歯科医師、歯科衛生士の国家試験の勉強のために覚えた「ヘルマンの歯齢」。
みなさんも覚えるのに苦労を強いられた経験があるのではないでしょうか。
もちろん臨床の場でも、ヘルマンの歯齢を用いることが多いかもしれませんが、ときおり忘れてしまったり、症例によっては診断に自信がなかったりしてしまうかもしれません。
そこで今回は、ヘルマンの歯齢をマスターできるよう、簡単に覚える方法を紹介いたします。
ヘルマンの歯齢とはなにか

ヘルマンの歯齢(別名:ヘルマンの発育段階)とは、Hellmanによって提唱された子どもの歯の発育段階を表す指標の1つです。
歯の萌出時期のほかに咬合の発育段階を評価するために用いられます。
5段階(Ⅰ~Ⅴ)にステージ分けされており、子どもの成長に伴い歯の発育の変化をヘルマンの歯齢から読み解くことが可能です。
ヘルマンの歯齢では、萌出開始時期をC(commenced)、萌出完了時期をA(attained)、そして側方歯群交換期をB(between)で表しており、特にBは「ⅢB」で唯一使用されています。
ヘルマンの歯齢と歯列の成長発育をおさらい

では、ヘルマンの歯齢の分類と歯列の成長発育もあわせてみていきましょう。
【ヘルマンの歯齢】 【歯列の成長発育】
⚫️ⅠA:乳歯未萌出期 ・顎間空隙
⚫️ⅠC:乳歯萌出開始期
⚫️ⅡA:乳歯萌出完了期 ・歯列の変化は少ない・霊長空隙
⚫️ⅡC:第一大臼歯萌出開始期 ・乳犬歯間幅径の増加(3mm)・前歯の側方
⚫️ⅢA:第一大臼歯萌出完了期 ・前歯の側方/前方成長があるがⅡCほどではない
・発育空隙
⚫️ⅢB:側方歯群交換期 ・小臼歯間幅径の増加・リーウェイスペース
⚫️ⅢC:第二大臼歯萌出開始期
⚫️ⅣA:第二大臼歯萌出完了期
⚫️ⅣC:第三大臼歯萌出開始期
⚫️ⅤA:第三大臼歯萌出完了期
ヘルマンの歯齢を簡単に覚える方法

ここからは、ヘルマンの歯齢をマスターできる方法を伝授していきます。
さきほどもおさらいしましたが、ヘルマンの歯齢には5つのステージが存在します。
このステージが切り替わる理由をしっかり理解できれば、簡単に覚えることができるはずです。
さきほどA(attained)は萌出完了時期、C(commenced)は萌出開始時期、B(between)を側方歯群交換期と説明しました。
この3つをもう少し詳しく考えていきましょう。
Q:A(attained)=萌出開始時期がよくわからない
A:次に萌出する上下臼歯が噛み合った瞬間に、Aが該当する
【解説】
ⅡAでは上下Eが噛み合ったときにⅡAとなり、同じ考え方で上下6同士が噛み合ったときにⅢA、上下7が噛み合ったときにⅣAとなります。
注意していただきたい点として、ⅠAはまったく歯がない状態からのスタートになるため例外となります。
Q:C(commenced)はどれくらい萌出したらCになるのかわからない
A:少しでも歯の頭が見えた段階でCになる
【解説】
少しでも歯の頭が出現すれば、Cに該当します。
下顎Aが見え始めたらⅠCとなり、1か6が出ればⅡC、そして7が出ればⅢCです。
Q:ⅢBの段階がわからない
A:3、4、5が見え始めたら側方歯群になる
【解説】
ヘルマンの歯齢にある唯一のB(between)が、側方歯群です。
側方歯群は3、4、5のいずれかが見え始めるとⅢBに該当します。
下顎であれば3が、上顎では4が最初に萌出し始めますが、少しでも見え始めた段階でⅢBとなるのです。
ヘルマンの歯齢まとめ

ややこしいと思われているヘルマンの歯齢ですが、理屈が理解できればすぐに覚えられると思います。
かつて筆者自身もヘルマンの歯齢を覚えることに苦戦しましたが、覚え方を工夫することでマスターできました。
小児歯科診療では大事な指標の1つですので、これを機に覚えて活用してみてくださいね。
ぜひ今回の記事を参考に、診療に役立てていただけると幸いです。
歯科衛生士ライター
土井 万喜子
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