法人歯科医院の継承について知りたい!手続きの方法を伝授

歯科経営

前回、個人歯科医院の継承について紹介しました。

個人歯科医院の場合は前開設者と新開設者による手続きが必要になりますが、法人歯科医院の継承の手続きは個人歯科医院とは異なるのが実情です。

今回は、法人歯科医院の継承について詳しく取り上げたいと思います。

 

法人歯科医院にはいくつか種類がある

医療法人にはいくつか種類があります。

まずは、自分の医院がどの種類に当てはまるか確認してみましょう。

●(持分あり)社団医療法人

●(持分なし)社団医療法人〈基金拠出型社団医療法人〉

●(一般の持分なし)社団医療法人(基金拠出型社団医療法人以外)

●財団医療法人

●特定医療法人

●社会医療法人

 

法人の種類によって売却方法が異なる

医院継承といっても売却方法は医療法人の種類によって異なります。

ここでは、法人の種類に応じた売却手法について触れていきましょう。

売却手法は主に4つあります。

【法人歯科医院における売却手法の種類】

・経営権の譲渡や持分譲渡

・事業譲渡

・吸収合併

・吸収分割

【可能な売却手法】

●(持分あり)社団医療法人
・持分譲渡

・経営権譲渡

・事業譲渡

・吸収合併

●(持分なし)社団医療法人〈基金拠出型社団医療法人〉

・経営権譲渡

・事業譲渡

・吸収合併

・吸収分割

●(一般の持分なし)社団医療法人(基金拠出型社団医療法人以外)

・経営権譲渡

・事業譲渡

・吸収合併

・吸収分割

 

●財団医療法人

・経営権譲渡

・事業譲渡

・吸収合併

・吸収分割

●特定医療法人

●社会医療法人

・経営権譲渡

・事業譲渡

・吸収合併

 

法人歯科医院を継承する前に決めておくべきこと

法人歯科医院の場合、継承するためには新たに理事長を決めて手続きをおこなう必要があります。

また、医療法人の持分の取得も重要です。
法人の場合、経過措置型医療法人と基金拠出型医療法人にわけられ、継承のしやすさが異なるため注意しましょう。

【経過措置型医療法人】

・2007年3月以前に設立した医療法人

・出資持分を取得する必要あり

【基金拠出型医療法人】

・2007年4月以降に設立した医療法人

・出資持分ではなく基金を引き継ぐ

このように、経過措置型医療法人では出資持分価格が高額になれば、多額な税金や資金が必要になり、継承が難しくなる傾向にあります。

しかし基金拠出型医療法人の場合は基金の引き継ぎになるため、利益が上がっても基金が変わることはありません。

そのため、結果として基金拠出型医療法人のほうが継承しやすいという側面があります。

 

どんな歯科医院が高く売れる?

医院継承するにあたり、どのような医院が高く売れるのでしょうか?

以下の条件に当てはまる医院ほど、価値評価額や売却価格が高い傾向にあります。

 

高く売れる7つの条件

【事業の引き継ぎ】

・特定の歯科医師に依存していない

・売却後も院長や歯科医師が引き続き移籍したり事業を引き継いだりできる

・優秀なスタッフが引き継げる

【法人形態】

・持分あり社団医療法人である


【立地】

・アクセス環境がいい

【集客面】

・地域の評判が高く、認知度がある

【業績】

・業績が好調である

・今後の成長が見込める

【設備】

・内装や機器などが新しく、充分な設備が整っている

【不動産】

・自己所有の場合、建物や土地の時価が高い

・賃貸物件の場合、相場より賃貸料が安い

 

法人歯科医院継承の主な手続きとは

個人歯科医院の継承の場合、前の開設者と新しい開設者による廃業手続きや開業手続きがマストになります。

しかし、法人歯科医院の場合は変更届の提出だけで完了することもあり、煩わしさはあまりありません。

継承の煩わしさを少しでもなくしたい思いから、個人歯科医院から医療法人化に変更する医院も多いといいます。

【法人歯科医院継承の必要な手続き】

・〈税務署〉異動届出書

・〈保健所〉医療法人役員変更届

・〈法務局〉医療法人役員変更登記申請書

・〈保健所〉医療法人の登記事項の届出

・〈地方厚生支局事務所〉保険医療機関届出事項変更届

 

まとめ

今回は、法人歯科医院の継承にかかわる手続きについて紹介しました。

医院継承は、さまざまなステップを踏む必要があり、個人でおこなうには非常に大変な作業です。

医院継承をスムーズにおこないたい、将来的に医院継承を考えているという先生は、まずは専門家に相談することをおすすめします。

ただ注意してほしいのは、すべて専門家に任せるのではなく、あらかじめ医院継承における知識を入れておくこと。

自分の医院を適切な順序で譲渡者に渡せるよう、前もって準備しておくことが必要です。

 

〈ライター〉

歯科衛生士:土井

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