講師紹介 稲山未来

- 稲山未来
- Kery栄養パーク
- 代表 管理栄養士
- 栄養士養成校を卒業後、特別養護老人ホームで調理に携わりながら管理栄養士の国家資格を取得。給食管理や栄養管理に加え、看取り期の食支援にも深く関わり、高齢者が“最期まで食べる”ことを支える重要性を学んだ。 さらに、食事だけでなく生活全体を支えるため介護支援専門員資格を取得し、包括的なケアに取り組んできた。
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管理栄養士の訪問栄養食事指導を始めたい歯科医院や管理栄養士
歯科訪問診療において栄養状態の評価を行う歯科医師
患者の摂取栄養量の評価について理解したい管理栄養士
多職種連携で居宅療養管理指導に関わる歯科医療従事者
本動画は、管理栄養士が行う訪問栄養食事指導(居宅療養管理指導)の初期ステップであるアセスメントにおいて、極めて重要な食事摂取量の把握と身体計測の具体的な方法を網羅的に解説します。高齢者や要介護者に対する栄養評価は、摂食嚥下機能や口腔環境を評価する歯科医療従事者にとっても、多職種連携を円滑に進める上で不可欠な知識です。
本人・家族からの聞き取りに加え、配食弁当や施設提供食の栄養価をメーカー・施設に問い合わせる方法、さらには介護記録の活用や食事写真を用いた簡便で正確な記録方法を紹介。歯科と栄養の連携強化に役立つ実務的な内容です。
動画では、食事摂取量の把握方法として「本人・家族からの聞き取り」「既存の介護記録からの抽出」「食事記録の依頼」の3点が紹介されています。
口腔機能が低下している患者さんでは、食事形態が嚥下調整食(学会分類2021)である場合が多く、これら食事形態の学会分類コードや摂取割合、とろみの程度(薄い・中間・濃い)を正確に確認することが、適切な嚥下調整と誤嚥性肺炎の予防に直結します。
配食弁当や施設食を利用している場合は、メーカーや施設に問い合わせることで、エネルギー・タンパク質はもちろん、カリウムやリンといった特定の微量栄養素の提供量を把握できる点も、全身疾患(特に腎疾患)を持つ患者さんの管理に役立ちます。
記録が困難な利用者に対しては、スマートフォンによる食事写真の活用が推奨されています。これは、文字記録では判断しにくい料理の種類や摂取量を視覚的に把握できるため、栄養計算の精度を高めると同時に、介護者やヘルパーの負担を軽減します。
収集した食事記録の栄養計算には、Excelベースのソフト(栄養プラスなど)や、カロミルのような無料のAI解析アプリを用いることで、迅速に栄養素の充足率を評価できます。正確な評価が求められないケースでは、これらの簡易ツールは、目標栄養量に対する現在の摂取状況を概算する上で非常に有効です。
身長・体重は目標栄養量を設定するための基本情報であり、BMI(体格指数)やUBW(通常体重)の指標を通じて栄養状態を評価する上で必須です。
しかし、高齢者では立位が取れないことが多く、動画ではその解決策として推定身長(膝下高から算出)と推定体重(上腕周囲長・下腿周囲長から算出)の計算式が紹介されています。特に、下腿周囲長(ふくらはぎの最も太い部分)はサルコペニア(全身の筋肉量減少)のスクリーニング指標としても活用され、口腔周囲筋を含めた全身の筋力低下を推測する上で参考になります。訪問看護師や理学療法士との連携による体重測定の提案など、多職種でデータを共有し、口腔と全身の健康を守る体制構築の重要性を示唆しています。
