セラミック治療の医療費控除完全ガイド|対象条件から申請方法まで詳しく解説

ORTC Online, 歯科知識

セラミック治療は保険適用外の自由診療のため、1本あたり10万円以上かかることも珍しくありません。
しかし、適切な条件下では医療費控除の対象となり、税金の還付を受けられる可能性があります。

本記事では、セラミック治療にかかる医療費控除について、申請条件から具体的な手続き方法まで詳しく解説します。

医療費控除の基礎知識


医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告を通じて税金の還付を受けられる制度です。
会社員の場合は所得税の還付として受け取ることができ、個人事業主の場合は確定申告時に税額から控除されます。

控除額の計算方法は以下のとおりです。
 

支払った医療費の総額 - 保険金などで補填される金額 - 10万円

※ただし、上限額は200万円までとなっています。
 

対象となる期間は、その年の1月1日から12月31日までです。
納税者本人だけでなく、生計を共にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も合算することができます。

セラミック治療と医療費控除


セラミック治療が医療費控除の対象となるかどうかは、治療の目的によって判断されます。
国税庁の見解によると、歯の治療目的で行うセラミック治療は医療費控除の対象となります。
 

特に、ポーセレンを使用したセラミック治療については、国税庁が明確に「医療費控除の対象となる」と示しています。

ただし、以下のような場合は医療費控除の対象外となります。
 

・純粋な審美目的の治療

・一般的な治療費水準を著しく超える高額な治療

・歯科ローンの金利や手数料
 

ポーセレンは天然の歯に近い色味を持ち、特に前歯の治療に適した材料として広く使用されることが多いです。

控除対象となる費用の範囲


セラミック治療に関連して、以下の費用が医療費控除の対象となります。
 

・治療費用本体

・診察料

・レントゲン撮影料

・麻酔料

・通院のための公共交通機関の運賃

・必要に応じた投薬料
 

一方で、次のような費用は控除対象外となります。
 

・自家用車での通院時のガソリン代

・駐車場料金

・予防的な歯科検診料

・美容目的の治療費
 

あくまでセラミック治療に関する部分のみの費用が対象です。

医療費控除の申請手順


医療費控除を受けるためには、以下の手順で申請を行います。
 

①必要書類の準備

②申告書の作成

③提出方法の選択
 

詳しく見ていきましょう。

①必要書類の準備

医療費控除を申請する際には、「医療費控除の明細書」または「医療費通知」が必要となります。
医療費控除の明細書は、1年間の医療費をまとめた書類で、医療を受けた人ごと、医療機関ごとに支払った医療費を記載します。
医療費通知は健康保険組合などの医療保険者が発行する書類で、こちらを使用すれば明細書の作成を省略できます。
 

確定申告書は、国税庁のウェブサイトからダウンロードするか、税務署で入手することができます。
なお、2017年以降は領収書の提出は不要となりましたが、5年間の保管義務があります。

万が一の問い合わせに備えて、領収書は日付順に整理して大切に保管しておきましょう。

②申告書の作成

医療費控除の申告書作成は、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すると、効率的に行うことができます。
ウェブサイトにアクセスし、「確定申告書等作成コーナー」から医療費控除の申告を選択します。
 

画面の指示に従って、氏名や住所などの基本情報、医療機関の名称、支払った医療費の金額、保険金などで補填された金額を入力していきます。入力項目は分かりやすく整理されており、自動計算機能もあるため、控除額の計算ミスを防ぐことが可能です。
特に、セラミック治療の場合は高額な治療費となるため、金額の入力には特に注意しましょう。
 

なお、e-Taxを利用する場合は、事前にマイナンバーカードの準備やICカードリーダーの設定が必要となりますので、余裕を持って準備を進めることをお勧めします。

③提出方法の選択

作成した医療費控除の申告書は、3つの方法で提出することができます。

まず、税務署への直接提出です。管轄の税務署の窓口に申告書を持参します。
窓口で内容の確認が可能で、不明点があればその場で質問できるメリットがありますが、確定申告期間中は混雑が予想されます。
 

郵送での提出も可能です。
返信用封筒を同封することで、受付印を押した申告書の控えを返送してもらえます。
ただし、書類の到着確認や不備があった場合の対応に時間がかかる可能性があります。
 

もっとも便利なのが、e-Taxによるオンライン提出です。
24時間いつでも提出可能で、自宅からスムーズに手続きを完了できます。
確定申告期間は2月16日から3月15日までとなりますので、提出方法に関わらず、余裕を持って申告を行うことをお勧めします。

よくある質問とトラブル防止


医療費控除の申請に関して、多くの方が不安に感じる点があります。
まず、申告忘れについての対応です。

医療費控除は、医療費を支払った年から5年以内であれば遡って申告することが可能です。
そのため、前年度の申告を忘れていたことに気付いた場合でも、まだ期間内であれば申告することができます。
 

領収書の保管期間についても重要なポイントです。確定申告を行った年から5年間の保管が法律で義務付けられています。
この期間内に税務署から問い合わせがある可能性もありますので、領収書は日付順に整理して、確実に保管しておく必要があります。
 

また、治療費用が10万円をわずかに下回る場合の対応も検討が必要です。
セラミック治療に関連する通院時の交通費なども医療費控除の対象となりますので、それらの費用も合算して検討することをお勧めします。ただし、前述したとおり、自家用車でのガソリン代や駐車場料金は対象外となりますので、注意が必要です。
 

セラミック治療を受ける際の確認ポイントもいくつかあります。
まず、治療の目的を明確にすることが重要です。治療目的であることを確認し、カルテに記載してもらいましょう。

また、治療費用の詳細な内訳をもらうことも大切です。後々の申告時に必要となる場合があるためです。
 

領収書の保管は特に重要です。
医療費控除の申請には不可欠な書類となりますので、紛失しないよう注意して保管してください。

通院記録をつけることもお勧めします。
交通費を合算する場合に備えて、通院日と交通費を記録しておくと、申告時に便利です。


なお、不明な点がある場合は、早めに税務署や税理士に相談することをお勧めします。
特に初めて医療費控除を申請する方は、専門家に相談することで、スムーズな申告が可能になります。

まとめ

セラミック治療は高額な治療費用がかかりますが、治療目的であれば医療費控除の対象となります。
控除を受けることで、経済的な負担を軽減することができます。

ただし、審美目的の治療は対象外となりますので、治療を始める前に歯科医師とよく相談し、治療の目的を明確にしておくことが重要です。
 

また、確定申告の際には必要書類を準備し、期限に余裕を持って申告を行いましょう。
領収書は5年間の保管が必要ですので、適切に管理することをお勧めします。
 

最後に、医療費控除の申請に不安がある場合は、税務署や税理士への相談がおすすめです。
専門家のアドバイスを受けることで、より確実な申告が可能となります。
 

今回の記事が、セラミック治療を検討されている方の参考になれば幸いです。
治療費用の負担を少しでも軽減し、より良い歯科治療を受けてくださいね。


編集・執筆

歯科専門ライター 萩原 すう
 

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