近い将来、歯の再生医療はどう変化する?アメリカの再生医療も紹介

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現在、日本ではいくつかの方法から歯の再生治療がおこなわれています。

しかし、まだまだ一般的治療とはいえないのが正直なところです。
今回は、そんな歯の再生治療に着目し、どのような治療がおこなわれているかみていきましょう。

そして今後、どのような再生医療が発展するのかについても紹介していきますので、ぜひ最後までお読みください。

 

失った歯を再生する治療法

インプラント治療

歯を失うと、まず思い浮かぶ治療がインプラントでしょう。

インプラントは、顎骨に生体親和性の高いチタンやチタン合金でできた人工歯根を埋め込む治療です。

審美性や咀嚼力に優れ、天然歯と同じように扱えることで多くの患者に選ばれています。

 

義歯

保険治療で失った歯を補う方法といえば、義歯でしょう。

古くから多くの方に使用されてきた、歯の再生治療です。

手術の必要がないことから手軽に取り入れられていますが、異物感やうまく噛めないなど不都合が生じやすい面があります。

 

ブリッジ

失った歯の隣在歯を削って被せ物を入れた歯の再生治療といえばブリッジです。

インプラントのような大々的な手術がないことから気軽に受けられますが、健康な歯を削る必要があります。

しかしながら、ほとんどの症例が保険治療で受けられることから義歯を入れたくない方にとっては手軽に受けられる治療です。

 

歯周組織再生療法とは

これまで、失った歯を対象に「噛めるようにする」治療法について紹介しました。

ここからは、歯を失わないようにすることを目的とする歯の再生方法についてお話していきます。

歯を失う原因はそれぞれありますが、なかでも歯周病が進行して歯槽骨の吸収の喪失によって抜歯に至るケースをよく見かけます。

しかし、患者が「どうしても抜きたくない」場合は、歯周組織再生療法という選択をとることが可能です。

歯周組織再生療法は、歯を支える歯周組織を回復して再生させる治療のことを示します。

誘導薬剤を使用することで失われた組織を回復し、機能させることが目的です。

この再生療法の結果、抜くはずだったであろう歯を抜かずに温存することが可能になります。

 

GTR法

GTR法は、歯周病によって歯槽骨が広範囲まで吸収してしまった場合に使われる方法です。

方法としては、失われた歯周組織に人工膜をあてて再生していきます。

以前は、歯周組織の再生が確認できたら再度歯肉を開いて人工膜を除去していましたが、現在では吸収性のある膜を使用することで除去手術を省くことが可能です。

自由診療が主ですが、使用する人工膜によっては保険適用の場合もあります。

 

エムドゲイン法

エムドゲイン法は、歯槽骨吸収が部分的だったり深く吸収してしまったりした際におこなう治療法です。

たんぱく質でできた特殊ゲルを使用して、吸収された骨を再生していきます。

ゲル自体に害はなく、そのまま吸収されるため除去手術は必要ありません。

自由診療で、費用は5~15万円ほどが目安になります。

 

医薬品トラフェルミンを用いた治療

医薬品トラフェルミン製剤は、傷を修復させて歯周組織の再生を促す治療法です。

歯肉を切開して歯石などを取り除いたあと、歯槽骨にトラフェルミン剤を塗布します。

そうすることで歯周組織の再生を促します。

保険適用の治療であることから、比較的取り入れやすい治療でしょう。

 

未来に向けた歯の再生医療がすごい!

歯だけではなく再生医療の技術は、多くの研究によって進歩しています。

近い将来、歯の再生治療はますます発展していき、多くの方に提供できるようになるでしょう。

ここでは、現時点で判明している技術や将来的に広まる可能性の高い技術などを紹介します。

 

アメリカではレーザー治療で歯を再生する技術が研究されている

アメリカは2014年に、低出力のレーザーを使用して歯の再生が促されるという発表を出しました。

レーザー光を照射して幹細胞の働きを促すことで、歯が再生できるかもしれないと期待が集まっています。

実験では、ラットやマウスを使ってヒト細胞にレーザーを照射した結果、象牙質の形成が確認されたとのことです。

いままでは詰め物や被せ物による治療をしていましたが、近い将来ではレーザー治療で歯が再生できるかもしれないと多くの研究者が語っています。

 

歯髄細胞バンクがさらに広まる可能性

歯髄細胞バンクは、1本の歯から幹細胞を確保して培養することで、さまざま治療に活用できる方法です。

そもそも幹細胞は再生治療に使える可能性が高い細胞であり、歯科治療だけにかぎらずアンチエイジング、糖尿病、心筋梗塞など、さまざまな治療に活用できることがわかっています。

年齢を重ねるとともに幹細胞は減ってしまうことから、若い頃にバンクしておくことで50代、60代になってから使用する、ということも可能です。

歯髄細胞バンクがさらに広まることで、諦めた治療にも光が見えてくるのではないでしょうか。

 

まとめ

近い将来、歯の再生医療は格段に進み、さまざまな場所で応用されることでしょう。

そのためにも、いまある歯を健康に保ち続けることが大切です。

私たち医療従事者は、もっと歯の大切さを周知させることが必要だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

〈ライター〉

歯科衛生士:土井

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