講師紹介 稲山未来

  • 稲山未来
  • Kery栄養パーク
  • 代表 管理栄養士
  • 栄養士養成校を卒業後、特別養護老人ホームで調理に携わりながら管理栄養士の国家資格を取得。給食管理や栄養管理に加え、看取り期の食支援にも深く関わり、高齢者が“最期まで食べる”ことを支える重要性を学んだ。 さらに、食事だけでなく生活全体を支えるため介護支援専門員資格を取得し、包括的なケアに取り組んできた。
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こんな方におすすめ

管理栄養士の訪問栄養食事指導を始めたい歯科医院や管理栄養士

摂食嚥下機能訓練後の栄養状態変化を追いたい歯科衛生士・歯科医師

慢性疾患を持つ患者の全身状態をフォローする歯科医療従事者

医科歯科連携、多職種連携下での継続的な患者管理を学びたいスタッフ

動画の紹介

本動画「訪問栄養食事指導スタートガイド ステップ13」では、栄養ケアプロセスの最終段階であるモニタリングと評価の重要性を解説します。

栄養介入の結果、設定した長期・短期目標が達成されたか、栄養課題が改善傾向にあるかを客観的に判断するための方法論を学びます。

動画内容

モニタリングの目的と適切な指標の選択

モニタリングの主な目的は、設定した長期・短期目標の達成度を測定し、介入による変化を把握することです。

評価項目は、アセスメントで使用した項目群(食物栄養関連の履歴、身体計測値、生化学データ、身体所見など)の中から、特に目標や栄養診断に直結する指標を選択します。

例えば、経口摂取量不足が診断名であれば、食事摂取量や体重を追跡します。ただし、食事摂取量は測定誤差が生じやすいため、BMIや生化学データと組み合わせて総合的に判断する重要性が強調されます。

生化学データによる客観的評価の実際

生化学データではアルブミンが頻繁に用いられますが、炎症の影響を受けるため、単独での栄養評価は避け、他の指標との統合が求められます。動画では、糖尿病と腎臓病を持つ独居高齢者(食費1日500円)の事例を通じて、モニタリングの実践を紹介しています。

この事例では、栄養診断(PES報告)の根拠となるアセスメントデータ(S)が臨床検査数値の悪化であったため、介入後の血液検査データの改善状況が、栄養介入の成果を判断する重要な指標となります。

事例から学ぶ評価と継続の判断

この事例では、栄養介入(生協の利用、ヘルパーへの調理指導など)により、エネルギー量とたんぱく質摂取量が増加し、3ヶ月後のモニタリングで脂質代謝項目やHbA1cが正常範囲内に改善したことが示されました。これは栄養管理が「うまくいっている」ことを示す評価です。

一方で、貧血(ヘモグロビン)の改善が見られず、かつ目標よりも少ないエネルギー量で体重が維持されていたことから、初期に設定した目標栄養量(1450kcal)の再検討が必要と判断されます。このように、目標達成、一部改善、改善なしといった評価結果に基づき、指導の継続やプランの再構築(アセスメントからのやり直し)を決定する評価プロセスが具体的に示されています。

 

モニタリングと評価は、計画を一方通行で終わらせず、患者の状態に合わせて柔軟に見直すためのものであり、在宅患者への個別化された質の高い栄養ケアを提供する上で、管理栄養士にとって最も実践的なスキルの一つです。歯科医療従事者も、患者の全身状態の改善傾向を客観的な数値で把握するために、これらの評価基準を知っておくことが多職種連携を深める上で必要です。

教えて先生

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