みなさん、アイヒナーの分類をご存知でしょうか?歯学部の学生さん、歯科医師の皆さんなら、学校で習ったと思いますが、「教科書を読んでもいまいちわからない」「言葉で説明されてもよくわからない」など誰しもが一度はぶつかるところかもしれません。
本日はアイヒナーの分類についてわかりやすく解説します。
アイヒナーの分類とは
Eichnerによって提案された咬合支持の分類では、欠損部位の位置よりも、現存歯の咬合接触域(咬合支持域)の三次元的な構造に着目しています。この分類では、左右の小臼歯部および大臼歯部の4つの咬合支持域に分類され、それぞれの領域に安定した咬合支持域が存在するかどうかで、A・B・Cの3つの群に分けられます。さらに、A群はA1~3、B群はB1~4、C群はC1~3のように、細かいレベルに分類されます。
この分類は、欠損歯列の最も重要な情報である歯の数や咬合支持数から、欠損歯列がどのような「レベル」に位置するかを把握するために使用されます。
もっと詳しく!アイヒナーの分類の特徴
・アイヒナー(eyeliner)の分類は、欠損歯列や健全歯列だけでなく、健全歯列から無歯顎に至る全ての歯列関係を考慮している。
・分類は、上下顎の左右の大・小臼歯群による4つの咬合支持域の残存状態に基づいて行われる。
・一部の歯が欠損していても、残存歯と接触がある限りは支持域の存在を認める。
・分類は、咬頭嵌合位の安定性や咬合支持能力の度合いを示している。
【分類】
以下にアイヒナーの分類を紹介します。
1. 4つの咬合支持域を全て持つもの
A1:歯冠修復のみが行われた状態
A2:上下顎のうち1顎に歯牙の欠損がある状態
A3:上下顎ともに歯牙の欠損がある状態
2. 咬合支持域が減少したもの
B1:3つの支持域を持つ状態
B2:2つの支持域を持つ状態
B3:1つの支持域を持つ状態
B4:前歯部のみに咬合接触があり、支持域がない状態
3. 咬合支持域がないもの
C1:上下顎に残存歯があり、すれ違い咬合が行われる状態
C2:上下顎のうち1顎が無歯顎である状態
C3:上下顎ともに無歯顎である状態
アイヒナーの分類を実際に使った例
「男性414名、女性596名に行った歯科定期検診の受診は咀嚼能力の維持に有効か」という調査にて、アイヒナーの分類が使われました。
咀嚼能力の検査については、咀嚼能力測定グミゼリーを使用し、30回咀嚼後の咬断片表面積増加量を調査、咬合支持についてはアイヒナーの分類(B3〜1の支持領域に咬合接触あり、C・咬合接触がない)が使用されました。
咀嚼能力検査
アイヒナーの分類 覚え方
アイヒナーの分類を簡単に覚えるための語呂合わせは次のとおりです。
Bの数字の意味を覚えるためには、次のポイントを押さえましょう。
- B1:臼歯部の咬合支持が1つない(=3つの臼歯部の咬合支持がある)。
- B2:臼歯部の咬合支持が2つない(=2つの臼歯部の咬合支持がある)。
- B3:臼歯部の咬合支持が3つない(=臼歯部の咬合支持が1つのみある)。
- B4:臼歯部の咬合支持が4つない=前歯部のみの対咬関係あり。
その後、前歯部の対咬関係もなくなると「C」となります。
また、AとCの数字の意味を覚えるためには以下のポイントがあります。
- A1:全歯あり。
- A2:片顎に欠損。
- A3:上下顎に欠損(咬合指示域は全てキープ)。
- C1:対咬関係がないが、歯がある。
- C2:無歯顎。
図が苦手な人へ覚え方
歯科のアイヒナー分類について、覚えやすくするための簡単な説明です。
A1〜3:咬合支持域の損失0。すべての歯が正常に対咬関係を持ちます(臼歯部4 + 前歯部1)。
B1:咬合支持域の損失1。臼歯部3が損失し、前歯部1のみが対咬関係を持ちます。
B2:咬合支持域の損失2。臼歯部2が損失し、前歯部1のみが対咬関係を持ちます。
B3:咬合支持域の損失3。臼歯部1が損失し、前歯部1のみが対咬関係を持ちます。
B4:咬合支持域の損失4。臼歯部0が損失し、前歯部1のみが対咬関係を持ちます。
C1:すべての対咬関係なし。臼歯部と前歯部のどちらも対咬関係を持ちません(臼歯部0 + 前歯部0)。
このようにアイヒナー分類を覚えると、咬合支持域の損失が数値としてどれだけあるかがわかりやすくなります。
以上がアイヒナーの分類を簡単に覚えるためのポイントです。Bの数字に重点をおいて覚えると良いでしょう。
まとめ
以上がアイヒナーの分類に関する内容です。これらの分類は、患者の咬合状態を正確に評価し、適切な治療プランの策定に役立ちます。
アイヒナーの分類はノートに図を描くことで想像ができるようになり、覚えられると思います。
何度も書いて、復習して覚えましょう!
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