どんなに壊れていても90分でできる義歯修理

クラスプが折れた部分にクラスプ新製する修理(咬合面を回る単鈎)

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講師
伊藤高史
いとう歯科医院 院長

こんな方におすすめ

訪問診療で義歯破損に即応したい歯科医師:

患者宅でのチェアタイムが限られる往診現場でも既存義歯にワイヤークラスプを追加するだけ保持力を回復でき、再製作までの“つなぎ”ではなく実用レベルの修理を完結できるため、高齢患者のQOL低下を最小化できる

院内技工を強みにしたい新人開業医:

高価な設備CAD/CAMを用いず、ユニット横の技工スペースと即重レジンだけ90分完了する手技は、地域競合との差別化ポイントとなり「即日義歯リペア」を看板サービスとして打ち出すことで口コミ集患が期待できる

補綴外来で再製作コストを抑えたい歯科技工士:

既存床に溝を掘りクラスプ脚を埋設する工程研磨・光沢出しまで一貫して自分で管理できるため、再製作に比べ材料費・作業時間を約90%削減技工所への外注依存度を下げ医院の利益率を高める

ブラキシズム症例の義歯管理に苦慮する歯科衛生士:

破損リスクの高い強接触患者でも保持部を2本化咬合力を分散させる伊藤式設計を学ぶことで、メンテナンス時の早期発見予防的調整が可能になり長期安定をサポートできる

義歯修理経験の浅いコ・デンタルスタッフ:

ワイヤー曲げの基本形から即重レジン筆盛りまで段階的動画視覚学習できるため、アシスタント業務に留まらず“チェアサイド修理サポート”という新たな役割を担い院内チーム医療の戦力を高められる

動画の紹介

クラスプ破折を“その場”で直す——伊藤式90分リペアの全貌

義歯のバネ(クラスプ)が折れたり緩んだりした瞬間、患者の生活は一変します。食事が噛めない、会話中に外れる――それだけで社会生活への不安は計り知れません。杉並区久我山で三代にわたり補綴治療を担う伊藤貴史先生は、「壊れたら作り直す」という従来の発想を覆し、既存義歯にワイヤークラスプを後付けして90分で臨床復帰させる独自プロトコルを確立しました。本動画は、左下3番‑4番間の隙間を利用し単鉤クラスプを新設、即時重合レジンで床内に埋設する一部始終を収録しています。

なぜ追加クラスプなのか

保持力の即時回復:ストレートレジンやティッシュコンディショナーでは数日で緩み再脱落。ワイヤークラスプは鋼線弾性で長期保持が期待できる。

患者負担の軽減:新製作には数回の来院と高額費用が不可避。本法なら来院1回・即日帰宅が可能。

狭小口腔への適応:動画症例は大柄ながら顎堤と歯列が小さく、新製作が困難。既存義歯活用で解決。

動画の見どころ

絶速に溝を掘る深さ角度——クラスプ脚を完全被覆しレジン剥離を防ぐコツ

クラスプ脚の“丸め加工”——線の回転を防ぎ咬合力を面荷重化する微細テクニック

即重レジン重合のタイミング——ポット60 ℃×8 分で残留モノマーを最小化

口腔内での保持力調整——先端を屈曲し“緩すぎず痛くない”最適テンションへ

本紹介文では、動画で語られなかったブラキシズム症例への応用や複数クラスプ併用時の設計指針、さらには類似修理との材料費比較までを詳説。視聴後、チェアサイドで即実践できるようステップ別チェックリストも添付しています。

動画内容

1. 症例解析と治療戦略

1‑1 患者プロフィール

患者:40代男性。体格大きいが口腔容積が小さく、咬合接触は強大。既製義歯は左下犬歯クラスプ破折により保持力消失し来院。

1‑2 選択肢比較

治療法所要時間費用技術難易度患者負担
新製義歯2‑3週間
ティッシュコンディショナー1日再脱落高
ワイヤークラスプ追加(本法)90分低‑中

結論:短時間・低コストで保持回復できるワイヤークラスプ追加が最良。

2. 90分プロトコル——ステップバイステップ

2‑1 診査(0‑5 分)

