クラックトゥースシンドローム

クラックトゥースシンドロームは、咬頭を含む臼歯が不完全な破折を起こし、それによって生じる臨床症状を指します。この用語は、1964年にCameronによって提唱されました。患者は咬合時の痛みや冷水に対する過敏症などの不快な症状を経験しますが、歯の表面には微小な変化や亀裂しか見られないため、診断や治療のタイミングを決定するのが難しい疾患です。

従来は、亀裂部を保存的に修復するためにコンポジットレジンなどを用い、症状が改善しない場合は全部被覆冠で亀裂を囲い込む治療が一般的でした。しかし、全部被覆冠の場合は歯質の削除が必要であり、治療のタイミングが遅れると歯の冠や根部の破折を引き起こす可能性があります。

一方、オーバーレイを用いると、咬合面全体が被覆されるため、亀裂そのものが保護され、咬合面からの刺激を遮断することができます。