に利用できます。

  • 対象経費:「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスの利用料
  • 対象期間:最大2年分
  • 補助金額:5万円〜150万円
  • 補助率:中小企業は1/2以内
  • 補助率:小規模事業者は2/3以内

申請前に必要な準備

デジタル化・AI導入補助金2026の申請には、以下の事前準備が必要です。

  • 「GビズIDプライムアカウント」の取得
  • 「SECURITY ACTION」の宣言

GビズIDプライムアカウントは、電子申請システムでの申請に必須となります。取得には数週間程度を要するため、早めの手続きが必要です。

また、SECURITY ACTIONでは「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」の宣言を行う必要があります。

なお、補助金対象となるITツールは、事前に事務局へ登録されているものに限られます。具体的な製品やサービスは、登録されているIT導入支援事業者と相談しながら選定する流れになります。

2. 事業承継・M&A補助金

事業承継・M&A補助金は、歯科医院の中では個人開業医のみが活用できる補助金です。医療法人は対象外です。

対象となるのは、資本金または従業員の基準を満たす中小企業者等に含まれる個人開業医です。

事業承継やM&Aを契機とした新たな取り組み、事業再編・統合に伴う経営統合の取り組み、または再チャレンジに向けた廃業等にかかる経費を補助します。

対象経費には、専門家経費、設備投資費、機械装置等、外注費、廃業費などが含まれます。

参照先リンク:
https://shoukei-mahojokin.go.jp/

個人開業医としての主な共通要件

個人開業医が活用する場合、主な共通要件は以下の通りです。

  • 常時使用する従業員の数が300人以下であること
  • 青色申告者であること
  • 税務署に提出した確定申告書Bと所得税青色申告決算書の写しを提出できること
  • 廃業・再チャレンジ枠以外では、「個人事業の開業届出書」および「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出した日付から5年が経過していること

事業承継促進枠

事業承継促進枠は、親族や従業員に歯科医院を引き継ぐ場合に検討できる枠です。

親族内承継や従業員承継にあたり、「事業譲渡」によって医院を引き継ぎ、後継者が中心となって設備投資などを行う場合に活用できます。

  • 後継者は、現在の院長の親族であること
  • または、当該個人事業に継続して3年以上雇用され、業務に従事した経験があること
  • 引き継ぐ経営資源を活用し、生産性向上を達成する事業計画を立案すること
  • 公募申請期日から5年後までに事業承継を完了させること

PMI推進枠

PMI推進枠は、他の医院を買い取る、または譲り受ける場合に検討できる枠です。

「事業譲渡」によるM&Aで他の医院を譲り受け、統合効果を高めるための専門家活用や設備投資を行う場合に活用できます。

  • M&Aが成立する前に、承継者である買い手側によるデュー・ディリジェンスが実施されていること
  • M&Aのクロージング後1年以内に、経営統合に向けた取り組みを実施すること
  • シナジーの創出や非効率の解消が見込まれること

廃業・再チャレンジ枠

廃業・再チャレンジ枠は、医院の譲渡が成立せず、廃業して新たな挑戦をする場合に検討できる枠です。

M&Aで医院を譲り渡そうとしたものの成約せず、廃業して新たな事業などを始める場合に活用できます。

  • 2020年以降に、事業承継・引継ぎ支援センターへの相談やM&A仲介業者との包括契約など、事業の譲り渡しに着手していること
  • そのうえで、成約に至らなかったこと
  • 既存事業を廃業し、地域の新たな需要の創造や雇用創出に資する新たな活動に取り組むこと
  • 廃業後に再チャレンジする事業計画を作成すること
  • 認定経営革新等支援機関の確認を受けていること

なお、いずれの枠でも、国が助成する他の補助金等と重複する事業は対象外です。

歯科医院で対象外となる主な補助金

以下の補助金は、公募要領上で医療法人や医師・歯科医師が対象外として指定されているため、歯科医院での活用はできません。

補助金名対象外となる理由
小規模事業者持続化補助金医療法人、および個人の医師・歯科医師が対象外
中小企業省力化投資補助金原則として医療法人は対象外
中小企業成長加速化補助金医療法人は対象外
中小企業新事業進出促進補助金医療法人は対象外

特に、小規模事業者持続化補助金は「小規模」という名称から歯科医院でも使えるように見えますが、医療法人、および個人の医師・歯科医師は対象外です。

まとめ:歯科医院は「使える補助金」と「使えない補助金」の見極めが重要

歯科医院で補助金を検討する場合、まず確認すべきポイントは、個人開業医なのか、医療法人なのかという点です。

デジタル化・AI導入補助金2026は、個人開業医・医療法人の両方が活用できる補助金です。 電子カルテ、予約システム、会計ソフト、自動精算機、クラウドサービス、セキュリティ対策など、歯科医院のデジタル化を進める際に検討しやすい制度です。

一方、事業承継・M&A補助金は、歯科医院の中では個人開業医のみが対象です。 親族承継、従業員承継、医院の譲受、PMI、廃業・再チャレンジなどを検討している個人開業医にとっては、確認しておきたい補助金です。

補助金は、制度名だけで判断すると誤解が生じやすい分野です。歯科医院で活用できるかどうかは、必ず「個人開業医か医療法人か」「対象経費に該当するか」「事前準備が整っているか」を確認したうえで検討することが重要です。


編集:歯科医療メディアORTC編集部



 

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