マウスピースの作り方|歯医者が教える専門的な製作プロセス

ORTC Online, 歯科知識

あなたは、マウスピースという言葉を聞いたことがありますか?
歯科治療、スポーツ、健康管理において、マウスピースは実はとても重要な役割を果たしています。
矯正治療からホワイトニング、歯ぎしり対策、スポーツ防護まで、その用途は幅広いのです。
 

本記事では、歯科医師からみたマウスピースの作り方のプロセスを解説します。ぜひ参考にしてください。

マウスピース製作:4つの基本ステップ


マウスピースの作成は、非常に繊細で正確さが必要な作業です。

ステップは以下のとおりです。
 

・型取り(印象採得)

・圧接

・トリミング

・確認と調整
 

ひとつずつ詳しくみていきましょう。

型取り(印象採得)

まず最初のステップは型取りです。
歯科医院では特殊な印象材を使って、患者様の歯列を精密に複製します。
この型は、その後のマウスピース製作における最も重要な基礎となるので注意して行いましょう。

圧接

次に行われるのは、機械による圧接工程です。
先ほど作成された型をもとに、透明なシートを高温・高圧で立体的に成形していきます。
使用するシートは目的によって硬さや厚さを変える必要があることを忘れてはいけません。

トリミング

3つ目のステップは、余分なシートをトリミングすることです。圧接された後のマウスピースから、不要な部分を正確に無駄なく切り取っていきます。最終的な装着感と快適性を追求する繊細な調整が関わる重要な工程です。

確認と調整

最後は最終確認と調整です。
完成したマウスピースを実際に装着し、フィット感や快適性を丁寧に確認します。
必要があれば、さらに微調整を加えて、完璧な仕上がりを目指します。

歯医者でマウスピースを作らない場合の注意点


マウスピースを自分で作る場合、いくつかの重要な注意点があります。
専門家の観点から、安全性と効果を考慮すると、以下のポイントに特に注意が必要です。
 

まず最も重要なのは、正確な型取りの難しさです。
歯科医院では特殊な印象材と専門的な技術を使って、個人の歯列を精密に複製します。
家庭で行う型取りは、この精密さを再現することが難しいでしょう。
わずかな誤差でも、マウスピースのフィット感や効果に大きく影響します。
 

材料の選択も重要なポイントです。
市販のDIYマウスピースキットには様々な素材がありますが、歯や歯茎に適さない材料を使用すると、アレルギー反応や口腔内の炎症を引き起こす可能性があります。
専門的な医療用プラスチックとは異なり、一般的な素材は安全性が保証されていません。
 

加工の技術も専門的な知識が必要です。
熱成形や精密なトリミングには特殊な機器が必要で、家庭用の道具では均一な厚さや正確な形状を作ることが困難です。
不適切な加工は、マウスピースの機能を著しく低下させるだけでなく、場合によっては歯や歯茎に悪影響を与える可能性があります。
 

目的別のカスタマイズも大きな課題です。
スポーツ用、歯ぎしり対策、ホワイトニングなど、それぞれの目的に応じた適切な設計と素材の選択が必要です。
専門家でない限り、これらの微妙な違いを正確に理解し、対応することは非常に難しいのです。
 

さらに、自作のマウスピースは長期的な口腔ケアの観点からもリスクがあります。
定期的なチェックや調整が難しく、歯の状態の変化に対応できない可能性が高いのです。

保険適用や医療的な観点から見ても、自作は推奨できません。

歯ぎしり用マウスピースであれば、保険で約2,400円(3割負担)で専門的に作成できます。
わずかな自己負担で、安全で効果的なマウスピースを手に入れることができるのです。

驚くほど多様なマウスピースの世界


マウスピースは、一見単純な歯の保護装具のように見えて、実はとても奥深い世界を持っています。
目的によって、硬さは硬いものから柔らかいものまで、厚さも薄いものから分厚いものまで、さまざまなバリエーションがあるのです。
 

ホワイトニング用のマウスピースは、歯全体を正確にカバーし、ホワイトニング剤が漏れないように設計されています。
スポーツ用のマウスピースは競技によって大きく異なり、アメリカンフットボールのように接触の激しいスポーツでは歯茎まで広くカバーし、ウエイトリフティングのような競技では主に歯を保護することに焦点を当てているのです。

保険適用と専門家に相談することの価値


歯ぎしり用のマウスピースは保険が適用され、患者様の負担は約2,400円(3割負担)となります。
歯科医院の専門家に相談することで、自分の口腔に最適なマウスピースを作成してもらうことができるのです。
 

歯医者で作るマウスピースが最適なのか。

それは、自分の歯列に完全に合わせて製作でき、目的に応じた最適な素材を選定できることに加え、専門家による快適性と機能性を最大限に高める調整が可能だからです。

まとめ

マウスピースの使用期間は、用途や使用頻度によって異なりますが、通常は6〜12ヶ月程度が目安となります。
定期的に歯科医院でチェックすることをおすすめしています。
 

市販のマウスピースでも十分では?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、完全なフィット感と効果を得るためには、やはり専門家による作成が最も推奨されます。
 

マウスピースは単なる歯の保護装具ではありません。
それは、あなたの健康と快適さを支える大切なツールなのです。
あなたに最適なマウスピースについて、ぜひお近くの歯科医院で相談してみてください。

それぞれの方に合わせた、最高の口腔ケアがきっと見つかるはずです。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

編集・執筆

歯科専門ライター 萩原 すう

歯科医療の現場で役立つ実践的な知識を届けるORTC

ORTCは「笑顔の役に立つ」を理念に、歯科界の知識を共有する場を目指しています。歯科医療の現場で役立つ最新の知識と技術を提供することで、臨床と経営の両面からクリニックの成長を支援します。最先端の技術解説や経営戦略に特化した情報を集約し、歯科医療の現場での成果を最大化。自己成長を追求するためのコンテンツをぜひご活用ください。

無料会員登録

無料動画の視聴、有料動画のレンタルが可能です。歯科業界についてのオンライン・オフラインセミナーへの参加が可能となります。

ORTCPRIME

今なら77%OFFの月額 2970円で、 ORTC内のすべての動画を見放題に。臨床の現場に役立つ最新の技術解説や、歯科医院経営の成功戦略を網羅した特別コンテンツをご利用いただけます。 歯科業界の方へ効率的に知識を深めていただける内容です。

ORTC動画一覧

ORTCセミナー一覧

まずは無料会員登録

こちらのリンクより会員登録ページへお進みください。

会員登録はこちら

ORTCPRIMEへのアップグレードも簡単!

登録後は「マイページ」から、ORTCPRIMEにいつでもアップグレード可能です。

一覧へ