ターナー歯とは?乳歯の虫歯が影響する歯の形成異常

歯科知識

 

歯の健康は重要ですが、乳歯の虫歯が進行し根尖性歯周炎が発症すると、その影響は永久歯の形成にまで及ぶことがあります。このような状態が引き起こす歯の形成異常を「ターナー歯」と呼びます。以下では、ターナー歯について詳しく見てみましょう。

 

1.ターナー歯の発生

 

虫歯が乳歯の根の先に病巣を作り、炎症を引き起こすと、根尖性歯周炎が発生します。この炎症は永久歯の形成中に起こるため、永久歯に影響を与えることがあります。

 

2. 形成異常の特徴

ターナー歯では、永久歯のエナメル質や象牙質の形成に問題が生じます。結果として、歯の形状や色素沈着に異常が現れることがあります。歯が変色し、形状も乳歯に似た形になることが一般的です。

 

3.ターナー歯の治療

ターナー歯はその特殊な形態から、通常の治療法では完全な修復が難しいとされています。治療には審美的な観点からの修正や補綴などが行われることがありますが、完全な修復は困難です。

 

4. 予防と早期治療の重要性

ターナー歯を予防するには、乳歯の虫歯を予防し、根尖性歯周炎を防ぐことが重要です。定期的な歯科検診や適切な歯磨き、食事の管理などが必要です。また、早期の治療や注意深いフォローアップも重要です。

 

ターナーの歯の予防には、虫歯予防が基本的です。定期的な歯磨き指導や、シーラント填塞(てんそく)、フッ素塗布などの虫歯予防処置を受けることで、エナメル質形成不全を防ぐことができます。

 

もしターナー症やエナメル質形成不全が発生してしまった場合、歯科医院ではさまざまな治療や対策があります。例えば、レジンを使って補強する方法があります。エナメル質形成不全は乳歯であっても放置せず、必ず治療することがお勧めです。

 

5.ターナーの歯の発症率

実際の発症頻度を見てみると、本田丘人や中村公也らが行った研究報告によれば、小学校46年生の10.9%(155人中17名)の子供にターナー歯と考えられる形成不全が認められました。この数字からも、ターナー歯の発症頻度の高さがわかります。ただし、この調査結果は小臼歯に関するものであり、虫歯を放置するケースはさらに多くなるでしょう。

 

乳歯は永久歯に生え変わるため、虫歯が発生しても治療を受けずに放置する傾向があります。しかし、これが永久歯の発育に大きな悪影響を及ぼす可能性があるため、広く周知されるべきです。乳歯の虫歯は軽視せず、早期に適切な治療を受けることが重要なのです。

 

6.似ている用語・間違いやすい用語

①ハッチンソンの歯

 

ハッチンソンの歯とは、先天性梅毒によって影響を受けた乳歯の一種です。先天性梅毒は母親から胎児へ感染することで発症し、乳歯のエナメル質に異常が生じます。ハッチンソンの歯は円錐状で小さく、歯冠の上部に溝やくぼみがある特徴があります。この異常な歯の形状は診断に役立ち、先天性梅毒の可能性を示すことがあります。ハッチンソンの歯は乳歯に現れるため、歯が生えてくる年齢で症状が確認されることが多いです。

 

②フルニエ歯(Fournier's tooth)

フルニエの歯とは、先天性梅毒によって形成不全を起こした臼歯のことです。この状態はエナメル質の石灰化不全によって生じます。別名「ムーン歯(Moon's tooth)」とも呼ばれており、どちらも人名が由来となっています。

フルニエ歯の主な症状は、第一大臼歯に生じることです。エナメル質の石灰化不全のため、歯冠が短くなり、咬頭が萎縮しています。その結果、発育不全となり咬合面は顆粒状の凹凸を示します。この形状から、「桑実状臼歯」とも呼ばれています。

 

フルニエ歯の組織的な特徴は、ハッチンソン歯と同様です。エナメル質の石灰化不全が基本的な原因となり、象牙質に多数の球間象牙質および細胞封入の象牙質が見られます。

 

まとめ

ターナー歯は乳歯の虫歯と根尖性歯周炎が引き起こす永久歯の形成異常です。歯の形状や色素沈着が異常となり、治療が困難な場合があります。予防と早期治療の重要性を理解し、定期的な歯科検診や適切な歯磨きなどを行うことが大切です。

また、ハッチンソンの歯やフルニエの歯など用語が似ており間違えやすいものもあります。歯学部生の皆さんはそれぞれの違いなども覚えておきましょう。

 

ライター歯科衛生士

cocco

一覧へ