ピエールロバン 症候群

ピエール・ロバン症候群(Pierre Robin Syndrome)は、先天性の障害で、口腔や顔面に特徴的な異常が見られる病態です。この症候群は、以下の三つの主要な特徴を持っています。

小顎症(Micrognathia):

  • 下顎が異常に小さいことです。これにより、舌が後方に押し出され、気道を塞ぐ可能性があります。

舌後退(Glossoptosis):

  • 舌が後方に位置し、気道閉塞の原因となります。

口蓋裂(Cleft Palate):

  • 口蓋(上顎の内部)に裂け目があり、これが食べ物や飲み物が鼻腔に流れ込む原因となります。

症状と影響:

  • 呼吸困難: 舌後退による気道閉塞が原因で、呼吸が困難になることがあります。
  • 授乳困難: 口蓋裂のために授乳が難しく、栄養不足になる可能性があります。
  • 睡眠時無呼吸症候群: 小顎症と舌後退により、睡眠時に呼吸が止まることがあります。

診断と治療:

  • 診断: 生後すぐに特徴的な外観や呼吸・授乳の問題から診断されます。必要に応じて画像診断(X線、MRIなど)も行われます。
  • 治療:
    • 気道確保: 軽度の場合は姿勢を変えるだけで改善することがありますが、重度の場合は外科的手術が必要な場合があります。
    • 口蓋裂の修復: 一般的には1歳から2歳の間に手術で修復されます。
    • 小顎症の治療: 必要に応じて、下顎の成長を促進するための手術が行われることがあります。

長期的なケア:

  • 発達の監視: 言語発達や食事、歯の発育に関して長期的なケアが必要です。
  • 専門医によるフォローアップ: 小児科、耳鼻咽喉科、口腔外科などの専門医による継続的なフォローアップが推奨されます。

ピエール・ロバン症候群は、複数の専門分野の医療従事者による協力が必要な複雑な病態です。適切な治療とケアにより、多くの子供たちが健康な生活を送ることができます。