歯科技工士の給料はどのくらい?

歯科知識

歯科医療を支える縁の下の力持ち的存在とも言える歯科技工士。

今回は歯科技工士の気になるお給料について調べてみました!

 

1、歯科技工士になるには?

歯科技工士になるためには、歯科技工士国家試験に合格することが必要となります。

受験資格を得るためには、高校卒業後、歯科技工士を養成する大学や短大・専門学校に入学しなければなりません。

 

文部科学大臣指定あるいは厚生労働大臣指定の歯科技工士養成機関で、2年以上学び、所定の課程を全て修了すると国家試験の受験資格が与えられます。

養成施設には、大学・短期大学・専門学校があり、修業年限は2年制、3年制が中心です。

専門学校の夜間部という選択肢もあり、夜間制に通学する場合には修業年限は3年間となります。

 

また、あまり一般的な道のりとはいえませんが、6年制大学の歯学課程を卒業しても受験資格を得ることができます。

 

2、歯科技工士の内情

2022年に「歯科技工士法施行規則の一部を改正する省令」が施行され、歯科技工におけるリモートワークが解禁されたことにより、医療系国家資格の中で唯一リモートワークが認められた職業として話題となりました。

リモートワークが解禁された背景には歯科技工士業界の高齢化問題があります。

2019年に行われた厚生労働統計協会の「国民衛生の動向・厚生の指標」によると、歯科技工士学校へ入学する生徒は年々減っており、1990年では3,307人であったのに対し、2018年には1,845人まで減少しています。

これに合わせ、1990年では全国に73あった養成機関施設が2018年には52に減少しました。

しかしながら、超高齢化社会に突入した日本では今後多くの補綴物や義歯の需要が予想されることから、就職面や収入面において不安に感じることは少ないだろうと考えられるのが歯科医技工士の強みと言えます。

 

2-1歯科技工士の年収は男女で違いはある?

厚生労働省が発表している「衛生行政報告例」によると、全歯科技工士における女性の割合は平成28年度で19%です。

歯科技工所勤務では男性84%に対し女性が16%、病院や歯科医院勤務では男性70%に対し女性が30%となっています。

 

男性歯科技工士の平均年収は400万円前後とされており、日本人の平均年収よりも低い傾向にあります。

それに対し女性歯科技工士の平均年収は300万円前後で、歯科技工士は女性よりも男性の方が年収が高いことがわかります。

 

一方で、他の職業を含めた女性全体の平均年収は約300万円であり、女性歯科技工士の年収はさほど低いわけではないことがわかります。

 

2-2 歯科技工士の就職先って?

現在就労している歯科技工士のうち、最も多い58.7%の人が歯科技工所で働いています。

歯科技工士は独立開業権が認められている歯科医療の国家資格です。

歯科技工所の中には複数の歯科技工士が在籍している歯科技工所もあれば、歯科技工士自身が独立開業し1人で営んでいる歯科技工所も含まれています。

 

他には、歯科医院に直接勤務したり、総合病院内の歯科技工室に勤務している方もいます。

歯科技工士になるために学んだ知識や技術を生かして、しか器材や材料などの関連企業に就職する方もおられます。

また、日本の歯科技工士は世界的に高い評価を受けており、多くの日本人歯科技工士が海外で活躍しています。

 

2-3 歯科技工士の就労時間は?

2021年発表の歯科技工士実態調査報告書によると、技工所や歯科医院に勤務している歯科技工士の「1日の平均就労時間」は9.6時間で、自営歯科技工士では10.8時間でした。

「一週間の残業を含めた就労時間」は勤務歯科技工士で52.3時間、自営歯科技工士では66.3時間となっています。

 

勤務する施設の種類によっても年収に大きな差が生じます。

一般的に、病院や大規模な歯科医院では高めの年収が期待できる一方、小規模な歯科技工所では比較的低い年収になることが多いようです。

また、勤務時間や労働条件も年収に大きな影響を与えます。

長時間労働や夜間勤務がある場合、その分の手当てが加算されることが多く、年収は増加します。

また、地域によっても年収には差があります。

都市部では需要が高いため年収も高めになる傾向がありますが、地方では供給過多となってしまい、年収が低くなってしまう場合があります。

 

3、気になる歯科技工士のお給料はおいくら?

①歯科技工士の初任給は?

公益社団法人日本歯科技工士会が発表した令和4年度の初任給モデルでは、歯科技工士学校の在籍年数によって以下のように初任給が分かれています。

 

2年制の歯科技工士学校を卒業 18万6,500円

3年制の歯科技工士学校を卒業 19万7,100円

4年制の歯科技工士学校を卒業 20万7,500円

 

医療系の初任給は21万円ほどとされていますから、それと比較すると低いことが分かります。

国家資格でありながら初任給が低いのは、歯科技工士の業務内容には専門的な知識だけでなく実務経験が求められるためです。

そのため、新卒のうちは下積み期間となるため給料は低いものの、実務経験を積んで技術力を高めていくことで給料も上がっていく傾向にあります。

 

大手歯科医院内の歯科技工士として就職すると、給料はさほど高くないものの、福利厚生など待遇面が充実していることから安定感をもって働けるなどのメリットもあります。

歯科技工士の福利厚生は、勤務先によって変わってきます。

全体としては、大手の歯科技工所になるほど福利厚生は充実している傾向です。

比較的規模の大きなところでは、社会保険完備をはじめ通勤手当、住宅手当、家族手当、退職金制度などがあったり、リフレッシュ休暇制度や保養所の利用、慶弔金などの制度があるところもあります。

 

また、歯科技工士の国家資格を取った後、さらに知識・技術を深めるために「専攻科」へ進学して卒業した人に対しては、初任給をやや高めに設定しているところもあります。

 

②歯科技工士の経験年数ごとの平均年収は?

令和3年度に発表された「賃金構造基本統計調査」によりますと、経験年数ごとの平均年収は以下の通りです。

 

 初年度         264万6,300円

 1~4年目    340万7,600円

 5~9年目    343万5,200円

 10~14年目   366万5,200円

 15年以上     492万9,200円

 

経験年数を重ねるごとに給与やボーナスが増え、15年目に入る頃には大幅に増加しているのが分かります。

 

2021年発表の歯科技工士実態調査報告書によると、勤務者のうち年収が1,000万以上と回答したのは全体のうち4.5%でしたが、自営業者では9.6%となっていますから、歯科技工士として高い年収を得たいと考えるなら独立は有力な選択肢と言えるかもしれません。

 

3-1 賞与・ボーナス

歯科技工士の平均賞与は、従業員が10名以上の事業所で35万4,300円です。

日本歯科技工士会の調査によると、全体では「支給された」と回答した人が60.4%、「支給されなかった」が34.5%(無回答5.1%)となっています。

支給された人の平均金額は61.2万円ですが、支給された人の割合は年々減少しています。

勤務先別で「支給された」と答えたのは、歯科技工所が48.7%、歯科医院(診療所)が71.1%となっています。

 

3-2 歯科技工士の時給

時給も務めている職場規模により左右されます。

 

 5~9人  1,663円

10~99人  1,539円

 

全事業所の平均では1,567円です。

 

まとめ

給与面や労働環境の問題から、目指す人が減少傾向にあり問題しされている歯科技工士ですが、超高齢化社会を迎えている中でますます需要が高まっている売り手市場の職業でもあります。

患者さんの健康を支える尊い職業として、今後も活躍が期待されます。

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