講師紹介 中村 航也

- 中村 航也
- 中村歯科医院
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成人の約8割が罹患しているとされる歯周病は、超高齢社会において有病率がさらに高まっています。
しかし、重度の垂直性骨欠損を伴う症例や、糖尿病・高血圧などの全身疾患を抱える患者への対応において、治療計画の立案や臨床手技に不安を感じている歯科医師・歯科衛生士は少なくありません。
本動画では、日本歯周病学会専門医の中村先生が、2つの特徴的な臨床症例をベースに歯周治療を成功へ導く鍵を提示します。
1症例目では、前歯部重度骨欠損に対するエムドゲインとバイオスを用いた歯周組織再生療法の術式を解説し、フラップの展開や垂直間欠マットレス縫合といった術者自身の基本手技を詳説します。
2症例目では、カルシウム拮抗薬による歯肉増殖や、HbA1c 8.2%の糖尿病を伴う患者への歯周基本治療を紐解きます。バス法によるイリゲーション効果やセメント質を残す超音波スケーリングにより、医科側も驚くほどの数値改善(HbA1c 5.6%)を達成したプロセスは必見です。
誇張のないリアルな臨床データと文献的考察に基づいた本映像は、医院の治療クオリティと生産性を高める確かな指針となります。歯科の枠を超え、患者の人生を守る「医科歯科連携」の真髄をぜひご視聴ください。
歯周治療・歯周組織再生療法
重度歯周炎の患者さんに対して、どこまで歯周基本治療で改善を期待し、どの段階で歯周外科処置や歯周組織再生療法を検討するべきか。さらに、糖尿病や高血圧など全身疾患を抱える患者さんでは、医科との情報共有も重要になります。本記事では、中村航也先生の講義内容をもとに、歯周治療の考え方を臨床で使いやすい形に整理します。
歯周病は、多くの歯科医院で日常的に遭遇する疾患です。特に高齢化が進むなかで、歯を多く残している患者さんが増える一方、歯周炎のリスクを抱えたまま来院されるケースも少なくありません。
中村先生の講義では、歯周組織再生療法を含む包括的な歯周治療に加え、糖尿病を有する患者さんへの対応、カルシウム拮抗薬による歯肉増殖への配慮、PISAを用いた医科歯科連携の実践までが紹介されています。
講義で紹介された46歳女性の症例では、1年ほど前から歯肉の出血や腫れがあり、5年ほど歯科受診がない状態で来院されました。初診時には歯肉の腫脹、歯石、4mm以上・6mm以上の歯周ポケット、動揺度を認め、歯周病リスクが高い状態と整理されています。
診断では、口腔内写真、歯周ポケット検査、デンタルX線写真をもとに、垂直性骨欠損や水平性骨吸収を確認し、新分類に照らして「広汎型・慢性歯周炎・ステージIII・グレードB」と判断されています。
歯周治療では、検査値だけで治療方針を決めるのではなく、患者さんの生活背景や通院継続のしやすさも含めて判断する必要があります。特に長期的なSPTまで見据える場合、医院全体で患者情報を共有することが治療の安定につながります。
歯周基本治療後の反応を確認したうえで、外科処置を検討する場面があります。中村先生は、文献的考察を踏まえながら、天然歯保存の観点から歯周組織再生療法を選択する意義を説明しています。
ただし、再生療法は「できるかどうか」だけではなく、「その患者さんに適しているか」「術式の難易度はどうか」を見極めることが重要です。講義では、AAPの再生療法に関するデシジョンツリーや難易度分類を参考にしながら、症例ごとに治療選択を整理する考え方が紹介されています。
講義内の症例では、歯周組織再生療法後、術前に認められた4mm以上・6mm以上のポケットが改善し、審美的・機能的にも安定した状態が得られたと紹介されています。重要なのは、再生療法そのものを目的化するのではなく、患者さんの長期的な口腔機能を守るための選択肢として位置づけることです。
次に紹介されたのは、51歳男性の症例です。3年ほど前から歯肉出血や歯の動揺を自覚していたものの、歯科恐怖心があり受診できていなかった患者さんです。健康診断で糖尿病を指摘され、かかりつけ医から歯科受診を勧められて来院されました。
初診時のHbA1cは8.2%で、高血圧によりカルシウム拮抗薬を服用していました。歯周診断としては、広汎型・慢性歯周炎・ステージIII・グレードCと整理されています。
カルシウム拮抗薬については、歯肉増殖との関連を考慮し、医科側に薬剤変更を相談したものの、血圧上昇の経緯から変更は難しいと判断されています。このように、歯科側だけで完結できない要素がある場合、無理に薬剤変更を前提にするのではなく、炎症コントロールや清掃指導を含めた現実的な対応が求められます。
この症例では、歯周基本治療によって状態が大きく改善したため、外科処置に踏み込まずSPTで経過を見ていく方針が選択されています。歯科恐怖心や全身状態を含めて判断し、患者さんが継続できる治療計画を立てることの重要性が示されています。
中村先生が強調していたのが、医科歯科連携における客観的な情報共有です。歯科側では「右上7番に6mm以上のポケットがある」と説明しても、医科の先生には伝わりにくい場合があります。
そこで活用しやすい指標として紹介されていたのがPISAです。PISAは歯周組織の炎症面積を示す指標で、歯周病の状態をひとつの数値として共有しやすい点が特徴です。
医科と連携する際は、部位ごとの歯周ポケット値だけでなく、PISAのような全体像を示す指標を活用すると、歯周炎症の程度を共有しやすくなります。
講義内では、PISAについて「100以下が健康、100〜500が歯周病予備、600以上が中等度歯周病」といった目安が紹介されています。ただし、数値だけで機械的に判断するのではなく、患者さんごとのリスクやSPTで注意すべき部位を把握するための材料として使うことが重要です。
糖尿病患者では、医科側がHbA1cや血糖値を確認するように、歯科側も歯周炎症を客観的に示せる指標を持つことで、相互紹介や治療経過の共有がしやすくなります。講義では、医科の待合室で糖尿病と歯周病の関係を伝える取り組みや、アンケートを通じて歯科受診のきっかけを作る工夫も紹介されています。
歯周組織再生療法は、重度歯周炎に対する有効な選択肢のひとつですが、適応判断、術式設計、患者背景、術後管理まで含めて考える必要があります。
また、糖尿病や高血圧を有する患者さんでは、歯周治療が単なる口腔内の処置にとどまらず、全身状態への意識づけや医科歯科連携の入口になることもあります。
歯を守ることは、患者さんの食事、会話、笑顔、そして生活の質を支えることにつながります。歯科医院として、歯周基本治療、再評価、必要に応じた再生療法、SPTまでをチームで継続できる体制づくりが大切です。
ORTC PRIME会員対象動画
この動画では、歯周組織再生療法の考え方、糖尿病を有する歯周病患者への対応、PISAを用いた医科歯科連携の実践について、症例をもとに学べます。重度歯周炎の治療計画を見直したい先生、歯周基本治療からSPTまでの判断精度を高めたい先生、医科との連携を強化したい医院におすすめです。
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