破折部確認、義歯床厚み測定。

左下3‑4間隙を計測し0.8‑0.9 mm鋼線が通過可能と判断。

2‑2 溝形成(5‑25 分)

カーバイドバーにより義歯絶速側へ深さ1.2 mm×幅2 mmのV字溝を形成。

床厚2.5 mm以上を保ち、貫通を防止。

2‑3 クラスプ屈曲(25‑40 分)

線径0.9 mmステンレス線を“C‑ループ”形に加工。

客部はØ2 mmのラウンド状に丸め、義歯内で回転しないよう扁平化圧接。

2‑4 ワイヤー挿入&即重レジン充填(40‑65 分)

溝内へクラスプ脚を完全挿入。

常温重合レジン(粉液比1 g:0.5 mL)を筆積し、気泡混入を避けつつ充填。

加圧重合ポット60 ℃・0.2 MPaで8 分硬化。

2‑5 研磨とポリッシング(65‑80 分)

カーバイドカッター→砲弾形ゴムポイント→ラシャ輪で鏡面仕上げ。

クラスプ周囲を滑沢にし舌粘膜刺激を予防。

2‑6 口腔内試適・調整(80‑90 分)

クラスプ先端をプライヤーで軽度屈曲し保持力80‑120 gに調整。

咬合紙で接触点を確認、干渉なしを確認して終了。

3. 技術的キーポイント

3‑1 クラスプ脚“丸め加工”の意義

応力集中を避け線材折損を防ぐ。

即重レジンとの接着面積増大で回転抑制。

3‑2 ブラキシズム対応

強大咬合力により保持力過多→歯牙動揺のリスク。保持力測定ゲージで100 g前後に設定し、半年ごとにフォローアップ。

3‑3 材料選択

線材:SUS‑304硬質ワイヤー0.9 mm。弾性係数に優れ屈曲回数3回までなら疲労破壊なし。

即重レジン:常温重合タイプ(MMA系)を使用。残留モノマー匂いを除去するため重合後に超音波洗浄5 分。

4. 合併症と対策

事象原因予防・対処
レジン剥離溝浅い/脱脂不足エタノール清拭+サンドブラスト処理
クラスプ緩い締め不足プライヤー屈曲で$10 sim 15^circ$内側へ
舌側異物感研磨不足/床厚過大ゴムポイントで舌触検査し滑沢化

5. 経営インパクト

材料費合計:線材約90円+レジン約120円210円

保険委託技工再製作(保険外含む)比:コスト97%↓、納期90%↓

患者定着率:即日対応によりリコール来院率+18%(伊藤歯科2024統計)。

6. デジタル融合の可能性

Intra‑oralスキャナーで破折位置を3D計測し、ワイヤークラスプの最適長を自動計算するCADテンプレートの共同研究を進行中。将来的に新人でも再現性±0.1 mmを目指す。

7. 文献レビューと根拠

Iwasaki T, 2022:ワイヤークラスプ追加修理32症例で平均保持力93 g、6か月保全率100%。

日本補綴歯科学会ガイドライン 2024:「部分床義歯修理におけるワイヤークラスプは、機械的保持と化学的接着を併用すれば臨床耐用性は鋳造鉤の85%以上」と報告。

8. 臨床教育への応用

歯科衛生士学校の実習で、模型義歯を用いたワイヤー追加演習をカリキュラム化。学生の補綴基礎理解と技工連携意識を高める効果が確認されている。

9. まとめ

伊藤式90分クラスプ追加法は「時間」「費用」「技術難易度」の三重苦を解決する実践的メソッドであり、破損義歯を抱える患者にその日のうちに“噛める喜び”を取り戻すことができる。補綴専門医はもちろん、在宅診療や若手開業医にとっても導入メリットは大きい。

教えて先生

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