拮抗作用
上下の顎の歯が互いに対する圧力によって生じる相反する力のことを指します。
具体的には、以下の2つの作用が拮抗することを意味します。
・咬合圧(咬み合わせによる垂直方向の圧力)
・歯根膜の緊張(歯根を支える線維による水平方向の引っ張り力)
歯に過度の咬合圧がかかると、歯根膜が伸びて緊張します。その結果、歯根膜の緊張による水平方向の引っ張り力が発生し、これが咬合圧に対して拮抗する力となります。
この拮抗作用により、過剰な咬合圧が分散され、歯や歯周組織への負担が軽減されます。歯の動揺や歯周組織の破壊が防がれているのはこの拮抗作用のおかげです。
一方、歯根膜の緊張力が過剰になると、逆に歯の動揺や歯根吸収、歯周組織の損傷を引き起こす可能性があります。
このように、咬合圧と歯根膜の緊張のバランスが重要であり、この2つの力の拮抗作用が適切に機能することが、歯や歯周組織の健康維持に欠かせません。歯科医は、この拮抗作用を考慮して治療を行う必要があります。